この週末、なんだか久しぶりに美術館に行ってきた。最近の僕の習慣からすれば、週末にこんな過ごし方をするのは柄でもないんだが、この美術館ではちょっと気になる展示会をやっていて、機会があれば行こうと思っていたところだった。
![]() |
| ブルックリン美術館。目の前を走るのは Eastern Parkway。 |
![]() |
| チケット売り場の様子。 |
土曜日の朝、近くのスーパーで買い物をして昼ごろ帰宅すると友達から留守電メッセージが入っていた。もともとこの友人と今日会って Puerto Rico で買った土産を渡すつもりだったのだが、「会うのは夕方か夜でかまわないか?」とのこと。なんか用事でも入ったかな?と思ってメッセージを聞いていると「来月上旬まで Brooklyn 美術館で展示している『SENSATION』を見たいんだ」とのこと。
「SENSATION」に関しては、アサヒコムでも記事を読んだことがあったから、おそらく日本でも報道されたのではないかと思うが、これは特別展の名称で、New York の Brooklyn 区にあるブルックリン美術館 ( Brooklyn Meseum of Art - BMA ) で数ヶ月間開催されているものだ。この展示会の開催にはいろいろ紆余曲折があり、その展示内容が物議をかもしていた。
この展示は英国の新鋭芸術家達の作品を紹介するものなのだが、そのいくつかの作品が問題となったのだ。一つは黒人のマリア画で、大きなキャンバスには雑誌かなにかから切り取られた女性の性器がいくつも張られ、なぜか牛の糞がオブジェとして貼り付けられているのだ。これに噛み付いたのが、New York 市長のジュリアーニで、New York 州選出の議員選挙への出馬が噂されている彼はキリスト教団体の指示を取り付けるため ( と言われている )すかさず「宗教への冒涜だ」と批判し、「展示をするなら、Brooklyn 美術館への助成金支払いを停止する」と警告したのだった。
ということで普段は芸術に程遠いところにいるのだが、滅多に見られない展示内容ということで、前からちょっと気になっていたのだ ( この辺が野次馬根性 )。でも1人で行くにはちょっとおっくうで、このまま行かずじまいかと思っていたところにこの友人が行くと言うので、早速僕も便乗させてもらうことにしたのだ。
Manhattan にいる友人は地下鉄2もしくは3番ラインで、美術館が駅名になっているところまで乗ってくるとのことだった。僕も最初は車で Manhattan に行き、車を停めて、地下鉄で行こうと思っていたのだが、友達の方が早くに家を出ていて僕が大幅に遅れそうだったこと、しかも僕の住んでいるところと Manhattan の間に Brooklyn があることから、ほんとは乗り気ではなかったが、そのまま Brooklyn まで運転することにした。
なぜ余り乗り気でないかというと、概して Brooklyn は他のエリアに比べてもそれほど治安がよいとは言えないのだ。もちろん流血事件はなどは少なくったとはいえ、まだ路上に停めておいた車の窓ガラスが割られてカーステレオやエアバッグが盗まれたり、場合によっては車ごと盗まれることはまだ珍しくないのだ。
でも Manhattan まで行ってそれから地下鉄乗るのもかったるいし・・・めんどくさいからこのまま行ってしまえ、という考えはかなりいいかげんになってきた証拠だ。ともかく自宅から Long Island Expressway を走り、Grand Central Highway を抜け、Jackie Robinson Parkway を走って Brooklyn に入った。それからは美術館のオフィシャルサイトに書かれている道順をたどって無事到着。美術館前の通りに車を停め、最大2時間まで駐車可能のバーキングメーターに quarter を入れ、友達が待っている美術館へ。
チケット売り場に行く前にまずは空港のあるような金属探知器があり、NYPD ( New York 市警 ) の警官が一人一人所持品をチェックしていた。展示に反対する団体の妨害などを恐れてのことだろう。
一足先に主な展示を見ていた友人には悪かったが再度付き合ってもらって話題の「SENSATION」コーナーをまずは見に行くことにした。会場に入ると首からぶら下げる音声ガイド機を貸してくれる。展示物にはナンバーが割り振ってあって、その番号を入力することで説明が音楽と共に流れる仕組みだ。
で問題の展示物だが、たしかに目新しい・・・・というしか形容しようのないものがばかりだった。
例のマリア画に加え、鮫、牛、ブタなどのホルマリン付け ( そのいくつかは輪切りになっている )。ものすごく精巧な巨顔 ( 毛穴まで再現されている ) や死体。病院にある薬品棚。アルミニウムに転写された写真、ただしそこにはアル中の老人一家。中にはガラスで密閉されたケースの中に牛の首だけが置かれ、湧いては死んで行く蝿を展示しているものまで・・・ ( うぷっ )。写真撮影が禁止なのが幸いだと思ったほどだった。
こう書くとグロテスクなものばかりの展示のように聞こえるがもちろんそうでない裸婦像などの絵画や現代美術のような抽象画もたくさんあった。しかし展示会の名前の通り、インパクトの強い作品の前には、そういった作品が目立たなくなってしまっていた。
とはいえ、これを芸術ととるか不愉快なものととるかはやはり個々の問題。僕は不愉快に感じたと言うより興味のなかったものがいくつかあった、というのが正直なところだが、全体的にはこういうのも面白いかなと思った。
むしろ市長と美術館が見解を真っ二つにし、メディアまで巻き込んだ論争のおかげで普段美術館なんか行かないような僕までが行くわけだから、これがねらいだったのかもとつい勘ぐってしまう。
常設展のみ入場料は大人$4だが、この展示を見る場合のチケットは$9.75となる。
Brooklyn Museum of Art のホームページ
「SENSATION」展は2000年1月9日まで。



コメントする