2003年3月アーカイブ

戦争

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残念、という言葉を通り越して、恐ろしいことにとうとう戦争が始まってしまった。
政治や宗教について語るときは言葉を選ばなくてはならないので、できるだけ New York Watch では避けてきた話題の一つなのだが、今の New York を自分の記憶にとどめておくためにも少しだけ書き留めておこうと思う。


戦争が始まり、テレビ番組も、特に CNN のようなニュースチャンネルは戦争一色になった。その一方で主なネットワークはニュース以外はそれまでの番組構成のため、戦争はとても現実離れしているように僕には感じられる。がこの後紹介したように Manhattan では緊張した様子がうかがえる。

アメリカが仕掛けるこの戦争、政治的な背景や戦後にアメリカ・イギリス等が受ける権益を鑑みれば、この戦争の意味というのもわかるのだが ( 受けいられるとは言わないが、そういった利益追求の一面が存在することは理解できる )、驚いたことに多くの戦争支持者はこの戦争を正義の戦争だと疑ってかからないことだ。
いいとか悪いとか抜きにして、よっぽど「アメリカにとってオイルの利権がのどから手がでるほどほしい、そのための戦争なのだ」と言った方がストレートで、戦後の他国のそしりを受けてもその方がまだすっきりしているというものだが、そういったことを隠していかにも世界の警察を名乗り、正義のための戦争だと言っているところがあまりにも欺瞞ではないかと思う。そしてそれをなぜかそのまま信じる戦争支持者たち。

テレビを見ていてそれがなぜだかぼんやりと見えてきたような気がする。テレビのニュースではどうも「意図的」に報道内容を取捨選択しているように見られるのだ。うがったものの見方をすれば、「情報操作」と見えなくもない。通り過ぎる街中の子供たちがアメリカ兵士に向かってうれしそうに手を振る様子、アメリカ側に降伏してきた兵士の様子はたくさん画面に映し出されるものの、決して負傷しているイラクの人たちの様子をみることは「アメリカの」ネットワークからはみることができない。

情報操作と思われるのはニュースだけではない。テレビで放送される映画の種類までどうもきな臭いのだ。
昔から映画の中ではいつも悪役に描かれるアラブ人・アラブ世界。これはハリウッド映画界とそれを動かす経済界の圧力もあるからなのだが、つい先日も映画チャンネルで中東での作戦実行中に捕虜として捕まった兵士が虐待を受ける映画をやっていたりして、明らかに今回の戦争を意識した番組構成が行われている。普通に考えれば、戦争当事国であるアメリカは、他の関係の無いアラブ諸国とさらに現在戦争に赴いている兵士達に配慮してこういったシーンがある映画は流さないものではないだろうか。わざわざそういった人たちの感情を逆撫でし、意図的に煽りを入れるような悪意をどうも感じてしまうのは、僕の気にしすぎだろうか。

アメリカで生まれて、英語しか話せない人にはこれしかニュースソースが無いので、自ずと判断材料もこれだけとなり、果たして正しい情報が伝わっているかはなはだ疑問だ。これは以前から書いていることだが、移民のバックグラウンドがまだ強く残り、少なくとも二カ国語話せたり、理解できる人はより多くの情報を得ることができる。幸い他国からのテレビ番組が見られるアメリカではニュースもその一部として入ってくる。ここから少なくともアメリカではフィルターのかけられたニュース以外の映像情報を得ることができるのだ。その分だけより事実に即した正しい判断ができるのではないかと思う。白人の居住する地域では圧倒的にこの戦争に対する支持が厚いが、ここ New York では是非もっと戦争の早期終結に向けて声があがっていくことを望みたい。


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そしてイラクにアメリカが侵略を開始したあとの New York の様子だが、それまで通りと言えばその通りだし、どこか緊張感が感じられると言えばそのようにも取れる。戦争に突入したからといって New York の街としての機能を停止することは不可能なので、街中で見られる風景にあまり違いは無い。その一方、Times Square など人が多く集まるところでは自動小銃を持った警官や軍人が警備に当たっている姿は、自分が今戦争当事国にいるんだということを思い知らされる。
うちからは地下鉄で行った方が便利でもときには車で Manhattan 内を運転することがある。911 以降も主な橋やトンネルの入り口には米軍と NYPD の警備車両が常駐して、ランダムにトラックや乗用車をチェックしていたのだが、その後しばらくして Alert が下がったこともあり行われなくなっていた。
ところがイラクへの侵略戦争が始まると New York 市内の Alert レベルは上から二番目に引き上げられ、またしても警察車両が警備を張るようになった。しかも今回は常にヘッドライトを点滅させ、非常灯をチカチカと点滅させるので否応なくその存在感を感じさせられる。加えて最近は主だった交差点でパトカーが停止している。具体的な怪しい車両を止めて積み荷を確認している、というシーンにはまだ遭遇していないが、おそらくあちこちにパトカーと警官を配置している理由はやはり威嚇の意味が強いのだと思う。ただ橋やトンネルを爆破するというような計画は911以降何度も伝えられていて、もしテロリストだったら同じ計画を何度もするとは思えないし、第一地下鉄で人間が運ぶ方がよっぽど警備の目をくぐり抜けられる。NYPD としてはこれが精一杯なのかもしれないが、テロの予防には十分とはいえないんじゃないだろうか?

加えて全米各地で行われている抗議集会や、さらに最近は支持者の集会も行われるようになった。当然これらの集会にも警官が動員されるため、場所によっては騒然とした雰囲気になる。悲しいことに逮捕者もでているようだ。

ふと郊外を運転していたときに気がついたのだが、高速道路であちこちにいた覆面パトカーもスピード違反取り締まりのパトカーも、街中を巡回パトロールするパトカーもめっきりと見かけなくなった。ほとんどの人員が Manhattan の警備に当てられているのだろう。これに乗じて軽犯罪を犯す輩が出ないといいのだが。


日曜日、近所の deli に New York Times 日曜版と飲み物などを買いに行ったときのこと --- 何度かここで紹介しているが、僕の住んでいる Atoria はギリシア人中心に発展してきた町だが、今は様々な人種が住んでいてとても国際色が強い。この deli も肌の色が浅黒い人たちが経営している。詳しくはわからないがアラブ系の人たちではないかと思う。
僕が必要なものを手にしてレジに向かうとちょうど3人の少年達が店に入ってきた。たぶん年の頃は高校生くらいで黒人二人と一人のヒスパニックだった。
片腕に分厚い New York Times 日曜版を抱えながらソーダコーナーで飲み物を物色していると、少年の一人が店員に話しかけ始めた。
( ここでは雰囲気を出すために「じゃん言葉」を使用します。まあ彼らが Ebonics を使っていたのでこんな感じに聞こえる )

「よぉ、いい靴はいてんじゃん」
「・・・」( 低い声でぼそぼそと返答しているのでよく聞こえない )
「Timberland だろ? 高いじゃん。おまえら Rich だろ?」
「Rich なんかじゃないよ」
「地下に貯めてんじゃねえの?」「地下にはほかに爆弾もあるんだろ?」

店内にはタバコを売っているカウンターの中にもう一人店員がいたのだが、この会話の風向きが妙な方向に向かっていることに危惧したのだろう、黒人に話しかけられている店員に何か自国語で声をかけている。
他の少年二人は特に興味があるわけでもなく、またもう一人の黒人少年に荷担するわけでもなくただ突っ立っているだけだったので、それほど心配することもなさそうだったが、このあとどんな会話になるかちょっと興味があった。問題の黒人少年は片手に紙幣を持ちながら、チョコレートやガムの値段を聞いているので買い物に来たついでにからかっているだけのつもりのようだが、話しかけられている店員の方は「はいそうですか」とは気軽に言えないんじゃないかと思う。悔しい思いや怒りがあるはずだ。それでも僕は買い物を終えてお釣りももらっており、そのまま立ち話を聞いているのもなんだったので店の外に出た。

少年たちのほんの好奇心から出た一言なのかもしれない。けれどもその一言が時には受け取り手の記憶にずっと残ることもある。メディアは少年たちに誤った意識を植え付けることの無いよう、公平な取材と報道をすべきではないだろうか。
もともと黒人、そしてヒスパニックは差別される対象の側にいた。現在もまだまだ差別は残っているだろう。しかしそれを忘れてさらに弱い立場の人たちを差別する社会は、あきらかに間違っている。こんな意識が存在する国では平和と言う言葉は存在しないのだろうか。

PC買い換え

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今回も New York と関係無いネタで恐縮です・・・。

pc1.jpg
左がこれまで使用していたCompaq機。右が新しい主力機DELL。デザインはどちらもあまり好みではないが・・・

うちには2台のノート PC と1台のデスクトップ PC があり、普段はこのデスクトップマシンをメインに使用している。アメリカに来てから購入したメインマシン、2代目(台)だ。AMD が CPU のクロック競争で初めて1GHz 台に乗せた Athlon 1GHz の初代機で、Socket ではなく、Slot 型の CPU を搭載している。だからということもないのかもしれないが、巨大なファンが2つも CPU に搭載され、これに加えて電源ファン、ビデオカードファンと相まって静音マシンとはいいがたい。その後、ハードディスクを買い足し、メモリを加えて3年経った今でも現役でパフォーマンスにもそれほど不満は無かった。
それでも買い換えたい、という気持ちにこのところさせていたのはモニターの解像度だった。モニターはアメリカに着てから買った最初に PC ( DELL から買った ) ときに一緒に購入した19インチのモニターを使っていた。
これまでの300万画素や400万画素ではこのモニターでもフォトレタッチをするときに縮小したイメージで作業しなくてはならなかったのに、昨年600万画素のデジタル一眼レフ EOS D60 を購入したものだから、余計に画面が手狭になった。
そうなると「もっと大きな画面が欲しい」と思う気持ちが沸々としてきて、年末あたりからチャンスをうかがっていたのだ。

さらにその前の PC が Pentium2 300MHz だったから 1GHz へのアップグレードへは CPU のクロックが3倍になったときだった。今回もちょうど Pentium 4 3.06GHz が発売になっていて、これがちょうどクロック3倍になっている。自分にとって excuse しやすい状況だ。
ただ出始めの CPU は異常なほど価格が高く設定されているのでなかなか手を出しにくい。そこで今回は最低限の構成で$1000を切ったら購入しようと決めた。最低限の構成とはメモリと HDD のサイズが少なくてもよいということで、これは後から安く調達できるものだ。
さて PC をアップグレードするとき、買い換えではなくてマザーボードや CPU を載せ替える方法もあるのだが ( 実際に日本にいたときに一度その方法で PC をアップグレードした ) 今回試算してみると CPU だげで$600~$700、マザーボードに$100ちょっと、それに新マザー用の電源、メモリとハードディスクを入れるとおそらく$900近くなってしまう。この価格は微妙なところだ。$1000出すと、つまりプラス$100払うと、新しいシャーシに静音設計された PC がで手にはいるのだ。実際自分で組み立てるとなると音源カードも新しくしたり、ビデオカードも新調したいと欲がでてくるので、こうなると値段は同じか却って高くついてしまう。しかも CPU にあわせて買う CPU ファンなども選択がむずかしくて手間の割にはあまり節約ができそうにない。
となると使えるのはケースのみなので、どうせなら新しい PC を買った方が楽だし安くつくというものだ。そこでどこから買うかいろいろ検討してみたが、やはり値段の割にパフォーマンスが高いのは DELL となった。HP や SONY の PC の中にもなかなかよいデザインのものがあるのだが、余計なソフトがたくさんついていたりして割高なのだ。特に SONY の 2003年型の VAIO デスクトップなどはツインタワーみたいであれはあれですっきりしていてよいのだが、3.06GHz Pentium 4 搭載機となるといろいろなオプションとソフトウェアがついたモデルしかなく、とても高いのだ。どうせ英語のソフトなんかほとんど使わないのでこういうのはありがた迷惑なのだ。

個人的にはあまり DELL のデザインは好きではない。プラスチックのような素材できているのはまだいいとしても、黒とグレーのツートンという色合いがどうも安っぽく見えて仕方ない。でもデザインだけで決めるわけにも行かず、パフォーマンスでいえば確かに DELL の独壇場なのは確かで、今回は DELL から購入することにした。

pc2.jpg
新しい22インチモニタ。ノメリコムを表示させてもこんなに広いデスクトップ空間が残っている。

実はこの時点でモニターはすでに買い換え完了していた。NEC/Mitsubishi の22インチモニターを2月に これまた DELL のオンラインサイトでセールしているときを見つけて購入していたのだ。このときは何も考えずに配送先を自宅に指定したのだが、あとから「しまった。会社に転送するには大きいので翌日会社を休んで受け取るかなぁ」と考えていたのだが、ある日帰宅してアパートの階段を上ると自室のドアの前にこのモニターの入った巨大な箱がおかれていたのだ。大家が週に何日かアパートで作業をしているので、運良くこのときに UPS が配達にきてくれたようだ。
今回は前回紹介した dock3 のサービスを使って会社のロビー近くにある dock3 のオフィスに配達してもらい、会社の帰りに PC をピックアップして持って帰れるようにオーダーした。
ちなみに DELL などオンラインストアの場合、アメリカではよくクーポンが発行される。これをうまく利用すると$100ぐらい軽く節約することができるのでこれから購入する予定の人はうまく利用するといい。代表的なクーポンサイトは techbargains.com や dealsea.com といったものがあり、ここを毎日見ているといろいろなオンラインサイトのクーポンやセール情報が随時更新されているのがわかる。DELL や amazon.com の場合は頻繁にクーポンが発行されるので、「これぞ」という買い物のときにクーポンがでるのを待ち、DELL のオーダー画面でクーポン入力画面が表示されたところでその長い数字の羅列をカットアンドペーストすればよいだけだ。
僕の時も10%オフクーポンがあり、$100の節約ができた。

そうして届いたのが今、この New York Watch を書いている PC だ。メモリは最小限、HDD ももっともサイズの少ない30GB のものをオーダー。標準で CD-RW/DVD-ROM ドライブがついていたんだけど、プラス $100 で DVD+RW/R、CD-RW マルチドライブにアップグレードができるプロモーションがあったので、これだけオプションで追加。これで DVD も焼ける ( たまった写真はこれから DVD かな? )。オーダーするときはまず dock3 のホームページを開き、そこに表示されている DELL のアイコンをクリック。するとブラウザ画面の上部には dock3 を利用しての配達する場合の住所などの情報が表示される。僕の場合は dock3 - HY04 という架空の送り先が表示された。で DELL のオーダー画面でこの配達先を記入するだけで、荷物は dock3 に届くのだ。ちなみに dock3 からリンクの張られているサイトで買い物して、配達を dock3 にした場合は、通常の荷物受け取り預かり代行料金$3が無料になる。

オーダーするとすくに到着予想日などがトラッキング画面などで表示されるので、その日にあわせて後日メモリと HDD を追加で購入しておく。メモリはオンラインで512MB PC2700 が$60ほどで買えた。HDD も上に紹介したサイトでセール情報を見つけ、80GB サイズのものを CompUSA にて購入。$70弱だった。
ついでに Adaptec から出ている PCI インターフェース用 IEEE1394 ( 通称 Firewire ) カードも購入。これまで使っていた Compaq 機には最初から Firewire インターフェースが搭載され、MO や デジタルカメラ用メディアリーダなどをつないで使用してきたのだ。Firewire の方が USB1.1 よりはるかに高速 ( USB2.0 とは比較していないのでわからない ) だし、個人的には USB より断然安定している様に感じる。

PC も届き、別注文しておいたメモリも会社宛に届いた。早速 メモリをインストールし、大容量 HDD をプライマリにつなぎ変え、OS を日本語版に入れ替える。使い慣れたソフトをインストールしてやっと使えるようになった! 最初に画面サイズの変更を行い、2000を越える解像度で表示させる。最初の感想は「うぁー広い!」
上に載せた写真がまさにそうだが、もともと1600×1400で使用していたので、2000を越える解像度となると1.5倍以上面積が広くなる。写真も前よりだいぶ広く表示されるようになったし、快適快適!
クロックが現在最高速の3.06GHz でしかも Hyper-Threading Technology を搭載した CPU でどのくらい体感速度が違うか・・・だが、あきらかに OS やアプリケーションがサクサクと起動する。よく使う Adobe Photoshop 7 はもともと起動に時間がかかるが起動すればそれほどパフォーマンスに不満は無かったがこれはさほど体感的には変わらない感じ。起動にはやはり数秒かかる。
メモリ、HDD それと IEEE1394 PCI カードを増設するときにケースをあけたのだが、このときに感じたのはメンテナンスの容易さ。これは今まで使ってきた PC の中でも特に秀逸。通常 PCI スロットに何かカードを増設するときはドライバーを使い、空いているスロットの金属ガードを取り外さないと増設できないのだが、DELL のこの機種はそれが全く必要ないのだ。すべて脱着レバー一つでできるようになっている。これと同じくことは HDD の増設も同じで、全くネジを回すことなくステイにちゃんと装着した上で空きドライブにきちんと増設できる。もちろんケースを開けるのもドライバーいらずだ。
この様子は言葉で説明してもわかりにくいが、同じケースを使った上位機種のレビューをスタバ斉藤氏が行っているのでその様子はリンク先の写真を見て欲しい。

何をやっても激ッ速!! ストレス全然ナッシング!

特に ココ の写真を見てもらえるとわかるが、HDD 増設の際のステイなどはこんな風にして予備のものがケースの裏側に固定されているのだ。不要になればまたここに戻すことができ、とてもすっきりしている。さっきはデザインが気に入らない、なんて書いたが、内側はたいしたもんだ。見てくれは・・・だが中身はいいやつ、ってとこか。


これまで3年間がんばってきた Compaq 機。Linux を入れて遊んだりルータとして遊ぶとか、いずれ自宅サーバを立ち上げるときのマシンにするか・・・いろいろ悩んではいるのだが、いずれにせよでかい PC が2台もごろごろしていると部屋が手狭になる。加えて19インチモニターもダイニングテーブルの下に置いてあり、何かと邪魔になっている。日系ストアにチラシを張って売った方がいいかな。

今回のアップグレードの目玉である CPU は3GHz。これまで使用していた PC のものと比べてクロック数で単純計算3倍になっているが、だからといってノメリコムの更新も3倍にならないところが残念なところだ。これだけはマイペースということでご勘弁を。

今回はちょっと New York とは関係のない、一般的な話題を紹介。


インターネットが低速接続からブロードバンド接続時代を迎え、より多くの人たちが使うにつれ、様々な web サービスが生まれては消えていった。無料でスタートしたものが有料になったものも多いし、サイト同士の合併なんてこともよくあった。
その中ですでにインターネットの世界で老舗と言われるようなコマースサイトはやはり、サービスが徹底しているところだろう。実世界では商売初めて10年ぐらいでは老舗とはおこがましいが、めまぐるしく流動的なこのインターネットの世界では5年も続けば老舗と言えるんじゃないだろうか。
早くからインターネットの商用利用が盛んだったアメリカからはたくさんの海外進出が相次いでいる。Yahoo! や eBAY や amazon それに DEL などはその最も成功した例だろう。もちろんこちら見ていても楽天など日本発の企業が頑張っている様子も見て取れる。が世界的な企業レベルで成功するユニークなビジネスモデルと言うといまのところアメリカ発のものが多いようだ。

そんな中でアメリカならではの生活習慣を利用した新しい web サービスが定着しはじめているのでその2つを紹介してみたい。

dock3logo_side.gif
dock3 のロゴ

一つ目は、dock3
一口にそのサービス内容を書くと、会社員向けの仮想コンビニエンスストアサービスということになるだろうか。dock3 は主だったオンラインストアと提携しそれらへのポータルサイトとなっている。各ショッピングサイトで購入した品物の受け取りが会社の中に設けられた dock3 専用窓口で受けられるのだ。つまり勤務先が dock3 と契約しており、その専用カウンターを設けていない場合は利用できないが、大手の会社の中に徐々に進出しているようだ。
提携サイトは多岐に渡っており、DELL や Officemax、JCrew、amazon のように PC、衣料、文房具、書籍といった比較的オンラインで購入しやすい品物を取り扱っているサイトの他、葉巻や食料品、植物など実際に見てからでないと購入が難しいものまで幅広く取り扱っている。dock3 のサイトからこれらのオンラインサイトに直接リンクが張られており、それをたどっていくと常にブラウザの上部に「配送先 は dock3 - 各人固有のID、送り先住所 ( この場合僕の働いている会社の中の dock3 事務所 ) が表示され続ける。実際にオンラインで購入し、送り先をしているするところでこの住所を入力すればよいのだ。このように dock3 と提携していて直接リンクが張られている業者から買い物し、それを dock3 受け取りにした場合は無料でそのサービスを受けられるが、そうでないサイトで買って dock3 で受け取りサービスを依頼すると1アイテムに付き$2程チャージされる仕組みになっている。

僕が特に重宝しているのが、荷物の受け取りサービス。夜間でも宅配業者が配達してくれるようになった日本と違って、まだアメリカの主な宅配は夜間の配送はしてくれない。もちろん「午前」「午後」の指定も出来ないし、配送の前に確認の電話をくれることも無い。たいていは帰宅すると不在配達票がドアに貼り付けられていて、それから対策を練るのがいつものことなのだ。たとえば Fedex の場合はあらためて平日のどれかを指定して配送依頼をしたり ( 有料で土曜日の配達オプションもある )、平日の夜 8:00PM 近くまで近くの配送センターが開いていて、会社帰りに車で立ち寄って荷物の受け取りができる。USPS ( 郵政公社 ) の場合だと再配達ではなく、後日郵便局に取りに行くことになるが土曜日もやっているのでこれもあまり不都合は無い。問題は UPS で、土日は配送しないし、不在票を持って自分で受け取りに行くことも出来ない。しかも3日連続で勝手に配達をトライしてその間受取人が留守の場合は、さらに勝手に差出人に荷物を送り返すというとてもドライなサービスなのだ。なので UPS は一番使いたくないのだけれど、オンラインで買い物をすると一番値段が安いのか、多くのサイトが UPS を採用していることが多く、買い物の度に頭を悩ますことになる。
それほど荷物が大きくない場合は、1度目の配送のあと、UPS に電話して、送り先を勤務先にしてもらうなどして対処することが多い。最初から勤務先を送り先に指定すれば、ということもできるが、クレジットカード会社によっては billing address と送り先が異なる場合これまた事前に登録をしないといけない、など意外と制約が多く、そう簡単にいかないのだ。
その点、この dock3 は荷物の受け取りを代行してくれ、荷物が届くとメールで連絡が来ることになっているのでかなり便利だ。PC など大きなものを注文して、UPS に会社に送らせると会社のメール係りが僕の席まで持ってきてくれることになり、あまりに私的な買い物には使いにくい。しかも大きなパソコンの箱を帰宅時まで自分の席においておくのもなんだし、さらに会社を出るときには会社の備品でないことを証明しなくてはならないのでいちいち面倒だ。その点、dock3 が受け取ってくれた場合は帰宅時までそこにおいておき、帰るときに受け取って車に積めばいいので楽だし、送り先も勤務先でなく dock3 になっているため、会社の備品でないことは一目瞭然でセキュリティのチェックも明らかに楽なのだ。

サービスの種類はまさにホテルのコンシェルジュ的で、映画やミュージカルチケットの購入と受け取り、写真の現像 ( デジタルカメラも可 )、ドライクリーニングの受け渡し、DVD レンタル、荷物は代行受け取りだけでなく発送ももちろん行ってくれる。近いうちに Mobile が車のオイル交換サービスを開始するようだが、トラックかなにかで社員向け駐車場にやってきてサービスをしてくれるのだろうか。

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freshdirectのロゴ

もう一つ紹介するのがこの freshdirect
実は freshdirect は dock3 の提携サイトに入っているので dock3 の画面からもリンクが張られている。がこのサイト自身が大きなサービスを提供している。
このサイトは今まで難しいとされていた食料品、それも生鮮食料品を中心としたオンライン販売サイトなのだ。
たとえば果物1つとってもそれがわかると思うが、近所の青果屋とデリで同じ種類のリンゴを売っていたとしても鮮度や値段はまるで違うし、もちろん味だって異なるはずだ。同じスーパーで買うにしても1日違えば入荷のタイミングに応じて味も、鮮度も変わってくる。まして同じ箱の中に売られている同種のリンゴだとしても皆選んで購入するはずだ。なのでこういったものを見たり手にしたりすることなく買うことにためらいを感じる人は多いと思う。
この freshdirect はその点をグルメショップと同様な高品質の生鮮食料品だけ取り扱うことにしてクリアしようとしているようだ。サイトを訪れてみるとわかるが、市井のスーパーマーケットにに比べると割高である。2つで$1で売られていたりするグレープフルーツもここでは1つがそのぐらいの値段で売られている ( 日本はもっと高いかもしれないが )。面白いのはその商品に合わせて状態を表すランクづけがなされていることだ。たとえば果物ならどれだけ sweet かが基準になり、肉類ではどれだけ tender かといったランクがつけられている。販売しているのは生鮮食料品に限らずソーセージなどの加工肉や、瓶詰め缶詰、調味料しいては晩ご飯向けの温めるだけの食事やスープ、デリ総菜 ( ツナサラダなど ) まで取り扱っている。
これもオンラインで注文し、後日社員向け駐車場にやってくる freshdirect のトラックから仕分けされた荷物をうけとることになる ( 家にデリバリーを頼むオブションもある )。
ちなみに各種食料品のアイコンがよくできているので、これだけでも一見の価値ありだ。


前者の dock3 のようなサービスは似たようものが日本でもコンビニエンスストアで受けられると聞く ( 僕が日本にいたときはそんなにたくさんのサービスをしていなかったからよくわからないけれど )。大きな違いはコンビニエンスストアが万人向けのサービスを想定しているのに対し、dock3 はターゲットを会社員に絞っているため、サービスの種類を絞りその分手厚くサポートすることができる。コンセプトは「サラリーマンにもパーソナルアシスタント」なのかな?
freshdirect もそういう意味では夫婦共稼ぎの家庭をターゲットにしているのだろう。アメリカで働くようになって真っ先に気が付いたのは女性の従業員が多く ( 部署によっては女性の方が男性より多いところも )、当然待遇も性別による区別がないこと。当然責任も負うことになり、その分帰りが遅くなることもあるのだろう。
アメリカでは週末ともなるとスーパーマーケットに家族で一週間分の買い物に来る人たちの姿を見ることが出来る。巨大なカートにそれこそ「ほんとに一週間でそんなに食べるの?」というくらい大量に買い込んでいく。シリアル、大量のペットボトルのコーラ、子供の弁当用のポテトチップス、冷凍のハンバーガーセット、冷凍肉の固まり・・・。他人のことは言えないが、あまり健康的な食料品を買い出ししている人の姿を見ることはまれだ。しかも一週間分まとめて、というと生鮮食料品はなかなかむずかしい。のでこんな商品ばかりがカートに乗るのもわからなくはないが・・・。
では野菜や魚介類はその都度買うかというと、仕事が終わってからスーパーに立ち寄り、その後で料理を作っていたのでは食事をするのが夜9時を過ぎてしまうかもしれない。子供のいる家庭ではなかなか厳しい時間帯だ。それをこういったサービスを利用することで合理的に時間をつくることができるようになる。日本でも共稼ぎの家庭が増えているのでこの種のサービスが普及するかもしれない。
オンラインで買い物、しかも食料品までというと横着しているようにも見えるが、現代のライフスタイルに合わせて需要を伸ばしており、いずれは一般的になるかもしれない。全面的に肯定はできないけれど、外食に頼るよりはいいんじゃないかな。

今年で2回目を迎える Latin Film Festival。先月の博物館ネタに続き、New York Watch らしい Cultural な ( ? ) 話題が続く。



New York に引越ししてきてもう5年以上経つのだが、振り返って気が付いたのが「映画をよく見るようになった」ということ。
もちろん日本でも映画は見ていた。といっても大作と言われるような映画を見るぐらいだったので多くて数ヶ月に1度、映画館に足を運ぶ程度だった。それがこちらに来てからは多いときは週に1~2本、少ないときでも月に1本くらいの頻度で映画館に行くようになった。それに加えて DVD ムービーを買ったりレンタルして見ることもあるし、ケーブルテレビでも少なくとも20もの映画チャネルが常時映画を流していてそれを見ることも多いので、映画と一緒に過ごす時間は明らかに長くなったはずだ。
なんでそんなにたくさん見るようになったか・・・自分の中の変化について書いてもこれを読んでくれる人たちにはあまり関係ないことなので省略するが外因としてはやはり「気軽さ」が一番大きいと思う。
気軽、というのはつまりチケットが安い、劇場が多くまた1つの劇場内で同時に複数上映しているので待たずに座ってみられる、夜遅くまでやっている、なんて事があげられる。入場券は場所によって多少異なるが僕の近所や Manhattan の多くは$9.50前後。特に朝一番などは$5で入れる映画館などもある。日本の映画館は僕が学生のころからたぶん1800円前後と値上げもなく続いているようだが、アメリカではじりじり値段があがって最近では日本の前売り券とあまり変わらない値段になってしまった。それでもまだ安いことには変わらない。
映画館の数については正確なデータによるものではないが、一人あたりの映画館 ( というか客席数というか ) は明らかに多いと思われる。僕がよく映画館もうちから歩いて数分のところにあり、平日であっても夜中の11時、12時ならまだ駆け込みで見ることが出来る。
多くの劇場は1つの建物の中に複数のシアターを持つ cinema complex 形式なのだが、公開直後の大衆向け大作などは複数のシアターで上映させるので並ぶことなく見ることが出来るのはさすが映画が娯楽として確立されているアメリカならではだと思う。多いときなどは20分、30分ずつずらして上映させるほど。それでも来る人が多いときなどは午前中に映画館に行って窓口でチケットを買おうにも「今夜の23:00まで満席です」なんて言われることがあるのだから、如何に多くの人が映画を見ることか。

lacinemafe3.jpg
Festivalが催されているManhattanの劇場の1つ。このようにManhattan、Queens、the Bronxの複数劇場で同時に行われている。

思い出してみると、アメリカに来てすぐに映画を見始めた訳ではない。
今でこそ何とか暮らしているものの、来た当初はもっと英語理解力はひどいもので、テレビを見ていても「???」となるのが常だった。テレビはまだ英語ながら字幕が出せるので耳だけでなく字面を読んでも理解できるが、映画館で見る映画となるとそうもいかない。
それで映画館に足を運ぶようになったのは住んでからだいぶ経ってのことだった。
それでもこちらの友人が引っ張ってでも連れて行ってくれるようになり、これがまた映画を見始めるきっかけとなり、英語の理解にも役立つようになった。そうなると今度はコンスタントに映画に行くようになる。というのも毎週のように何かしら新しい映画が公開され、しかも映画が日本以上に受けいられたエンターテイメントになっているので、食事に行くのと同じような間隔で映画館に足を運ぶようになるのだ。
日本にいたときは友達が集まるとカラオケボックスに行っていた時期があったが、アメリカに来てそれが映画に変わったようだ。

そんな中、Dominican の友達から「もうすぐ Latin Film Festival があるから見に行かないか」と誘われた。そもそもそんなフィルムフェスティバルがあること自体知らなかったし、当然映画はラテン諸国、つまりカリブ海や中南米の国で作られた映画だろうから出演者が話す言葉もスペイン語だろうと、最初はあまり乗り気ではなかった。それでも内容を知りもせずに判断すべきでないことは New York での生活の中から学んだことの一つで、見てみようという気になった。折しもそのちょっと前に「 talk to her 」というスペイン人監督の映画 ( その前作 「 All about my mother 」は日本でも人気があった様子 ) を見て、スペイン ( ラテン ) 文化の映画に興味を持ち始めたところでもあった。

さてこのフェスティバルだが、Manhattan や Queens 、それに The Bronx にある複数の映画館を同時に使用して開催される。なので見たい映画が異なる映画館で上映される場合は移動しなくてはならないし、場合によってどちらか一方をあきらめなくてはならない。それでも曜日と時間を変えて同じ映画を2度上映するので、うまくスケジュールを組めばほとんどの映画が見られそうだ。
内容はもちろんラテン文化にちなんだもの、となっているが、出品している国を見ると先ほどの3島に加え、メキシコ、ペルー、ブラジル、エクアドル、グアテマラ、コロンビアなど南米の主だった国に加えて、欧州スペインからの出品も目に付く。また US からの出品もあるが、これは US に住んでいるヒスパニックの人たちが作成した映画なのだろう。
期間はおよそ一週間。この間5つほどの映画館で上映されると言うことで仕事帰りに見られそうな映画を友達といくつピックアップしてみた。

フェスティバル開始初日は月曜日だったが、仕事が終わってからの上映映画なら見られるので、何人かの友達にメールを送ってみるとそのうちの一人から返信があった。「今日7:00PM に上映される映画見に行くつもりだったけど、いく?プレスパスが一つ余分にあるんだ」
7:00PM というと僕が帰宅する時間で、それからその映画館 ( Bloominddale's デパート近く ) に駆けつけるとなると7:20PM にはなってしまいそうだ。どうやら時間に間に合いそうもないのでプレスパスを持っている友達は先の Dominican の友人と一緒に見に行くことになった。そのときに照れ入れたのが一番下に紹介したプレスパスだ。
初日ということもあって映画上映前には関係者やプレスを集めての祝賀会がこの映画館で開かれたと聞いて、それなら映画に間に合ったじゃんとは、後の祭り。
僕が最初に見たのは一日おいて水曜日の夜。これは僕が住んでいる Atoria にある映画の博物館で上映されたので、会社帰りにそのまま車を止めて見に行くことができた。この日時間帯があって一緒に見に行けたのは例のプレスパスを持っている友人。内容はキューバのドキュメンタリーで、タイトルは" El Juego De Cuba "という。ちなみに英題は「 Cuba's Game 」となっている。その名前から予想されるように、ゲーム、すなわちキューバの国民的スポーツ、野球がテーマになっている。カリブ海の国の中には野球が盛んな国がいくつかある。ドミニカ共和国、プエルト・リコ ( ここはアメリカだが ) そしてこのキューバにおいては野球が国民の間でも人気があり、また強い選手を擁している国としても有名だ。そんなキューバで野球がどのように歴史に関わってきたのかを伝えるスペイン・キューバ合作ドキュメンタリーだ。言い方を変えると野球を通して見るキューバの近代歴史ということもできる。
もともとキューバも他のカリブ海諸国・南米と同じくスペインを宗主国としていたが、その独立の動きにあわせるかのように、人気のスポーツもサッカーから野球に移行したのだが、これはスペインに対してのアンチテーゼだったそうだ。しかしその後はキューバと米国の関係は急速に冷えていき、やがてキューバ危機の時代を迎える。完全に国交が断絶したあともキューバの野球選手達のゲームをプレイしたいという気持ちは募っていったようだ。もちろん国内にリーグはあるのだが、この時代はアメリカの経済封鎖下にあり、満足に野球をすることもままならないような状態だったようだ。
そんな状況下である年、プエルト・リコで汎カリブ海諸国運動競技会が開かれた。いわゆるカリブ海諸国におけるオリンピックのようなもので、もちろん野球もその一種目だった。しかしプエルト・リコはすでに米国准州となっているため、アメリカ政府がキューバ選手にビザを発行しないという手段を取ったため合法的に訪問することができなくなってしまった。それでもキューバ選手団とキューバ政府は飛行機に乗り込み、プエルト・リコに向けて飛び立った。するとアメリカ空軍がすぐさま緊急発進し、やむなくキューバ機は国に戻ることになる。
それでもあきらめきれない選手団達は今度は大型フェリーに乗り込んで船でプエルト・リコに向かうこととなる。映像もデッキでの運動風景を紹介しているのだが、単なるウォーミングアップではなく、地上での練習ができないことを見込んでかかなり本格的だ ( その一方で船酔いで苦しむ選手達の様子も紹介されていた )。フェリーがプエルト・リコに近づくとやはり今度はアメリカ海軍が厳重な警備の元、空と海から威嚇をしてくる。プエルト・リコの島はもう目と鼻の先なので選手の中には「泳いででもいく」という人たちが現れるが、実はその海域は鮫が多く、ドキュメンタリーでも鮫がフェリーの前に顔を出す ( 背びれを出す ) シーンが見られる。最終的にはキューバ選手団の上陸を認めたアメリカだが、彼らを正式参加させない手段を取るなど最後まで政治的な駆け引きが続いた。
またその後の食料難にあう同国にあって野球選手達も昼は普通の仕事をし、夜はプロ野球をするなど苦しい生活が強いられる。そして選手達の中にもボートを漕いでフロリダにたどり着き亡命を果たすものが出てきた。まさに命がけの野球選手たちだったのだ。
映画はアメリカを非難するでもなく、キューバのカストロ政権を避難するでもなくただ淡々と野球が政治の変遷にどう翻弄されてきたかを描いているが、こういった観点で世界の歴史を見るのもとても興味深いことだった。
映画を見終わって出口のところで女性が立っており、観客に紙を手渡している。どうやらフェスティバル参加映画のコンテストがあるようで、僕もこの映画には excellent の欄をマークしてカードを返した。
実はその後、違う映画館でプエルト・リコの映画を見る予定だったが、最初に見た映画が遅れて上映開始したのではしごは無理だった。

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ドミニカ共和国の人たちが作った映画の上映後の舞台挨拶。

次に見たのはドミニカ共和国の映画。翌日の夜、8:15PM 上映開始なので仕事帰りにゆっくり見に行けた。タイトルは" Pasporte Rojo "、英題は「Red Passport」。こちらはストリーベースのフィクションもので、紙幣を印刷することのできる原盤を巡る一種のギャング映画だ。撮影の舞台となっているのはたぶん New Jersey で出演者も皆 Dominican ながらアメリカ生まれの人たちばかりのようだ。昨日の映画は出演者がスペイン語で話し、英語の字幕だったのに対し、これは出演者が皆英語で話している。
Jail を出てきた男が過去のしがらみを精算するために、かつての偽札づくりの仲間を訪ねその原盤を探し出す、というもので単なるギャング映画よりはもっと庶民的な生活が描かれている。この映画はフェスティバルを紹介してくれた例の友人 ( Dominican ) と行ったのだが、この友人はこの映画を単に娯楽映画として楽しんだものの、他にも誘った Dominican の友人はこの映画が自分の国を Disgrace していると行って見に来なかった。確かに巨額な予算を使って作られたハリウッドのアクション映画は規模もでかいので、現実離れしていてたとえばそれがイタリアンマフィアだとしてもそれをイタリア人全員に当てはめて考えることなどないのだが、こちらは低予算映画なのでロケをしている場所も出演している人たちも身近な場所の身近な人たちなのだ。その分かえって妙なリアリティが感じられてしまい、そのせいで Dominican のイメージがこういう映画で固定されるのはいやだ、と言う気持ちもわからなくはない。実際映画中では、詐欺、恐喝、不倫、殺人などあらゆる悪事が出てくるのだが、それは主人公が自分の生まれ故郷のドミニカ共和国に帰る前に清算しなければならない過去なのだ。その一方で前妻との間に生まれた、一度も会ったことのない自分の娘に対する純粋な気持ちも描かれていて、「なーんだ、日本の任侠映画と同じではないか」と妙な親近感を持ったのだ。確かにあの映画がアメリカで公開されて、やくざな世界が今の日本だと思われたら、それは僕も違うというかもしれない。
タイトルになっている「 Red Passport 」だが、ドミニカ共和国のパスポートカラーから来ている。赤いパスポートって日本だけかと思っていたらここでも使われているとはちょっとした発見だった。

この日は上映後、監督、俳優の舞台挨拶があった。上でしている写真はそのときの舞台挨拶の風景だ。
実は上映中、何度か拍手があがったが、それは見慣れた町が出てきたり、知り合いが映画に出ているからのようだ。知り合いがまじめな顔をしてせりふを言っているのがどうにもおかしかったのだろう。なのでシリアスな映画ながら観客と作成側が妙に緊密でわきあいあいとした舞台挨拶になっていた。

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Press用パス。これさえあれば無料で映画を見られる。

その後も映画を2本見た。(この2本は日曜日の夜に続けて見た。ちょうどこの日はブリザードがやってきた日で、映画館を出たときは外は一面の銀世界になっていた )。先の友達からプレスパスをもらっているので、チケット代を半分ずつ出し合ったので1本分の値段で2本見られたのだ。
最後に見たのはショートフィルム集で内容こそまちまちだが、とても情緒的な映像で言葉がポルトガル語だったり、スペイン語だったにもかかわらず感覚的にうなずけるシーンがいくつもあった。

一口にラテンの映画だから、というコメントを書くことは無理だしナンセンスかもしれないが、が日本人の観点から感じたのは、とても情緒的なアプローチで、どこか日本人の感覚と近いものがあるということ。やはりラテン文化はとても情熱的、情緒的ななのだろうか。
アメリカのハリウッド大作がすべてハッピーエンドで終わり、筋道がとても理路整然としているのに対して、こちらはとても優柔不断だし、ストーリーもそれに併せて右に左にと揺り動かされる。人間の感情に起伏があるのをうまくこういう映画では描いている。思いっきりストレスを発散するにはハリウッド映画の単純明快な映画もよいが、時には他の人の気持ちになりきって映画に感情をコントロールされるのもいいものだ。
気軽に他文化に触れることのできるのはやはり New York のよいところ。今回もラテンカルチャーにふれるのにまたとない良い機会となった。映画を複数見ただけで理解したとは思えないが、その存在を意識することはできる。映画でも書物でも音楽でも、何かを通して異文化を意識することで国ごとのいさかいも少なくなっていくのでは?そんなことをキューバのドキュメンタリーを見ながらふと思った。

今度は僕が日本映画祭に友達を連れて行かなければ。

Latin Film Festival 公式サイト
http://www.lacinemafe.com

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