新種の Web サービス
今回はちょっと New York とは関係のない、一般的な話題を紹介。
インターネットが低速接続からブロードバンド接続時代を迎え、より多くの人たちが使うにつれ、様々な web サービスが生まれては消えていった。無料でスタートしたものが有料になったものも多いし、サイト同士の合併なんてこともよくあった。
その中ですでにインターネットの世界で老舗と言われるようなコマースサイトはやはり、サービスが徹底しているところだろう。実世界では商売初めて10年ぐらいでは老舗とはおこがましいが、めまぐるしく流動的なこのインターネットの世界では5年も続けば老舗と言えるんじゃないだろうか。
早くからインターネットの商用利用が盛んだったアメリカからはたくさんの海外進出が相次いでいる。Yahoo! や eBAY や amazon それに DEL などはその最も成功した例だろう。もちろんこちら見ていても楽天など日本発の企業が頑張っている様子も見て取れる。が世界的な企業レベルで成功するユニークなビジネスモデルと言うといまのところアメリカ発のものが多いようだ。
そんな中でアメリカならではの生活習慣を利用した新しい web サービスが定着しはじめているのでその2つを紹介してみたい。
一つ目は、dock3。
一口にそのサービス内容を書くと、会社員向けの仮想コンビニエンスストアサービスということになるだろうか。dock3 は主だったオンラインストアと提携しそれらへのポータルサイトとなっている。各ショッピングサイトで購入した品物の受け取りが会社の中に設けられた dock3 専用窓口で受けられるのだ。つまり勤務先が dock3 と契約しており、その専用カウンターを設けていない場合は利用できないが、大手の会社の中に徐々に進出しているようだ。
提携サイトは多岐に渡っており、DELL や Officemax、JCrew、amazon のように PC、衣料、文房具、書籍といった比較的オンラインで購入しやすい品物を取り扱っているサイトの他、葉巻や食料品、植物など実際に見てからでないと購入が難しいものまで幅広く取り扱っている。dock3 のサイトからこれらのオンラインサイトに直接リンクが張られており、それをたどっていくと常にブラウザの上部に「配送先 は dock3 - 各人固有のID、送り先住所 ( この場合僕の働いている会社の中の dock3 事務所 ) が表示され続ける。実際にオンラインで購入し、送り先をしているするところでこの住所を入力すればよいのだ。このように dock3 と提携していて直接リンクが張られている業者から買い物し、それを dock3 受け取りにした場合は無料でそのサービスを受けられるが、そうでないサイトで買って dock3 で受け取りサービスを依頼すると1アイテムに付き$2程チャージされる仕組みになっている。
僕が特に重宝しているのが、荷物の受け取りサービス。夜間でも宅配業者が配達してくれるようになった日本と違って、まだアメリカの主な宅配は夜間の配送はしてくれない。もちろん「午前」「午後」の指定も出来ないし、配送の前に確認の電話をくれることも無い。たいていは帰宅すると不在配達票がドアに貼り付けられていて、それから対策を練るのがいつものことなのだ。たとえば Fedex の場合はあらためて平日のどれかを指定して配送依頼をしたり ( 有料で土曜日の配達オプションもある )、平日の夜 8:00PM 近くまで近くの配送センターが開いていて、会社帰りに車で立ち寄って荷物の受け取りができる。USPS ( 郵政公社 ) の場合だと再配達ではなく、後日郵便局に取りに行くことになるが土曜日もやっているのでこれもあまり不都合は無い。問題は UPS で、土日は配送しないし、不在票を持って自分で受け取りに行くことも出来ない。しかも3日連続で勝手に配達をトライしてその間受取人が留守の場合は、さらに勝手に差出人に荷物を送り返すというとてもドライなサービスなのだ。なので UPS は一番使いたくないのだけれど、オンラインで買い物をすると一番値段が安いのか、多くのサイトが UPS を採用していることが多く、買い物の度に頭を悩ますことになる。
それほど荷物が大きくない場合は、1度目の配送のあと、UPS に電話して、送り先を勤務先にしてもらうなどして対処することが多い。最初から勤務先を送り先に指定すれば、ということもできるが、クレジットカード会社によっては billing address と送り先が異なる場合これまた事前に登録をしないといけない、など意外と制約が多く、そう簡単にいかないのだ。
その点、この dock3 は荷物の受け取りを代行してくれ、荷物が届くとメールで連絡が来ることになっているのでかなり便利だ。PC など大きなものを注文して、UPS に会社に送らせると会社のメール係りが僕の席まで持ってきてくれることになり、あまりに私的な買い物には使いにくい。しかも大きなパソコンの箱を帰宅時まで自分の席においておくのもなんだし、さらに会社を出るときには会社の備品でないことを証明しなくてはならないのでいちいち面倒だ。その点、dock3 が受け取ってくれた場合は帰宅時までそこにおいておき、帰るときに受け取って車に積めばいいので楽だし、送り先も勤務先でなく dock3 になっているため、会社の備品でないことは一目瞭然でセキュリティのチェックも明らかに楽なのだ。
サービスの種類はまさにホテルのコンシェルジュ的で、映画やミュージカルチケットの購入と受け取り、写真の現像 ( デジタルカメラも可 )、ドライクリーニングの受け渡し、DVD レンタル、荷物は代行受け取りだけでなく発送ももちろん行ってくれる。近いうちに Mobile が車のオイル交換サービスを開始するようだが、トラックかなにかで社員向け駐車場にやってきてサービスをしてくれるのだろうか。
もう一つ紹介するのがこの freshdirect。
実は freshdirect は dock3 の提携サイトに入っているので dock3 の画面からもリンクが張られている。がこのサイト自身が大きなサービスを提供している。
このサイトは今まで難しいとされていた食料品、それも生鮮食料品を中心としたオンライン販売サイトなのだ。
たとえば果物1つとってもそれがわかると思うが、近所の青果屋とデリで同じ種類のリンゴを売っていたとしても鮮度や値段はまるで違うし、もちろん味だって異なるはずだ。同じスーパーで買うにしても1日違えば入荷のタイミングに応じて味も、鮮度も変わってくる。まして同じ箱の中に売られている同種のリンゴだとしても皆選んで購入するはずだ。なのでこういったものを見たり手にしたりすることなく買うことにためらいを感じる人は多いと思う。
この freshdirect はその点をグルメショップと同様な高品質の生鮮食料品だけ取り扱うことにしてクリアしようとしているようだ。サイトを訪れてみるとわかるが、市井のスーパーマーケットにに比べると割高である。2つで$1で売られていたりするグレープフルーツもここでは1つがそのぐらいの値段で売られている ( 日本はもっと高いかもしれないが )。面白いのはその商品に合わせて状態を表すランクづけがなされていることだ。たとえば果物ならどれだけ sweet かが基準になり、肉類ではどれだけ tender かといったランクがつけられている。販売しているのは生鮮食料品に限らずソーセージなどの加工肉や、瓶詰め缶詰、調味料しいては晩ご飯向けの温めるだけの食事やスープ、デリ総菜 ( ツナサラダなど ) まで取り扱っている。
これもオンラインで注文し、後日社員向け駐車場にやってくる freshdirect のトラックから仕分けされた荷物をうけとることになる ( 家にデリバリーを頼むオブションもある )。
ちなみに各種食料品のアイコンがよくできているので、これだけでも一見の価値ありだ。
前者の dock3 のようなサービスは似たようものが日本でもコンビニエンスストアで受けられると聞く ( 僕が日本にいたときはそんなにたくさんのサービスをしていなかったからよくわからないけれど )。大きな違いはコンビニエンスストアが万人向けのサービスを想定しているのに対し、dock3 はターゲットを会社員に絞っているため、サービスの種類を絞りその分手厚くサポートすることができる。コンセプトは「サラリーマンにもパーソナルアシスタント」なのかな?
freshdirect もそういう意味では夫婦共稼ぎの家庭をターゲットにしているのだろう。アメリカで働くようになって真っ先に気が付いたのは女性の従業員が多く ( 部署によっては女性の方が男性より多いところも )、当然待遇も性別による区別がないこと。当然責任も負うことになり、その分帰りが遅くなることもあるのだろう。
アメリカでは週末ともなるとスーパーマーケットに家族で一週間分の買い物に来る人たちの姿を見ることが出来る。巨大なカートにそれこそ「ほんとに一週間でそんなに食べるの?」というくらい大量に買い込んでいく。シリアル、大量のペットボトルのコーラ、子供の弁当用のポテトチップス、冷凍のハンバーガーセット、冷凍肉の固まり・・・。他人のことは言えないが、あまり健康的な食料品を買い出ししている人の姿を見ることはまれだ。しかも一週間分まとめて、というと生鮮食料品はなかなかむずかしい。のでこんな商品ばかりがカートに乗るのもわからなくはないが・・・。
では野菜や魚介類はその都度買うかというと、仕事が終わってからスーパーに立ち寄り、その後で料理を作っていたのでは食事をするのが夜9時を過ぎてしまうかもしれない。子供のいる家庭ではなかなか厳しい時間帯だ。それをこういったサービスを利用することで合理的に時間をつくることができるようになる。日本でも共稼ぎの家庭が増えているのでこの種のサービスが普及するかもしれない。
オンラインで買い物、しかも食料品までというと横着しているようにも見えるが、現代のライフスタイルに合わせて需要を伸ばしており、いずれは一般的になるかもしれない。全面的に肯定はできないけれど、外食に頼るよりはいいんじゃないかな。

