2003年4月アーカイブ

今冬は雪の日が多く、またその量も例年よりはるかに多い季節となった。そのせいもあってか今年の New York の春は少し遅くやってきた。
春の訪れ、といえばやっぱり桜。ということで毎年恒例の桜の写真を少し紹介しておこう。

写真はすべて Canon Powershot G2。

sakura4.jpg
Roosevelt IslandからQueens Boro Bridgeを望む

このあたりで、本格的な桜というと、それはやはり Washington D.C. だろう。これまでにも New York から D.C. まで日帰りの花見を何度か敢行したが、高速に乗って片道4~5時間かかるのでいつも強行軍だ。今年も天気がよければ友達と D.C. の桜を見に行く予定だったが、ちょうど皆のスケジュールが合った都合の良い日に限って、天気予報が「天候が不安定」と伝えられ、さっさと計画は雲散霧消してしまった。

そこで今年も去年と同じく、近所にある桜の隠れた名所、Roosevelt Island にちょこっとだけ写真を撮りに行くことにした。
ここには去年も来て、そのときに New York Watch でも紹介しているので Roosevelt Island については今回さらりと紹介しておこう。場所は Manhattan と Queens の間にあり、通勤・通学にも便利なことから人気のある居住エリアの一つになっている。Manhattan には一つだけロープウェイがあるのだが、それがこの島と Manhattan を結ぶもので、一般に tram と呼ばれている。また近年は地下鉄がこの島に停まるようになり、Manhattan と Queens が劇的に近くなった ( 地下鉄は Manhattan - Roosevelt Island - Queens を結ぶ )。歩いて一周するのもあっという間なほど小さな島ながら、車で乗り入れることもでき、その場合は、Queens 側から橋を渡ることになる。なので Manhattan から車で行く場合にはまず Queens Boro Bridge を渡って Queens に入り、そこから戻る様にして Roosevelt Island に渡ることになる。この島に渡るための橋は、僕のアパートから一番近い駅、36th Avenue 駅の真下を通る、36th Avenue から入ることになる ( なのでうちからはとても近い )。

sakura3.jpg
僕が行ったときはちょうど満開で花びらが風に揺れて少し舞う程度だった

この日は、時々晴れ間ものぞく曇りがちの日。いつものように Canon Powershot G2 を手にとって車に乗り込み、進路を Roosevelt Island へと進める。
去年行ったときとは違い、今年は Roosevelt Island に入ったところで STOP サインがあり、ここに NYPD ( New York市警 ) のパトカーが止まって、島に入ってくる車をチェックしていた。特に窓を開けて話したりする必要はないが、一時停止ラインがあるので、あちらは車のナンバーや乗っている人の表情をチェックできる。僕もちょっと気になったので「桜の花の写真を撮りに来たんだけど・・・」と念のため確認すると「桜はいいけれど、ここには発電所があるから、その写真と橋の写真を撮らないように」と指示された。
気分的にのほほんと桜の写真を撮りに来ただけのつもりだったが、こういうシーンが端々に見られ、その都度「戦争中の国なんだ」と感じる瞬間だ。

去年も行った島の最南端・・・といっても歩いていけるような距離だが・・・に行くと、あまり知られていないとはいえさすがに車を駐車するのはなかなか大変だ。もともと道の片側にしか停められない上、桜並木の目の前は病院があるのでそこを訪れる人たちも車を停めているのだろう。
なんとか駐車違反ぎりぎりの場所を見つけ ( まあこういう日はあまり警察も駐車違反の切符を切らないだろう ) 車を停める。

近くには10人ほどの日本人が芝生の上にシートをひいて昼食を食べている他は、まばらな人しか見あたらない。ほとんどが散歩をかねて桜を見に来たと言った感じだ。僕も早速カメラを取り出して写真を撮る。
Queens Boro Bridge や国連本部ビルを背景にして桜の花の写真が撮れるので記念撮影をしている人も多く、カメラを持って歩いているだけで数回「写真を撮ってもらえませんか」と頼まれた。


この桜の写真を撮ったあとの一週間は結構肌寒い日が続いたため、桜も散らずにこのまま一週間咲き誇っている。その次の日曜日は Brooklyn 植物園で桜祭りが開かれるそうだ。友達が弁当を作って花見に行こうと誘ってきたので天気がよければもう一度花見ができるかもしれない ( ただし植物園中へは食べ物の持ち込みが禁止らしいので、Prospect Park で食べてから、ということになりそうだ )。
僕自身は桜の花が散利始めたころが一番好きなので、ちょうどいいタイミングかも。ただ Brooklyn 植物園の桜は有名なのでものすごい人出かも。もし弁当でもつまみながら静かに鑑賞死体なら、是非 Roosevelt Island がオススメ。Tram が動いていたらそれに載っていくのも一興。

それにしても訳もなく桜の花に惹かれるのはやっぱり日本人だからなんだろうなぁ。( ← 最近誰も行ってくれないので自分で言う。悲。)


後ろに写っている青いビルは今年何かと話題になった国連本部ビル。クリックすると拡大写真


桜の花を撮るのは結構難しい。桜の花の色をきれいに出そうとすると空の多さが飛んでしまうし・・。クリックで拡大写真。

奇妙な風景

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そうそう、前からこの写真を紹介しようと思っていて延び延びになっていた。
最初に見つけたのは Bloomingdale's デパートのそば。なんでこんなところにこんなものが、と思っていたら他の場所にもあることを発見。その後謎を追っているうちについ紹介しそびれてしまったのだ。

nitro.jpg
買い物客が大きな袋を持って歩くような歩道になぜかこんな無粋なものが。この写真はミッドタウンで見つけたボンベを撮ったもの。

Bloomingdale's というと、Manhattan にある代表的な百貨店の一つで、うちからだと地下鉄で数駅で行けるのでもっとも多く利用することが多い。近くにはもともとあまりアパレル関係の店がなかったのにここ数年、Diesel や Banana Repblic などが店を構えるようになり、ちょっとした買い物エリアになっている。
またすぐ隣のブロックは長いこと空き地だったのだが、ここも工事が始まり、すでにだいぶ骨組みができてきた。ちなみにこのビルは現 New York 市長、ブルームバーグ氏所有の物と見えて、高層ビルの名前もブルームバーグビルとなるようだ。第二のドナルド・トランプか。
そんな Bloomingdale's デパートの真ん前の歩道にいつのころから設置されたこの大きなボンベ。近くで工事をしているわけでもなく、ただ交差点の信号機に寄り添うようにして置かれている。
ボンベには「 Nitrogen 」とだけ書かれていて、「近寄るな」とか「さわるな」とか「危険」というような文字も無い。なので特に危険はなさそうだが、それでも妙な風景だ。写真ではわかりにくいかもしれないが、ボンベ上部の注入口のようなところは氷の固まりができている。

最初は Ntrogen がなんの物質かわからなかったけれど、辞書で調べてみると ( 液化 ) 窒素のことを指すらしい。モノを低温で保存するようなときに使われるようだ。そういえば、映画ターミネーター・シリーズ2「 T2 」で新型ロボット T-1000 が工場で凍り付いたのは Liquid Nitrogen と言っていたっけ?

でもなんでそんな物がこんな買い物客がにぎわう通りにおいてあるのだろう。インターネットで検索して見るも、何もヒットしない。
そうこうしていると、Manhattan の他の場所でも発見。これって911以降の厳重な警備と何か関係があるのかな。何か知っている人、New York Watch までご連絡を!

Manhattan に旅行で来る人の中でレンタカーを借りて市内を運転する、という人はまれではないかと思うが、それでもタクシーを利用した人たちは小さな交通規則の変更に気づいているんじゃないかな?

thrustreet.jpg
Manhattan のストリートのいくつかに取り入れられた右折も左折もできない通り

Manhattan 内の運転は慣れてしまえば結構簡単で道に迷うことも少ない。迷ったところで、道は碁盤の目状なので、すぐにリカバリできる。東京と Manhattan、どちらが運転が大変かと考えてみると、僕にとっては New York より長く住んでいたのに東京の方が面倒だと思う。
僕が日本で自分の車を持っていた頃はまだカーナビが普及するかどうかの時代で周りでは誰も持っていなかった。その一方で都内は道が曲がりくねっているので東西南北の感覚をすぐに失ってしまう。なので都内を運転するときは基本的に道を知っていないといけないか、そうでないときは自然と地図に頼るかだ。
もう一つ大きな違いは、New York では ( というよりたぶんアメリカ全土だと思うが ) 通りにすべて名前が付いていることだ。なので道順を口頭で説明するときには「○○ street を直進して、○○ Rd にぶつかったらそこを左折。次に○○ drive の交差点にぶつかるのでそこを右折」などとすべて通りの名前で伝えることができるが、日本だとだいたい目印を使って説明することが多いのではないだろうか。

ところで Manhattan 内では南北に走るのが Avenue で 東西に走るのが基本的には Street だが、これらの多くは一部を除いてすべて一方通行だ。Park Avenue や3rd Avenue の一部、それに何本おきかの Street が対面交通になっているが、こういう通りでは左折が制限されているところが多い。車は右側走行なので左折しようとすると対面の交通が途絶えるまで待たねならず、そうすることで渋滞を巻き起こすからだろう。平日の日中は右折か直進しかできないところが多い。逆に一方通行であれば、直進はもちろん右折可能な Avenue ( つまり北に向かっての一方通行の Avenue )では右折でき、左折可能な Avenue ( 逆に南の向かっての一方通行 ) では左折が可能だ。
ところがこのルールも最近変更されたのだ。エンターテイメントと商業、金融の街、New York は平日の昼間は荷物の積み卸しをするトラックでごった返す。平日の道路は「荷物の積み卸しに限っての停車可」と標識に書かれているところがほとんどだが、ひとたび渋滞が起きると連鎖反応を起こしてあたり一体が渋滞してしまう。これは Street と Avenue がそれぞれ一方通行のため、構造的に仕方ないのかもしれない。Street などは両脇に車が駐車してあると、通れるのはだいたい一台だけ。これがゴミの収集車だったり、荷物の積み卸しでふさいでしまうと、その道に入ろうとする Avenue が渋滞し、今度は Avenue に入ろうとする一本横に平行している Street が渋滞・・・となるのだ。そこで New York 市が新たに制定したのはいくつかの Street を急行の様に車を右折左折のために停止させないようにすることだ。これを Thru Street と呼んでいる。ちょうど写真を上で紹介しているのだが、これは2nd Avenue で撮ったものだ。この Street はいったん入ってしまうと 6 Avenue までターンを許されない。この間に 3 Avenue、Lexington、Madison、5th Avenue、Broadway があるのでこれらの Avenue で曲がりたくとも曲がるとチケットを切られることになる。

幸い、平日の昼間に運転することも少ないし、できるだけそういうときは地下鉄を使うようにしているが、タクシーの運転手などなれないと大変かもしれない。
「あ、このタクシー運転手、遠回りしている」と思ったらもしかしてこの Thru Street に入ってしまったのかもしれない。

「東京の物価高は世界一」。かつてはよくそういう話を耳にしたけれど、果たしてすべての面でそうかというと意外とそんなこともなく・・・

station.jpg
Times Square駅がきれいに化粧直し中。こんなタイル画があちこちの駅に。EOS D60撮影

時々自分でもヘンかな?と思うんだが、何かを買い物する拍子にまだ日本円や日本の物価と比べてしまうことがある。もちろん旅行でアメリカに来ている人は、ほとんどすべての買い物を円に換算したりすると思うし、僕もこちらに来たばかりのころはそうだった。こっでしか買えない物でも「日本円にするとこれくらいかぁ、高いなぁ」なんて。
こっちに引っ越ししてきた当初から給料はドル払いだったので、本来は気にする必要ないのだろうけれど、長年住んだ日本の価値判断というのはそう簡単には消えないものだ。その後何年も経ち、ほとんどのケースで日本円に換算することはなくなったが、それでも必ずしてしまうときがある。それは日本食料品店に行って、日本食料品などを購入するときだ。これがそういうものだ、と割り切れば日本の製品はちょっと高いなぁとアメリカ人は思いながら買える物でも、その店が貼った値札の横にもともとのメーカー希望小売価格などが印刷されていたりすると、「げ、元の値段がこれなのに、ここではこの値段?」と二の足を踏んでしまうこともたびたび。この辺が中途半端な新移民なんだろうなぁ。

さて一般にどこが物価高かという議論になると、たいてい東京が一番となる。僕も東京の物価が高いことは認めるが、ここ数年思うのは「 New York の物価も上がってきた」ということ。物によっては New York の方が物価水準の高い物もある。
単位面積あたりの土地の価格による比較だとまだ東京の方が高いのかもしれないが、生活に身近なものを用いて比べるものにマクドナルドのメニューがときどき取り上げられる。まあ毎日使用する ( 食べる ) ものではないけれど、世界中にあるので確かに比較はしやすい。もともと食料品の値段は安いはずのアメリカだが、New York ではちょっと事情が異なる。土地と人件費が高いので、それが価格に跳ね返っているのだ。なので同じ New York でも郊外に行くとマクドナルドのメニューは価格が異なる。日本全国一律の値段で提供しているマクドナルドと比べるとそれだけで New York は割高感がある。特にセットメニュー ( Value Meal ) では日本でかなり割り引きがあったそうだが、ここ New York では$4~$5 それに8.25%の税金が付き、日本円にすると700円近くになることも。それに店内は汚いし、店員のサービスはたいてい悪いし・・・と単純に価格プラスサービスで比べると遙かに東京の方が安いことか ( 笑 )。まあマクドナルドの世話になることも滅多にないのでそれはよいとしよう。最近はマクドナルドに続いて世界中に STARBUCKS コーヒーも進出しているので、これを使った比較もどこかで読んだ。がやはりこれもアイテムによっては東京の方が安かったりする ( STARBUCKS も場所によってコーヒーやカプチーノの値段が違うのだ )。

思うにアメリカの物価が安いというのは New York などの大都市をのぞいた場合の話ではないかと思う。確かに New York はアメリカにあって、アメリカの一般的な生活を代表するところではないかもしれない。スーパーマーケットなどで購入する食料品に関しても野菜・果物・肉類は総じて安いが、味・香り・形など品質的な比較まで含めると果たしてどちらがいいのか疑問だ。安くてもうまくなけりゃ食料品じゃないし。

そんな中、日常的に足として利用する地下鉄やバスの運賃改定が行われることになった。
一番最初に New York に来た10数年前は確か1トークンが$1だった。現在は$1.50だが、確かに長いこと運賃が据え置かれていたのは確かだ。が今回の値上げは地下鉄・バスともに$1.50から$2へと、なんと30%を越える値上げ幅だ。今回値上げになるのは地下鉄・バス運賃のほか、同じく MTA が管轄する Long Island Rail Road ( 通称 LIRR ) にまで及ぶ。こちらの値上げ幅もやはり25%とかなり大きい。当然ニュースでも大きく取り上げられ、街角インタビューでも憤慨している利用者の声を多く紹介していた。その多くは、

「サービスもよくないし、しょっちゅう工事ばかりしていて路線が変更されたり不通なっていることが多いのに値上げなんてもってのほか」

とか

「リストラもせず、企業努力もしないでただ値上げするのはおかしい」

という物が圧倒的に多かった。新聞の見出しでも「値上げに見合うサービス向上が見込めるか」というようなタイトルが並んだ。実際のところどうなのかといわれると、明らかにファシリティは改善されてきている。
かつての New York の地下鉄というと、照明が薄暗く、昼夜ともなく小便の臭いが立ちこめ不愉快な上に、危険という悪評ばかりだった。僕が覚えているだけでも駅どころか時には車両にも警官が乗り込んでいた物だ。それが New York の犯罪発生率の低下に伴い、駅が改装され、照明も日本の地下鉄同様蛍光灯に取り替えられ明るいイメージになった。安心して夜中に地下鉄を利用することもできるようにもなった。深夜早朝に地下鉄を利用すると駅を水で清掃している風景もよく見かけるようになり、不潔というイメージも払拭されつつある。また古い車両も徐々に消えつつあり、かわりに日本の川崎製鉄が納めている静がで揺れの少ない新車両があちこちで見かけられるようになった。その中でも一番大きな違いを感じられるのは各駅を順番に改装し、きれいなタイルで壁画を飾っていることだ。こういう努力でだいぶ使いやすい地下鉄に改善されたと、といえる。
その一方で上に書かれているように地下鉄のメンテナンスが頻繁に行われていて、これが利用者を混乱させている。こういったメンテナンス工事は必ずどこかの路線でやっていて、週末ともなると駅にはべたべたとその告知が張り出される。ひどいときにはバスでピストン輸送する区間が出たりもするのだ。24時間運転を実施するために必要なメンテナンスなのかもしれないが、それにしてものべつまくなしに行われているので、さすがに自分が利用とする地下鉄が不通になっているとわかるととてもうんざりする。

ふと値上げの話に戻って不思議に感じたのはこれだけの大都市でありながら、MTA 以外の競争相手がいないことだ。一般のイメージではアメリカは公正な競争が常に行われていて低価格とサービスが提供されているように感じられるが、少なくとも New York の交通機関にはそれが当てはまらない。MTA は地下鉄、バス、フェリー、それにトンネルや橋も管轄しているので、値上げされたからといって利用者が代替の交通機関にスイッチするということはまず不可能だ。おかしいことにこれはインターネットのブロードバンドやテレビ放送にも言える。ケーブルテレビなど地域ごとに一社、場所によっては二社選べるが、しかないので、自然と CATV インターネットを提供する会社も固定され、また DSL も電話会社毎の違いが全くなく、料金も同じ、しかも日本ほど高速ではない。これでは価格競争というのはまったく起きそうにない。今回の値上げもサービス改善のために仕方ないのかもしれないが、競争がないため安易に値上げできたという感も否めない。

ちなみに地下鉄の運賃値上げは地下鉄一回乗りの$2だけではなく、たとえば1日フリーパスはこれまで$4だったものが$7に値上げするなど全般に渡る。これまでは3回以上地下鉄を利用する場合にはフリーパスのほうが得だったが、$7に値上げされれば、4回利用しない場合には元がとれないことになる。第一$7って日本円にすれば800円強だが、これは高いよね。日本のように距離に応じて値段が上がっていく運賃制度とは異なって一律料金だが、短い距離で地下鉄を利用している人が多いのも事実だ。なので一律料金を保つために値上げをするのだとすると、これはちょっとたまったものではない。
運賃の値上げは5月から。あまり知られていないことだが、値上げと同時にこれまで利用できていたトークンも廃止される。すべてメトロカードに移行ということらしい。実際のトークンの販売は4/13で終了する。


さてタイトルになっている「自分専用のバス停」だが、これはこの料金改定の告知を地下鉄内の広告で読んでいたときに見つけたもの。僕も知らなかったのだが、夜の10時から朝の5時までの間は、バス停以外のところでも路線上であれば、好きなところで停めてもらうことをリクエストできるというもの。「 Request-A-Stop 」と呼ぶサービスらしい。バスの中には高速道路や橋、トンネルを渡るものもあるし、交通量の多い交差点を渡るところもあるので、あくまで運転手が安全と判断したところ、ということになっているが、それでも深夜にバスを利用する人にとってはうれしいサービスかもしれない。運賃改訂前からあるサービスのようだが、こういう改善は大歓迎。旅行で New York に来る人も是非「自分専用のバス停」気分を味わってみてはどうだろう。

MTA 運賃値上げ告知のページ
http://mta.info/mta/news/public/fares/nyct.htm


先の日曜日の早朝より、アメリカは Day light Saving、通称サマータイムになりました。夜中の2時に、3時になりました ( ってヘンな表現 )。1時間ずれたことを実感するのは夕方かな。陽が長くなった、という感じ。

久々の P.S.1

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以前にも紹介したことのある、P.S.1。もともと公立小学校だったところが今は美術館になっているところだ。
久しぶりに特別展示を見に行ったので久々に写真を多用して紹介 ( このところ写真が少なかったからなぁ )。

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静寂な中にも、中からのどを絞って歌っているような音楽が聞こえてくる。

絵や彫刻にどれだけ興味があるかというと、正直なところあまり・・・といったところ。美術館は行けば行ったで楽しいのだが、それでも主に「あ、これ昔の美術の教科書に出ていた」という程度の知識しか持っていないので、もう少しバックグラウンドを持っていたら、楽しんで見られると思うのだが。
なのでそんな僕が同じ美術館に2度、3度足をのばすのは実はとても珍しいことではないかと、自分でも思う。でも不思議と P.S.1 は居心地がよくて今回もまた行って来たのだ。

この美術館は MoMA の別館となっており、特に現代芸術を中心に展示をしているのだが、そういう意味ではすべてがいつも特別展示であり、定期的に中身が入れ替わる。なので行けば毎回新鮮な驚きがあるのだが、現代芸術と言うことでその新鮮さも他とはちょっと違う。単に見るだけに終わらず、見に来た人が経験することがアートとしているものも中にはあり ( 言葉にはしにくいのだが、その例については後ほど書こう )、どこか冒険心をくすぐるものがある。
今回、P.S.1 を見に行こうと思った直接の契機は、その特別展示にあった。確か日系フリーペーパーで見かけたと思うのだが新鋭日本人アーチスト展が開かれる、との記事だった。ここは一つ同胞人として、サポートしなくては、などという軽いノリで見にいくことにした。2月は Latin Film Festival を Latino の友達につきあっていろいろ見たから、今度は日本人の番だ。

場所はうちからほんとに車で5分足らず。地下鉄だと一度 Queens Boro Bridge 駅で7番ラインに乗り換える必要があるがそれでも目と鼻の先だ。P.S.1については以前も紹介したのであまり詳しくは書かないが、もともと公立小学校だったところからこの名前がついている ( Public School 1。つまり第一小学校のこと )。ここをそのまま美術館として再利用しているのだ。なので細かい部屋がたくさんあり、展示向きだったりする。
近くに車を止め、早速$5を払って中にはいる。

敷地内に入ると、元は校庭だったと思われるところが砂利が引き詰められいつも何か屋外型の展示があるのだが、今回は上の様な車両が一つ、ポツンと配置されていた。

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銃弾の後が痛々しい

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作者、オノ・ヨーコ氏のコメントが日本語で書かれている

広い敷地に車両が一台だけ置かれている様はどこか寂寥感が漂う。本来前後に線路があり、また前にも後ろにもつながっているべきものがあって初めて鉄道だと思うのだが、線路はその場所にあるだけで、牽引する車両もない。どこかに置いてけぼりにされた雰囲気がある。
この作品はあの有名なオノ・ヨーコ氏によるものでドイツの車両を買い上げたもののようだ。4面ともに小さな穴が無数にあいている。これはおそらく銃痕だと思われる。テーマについては語らずもがなで、下の写真に書かれた彼女のメッセージを読むとわかるだろう。アメリカが戦争に突入した今、さらにその重みが増してくる。

ps1-6.jpg
こんなアイデアっておとなにはなかなかできないかも。

基本的には館内撮影禁止である。とはいっても小さなカメラで写真を撮っている人もいて、「PS1」と言う文字が大きく書かれたTシャツを着ている係員もそれほど厳しくカメラを持っている人をチェックしたりはしない。もちろんぱしゃぱしゃ撮っていると注意されると思うが。
この写真、実はどうしても撮りたくてこっそり撮ってしまった写真。元々教室だったところを改造して作られた小部屋なので、この中には同時に2人しか入れない。

最初に行ったとき廊下で中にいる人が出てくるのを待っていたのだが、それぞれ中の人が出てくると「Oh my god...」と大きなため息をついて出てくる。いったいこの角を曲がると何があるんだ?と否応なく期待がふくらむ。
いよいよ自分たちの番が来て、「中に入っていいよ」と係員に指示され、入り口で靴の上にかぶれる大きなスリッパのようなものを渡され、それを装着して中にはいる。なぜそんなものをつけるかというと、実は下はすべて砂糖なのだ。中は細い廊下が一本あるような小さな家を模したものだが、なんとそのすべてがクッキーでできているのだ。ちょうど子供の時に読んだ物語「お菓子の家」をそのままに再現したイメージだ。中には椅子やテーブルがあるのだが、それらもすべてクッキー。よおく見るとクッキーはどれも形が大きさがまちまち。つまりすべて手製のようだ。
白熱灯の照明が照らされているのだが、その光がさらに暖かさを増し、しかも甘い香りをさらに充満させている。前に出てきた人たちが感嘆の声を上げながら出てくるのがよくわかる。この部屋は子供より大人が子供の心に戻れる不思議な空間を提供してくれる。

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扉を開けるとそこは真っ白な壁に木でできた椅子が4面設置されている部屋だが・・・

ps1-4.jpg
なんと天井は青空!

展示は他にもいろいろあったが、もう一つ驚かされたのがこの小部屋。
廊下からかつての教室だった部屋に扉をあけて入ると、そこはカーペットが引き詰められ、壁は背もたれの高さまで木でできた椅子が4面を囲む部屋だった。背もたれの上はまっしろな壁となり天井へと続くのだが・・・その天井が青空なのだ。最初に扉を開けて入ってくると明るい部屋に驚き、そして上を見て開いた口がふさがらなくなる。この部屋に入ってくるとまずは壁に配置された椅子に座り、皆青空を眺める。僕らが入ったときは10人くらい人がいたのだが、誰も無口でしかもニコニコしながら上を向いている。何も無いのに、人に笑みを与えるこの空間、まさしくアートだろう。次から次へと人が入ってくるが、皆がものすごく驚いた顔をしたあとで、さらにニッコリ笑う。先に来た人たちはそんな人の様子を見て、「ほらね?」と言うような顔で微笑み返す。それも一種のコミニュケーションだ。隣同士の話声もささやき声でとても不思議な時間が流れる。

もちろんこのほかにもいろいろな展示があり、とても興味深いものが多かった。身元の不明な人が自殺した現場の写真と当時の新聞記事をコレクションした展示には英文も添えられていて、アメリカ人も熱心にそれを読んでいた。そこには何か生と死を結びつける何かがあるのだろう。僕には東京の見慣れた景色に見えたが、アメリカ人にはどう写ったか。
この特別展のほかにはビデオによる作品発表がメインのフロアである、1Fで行われていた。名前だけは知っている、ナム・ジュン・パイクの作品などもあったが、どうやらビデオによる現代美術は僕には難解だったようだ。数十個のモニターを見て回るうちにめまいがしてきてしまった。

もともとが小学校なのでそれほど大きな建物ではなく、ゆっくり見て回っても2時間ほどで出てこれると思うが、足や目が疲れたら1Fにあるカフェテリアで一休みするといい。こういうカフェテリアのサンドイッチやブラウニーなどあまり期待してなかったのだが、そのどちらもとてもおいしかった。もし機会があれば、ここのステーキサンドイッチを試してみてほしい。ちょっとピリ辛ドレッシングがきいた、あっさりサンドイッチなのでおやつにぴったりなのだ。

近所にあって年に一度行くか行かないかの美術館だが、こんな風に自分参加型の現代アートは週末に気分転換に行くにはぴったりだ。入ってくるときに見た戦時中の車両を今度は帰り際に見て通る。気軽に楽しめる芸術は平和あってのものだと再度考えさせられながら帰途についた。

P.S.1
詳しくは公式ウェブサイトで。
http://www.ps1.org/

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