地下鉄値上げと自分専用のバス停

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「東京の物価高は世界一」。かつてはよくそういう話を耳にしたけれど、果たしてすべての面でそうかというと意外とそんなこともなく・・・

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Times Square駅がきれいに化粧直し中。こんなタイル画があちこちの駅に。EOS D60撮影

時々自分でもヘンかな?と思うんだが、何かを買い物する拍子にまだ日本円や日本の物価と比べてしまうことがある。もちろん旅行でアメリカに来ている人は、ほとんどすべての買い物を円に換算したりすると思うし、僕もこちらに来たばかりのころはそうだった。こっでしか買えない物でも「日本円にするとこれくらいかぁ、高いなぁ」なんて。
こっちに引っ越ししてきた当初から給料はドル払いだったので、本来は気にする必要ないのだろうけれど、長年住んだ日本の価値判断というのはそう簡単には消えないものだ。その後何年も経ち、ほとんどのケースで日本円に換算することはなくなったが、それでも必ずしてしまうときがある。それは日本食料品店に行って、日本食料品などを購入するときだ。これがそういうものだ、と割り切れば日本の製品はちょっと高いなぁとアメリカ人は思いながら買える物でも、その店が貼った値札の横にもともとのメーカー希望小売価格などが印刷されていたりすると、「げ、元の値段がこれなのに、ここではこの値段?」と二の足を踏んでしまうこともたびたび。この辺が中途半端な新移民なんだろうなぁ。

さて一般にどこが物価高かという議論になると、たいてい東京が一番となる。僕も東京の物価が高いことは認めるが、ここ数年思うのは「 New York の物価も上がってきた」ということ。物によっては New York の方が物価水準の高い物もある。
単位面積あたりの土地の価格による比較だとまだ東京の方が高いのかもしれないが、生活に身近なものを用いて比べるものにマクドナルドのメニューがときどき取り上げられる。まあ毎日使用する ( 食べる ) ものではないけれど、世界中にあるので確かに比較はしやすい。もともと食料品の値段は安いはずのアメリカだが、New York ではちょっと事情が異なる。土地と人件費が高いので、それが価格に跳ね返っているのだ。なので同じ New York でも郊外に行くとマクドナルドのメニューは価格が異なる。日本全国一律の値段で提供しているマクドナルドと比べるとそれだけで New York は割高感がある。特にセットメニュー ( Value Meal ) では日本でかなり割り引きがあったそうだが、ここ New York では$4~$5 それに8.25%の税金が付き、日本円にすると700円近くになることも。それに店内は汚いし、店員のサービスはたいてい悪いし・・・と単純に価格プラスサービスで比べると遙かに東京の方が安いことか ( 笑 )。まあマクドナルドの世話になることも滅多にないのでそれはよいとしよう。最近はマクドナルドに続いて世界中に STARBUCKS コーヒーも進出しているので、これを使った比較もどこかで読んだ。がやはりこれもアイテムによっては東京の方が安かったりする ( STARBUCKS も場所によってコーヒーやカプチーノの値段が違うのだ )。

思うにアメリカの物価が安いというのは New York などの大都市をのぞいた場合の話ではないかと思う。確かに New York はアメリカにあって、アメリカの一般的な生活を代表するところではないかもしれない。スーパーマーケットなどで購入する食料品に関しても野菜・果物・肉類は総じて安いが、味・香り・形など品質的な比較まで含めると果たしてどちらがいいのか疑問だ。安くてもうまくなけりゃ食料品じゃないし。

そんな中、日常的に足として利用する地下鉄やバスの運賃改定が行われることになった。
一番最初に New York に来た10数年前は確か1トークンが$1だった。現在は$1.50だが、確かに長いこと運賃が据え置かれていたのは確かだ。が今回の値上げは地下鉄・バスともに$1.50から$2へと、なんと30%を越える値上げ幅だ。今回値上げになるのは地下鉄・バス運賃のほか、同じく MTA が管轄する Long Island Rail Road ( 通称 LIRR ) にまで及ぶ。こちらの値上げ幅もやはり25%とかなり大きい。当然ニュースでも大きく取り上げられ、街角インタビューでも憤慨している利用者の声を多く紹介していた。その多くは、

「サービスもよくないし、しょっちゅう工事ばかりしていて路線が変更されたり不通なっていることが多いのに値上げなんてもってのほか」

とか

「リストラもせず、企業努力もしないでただ値上げするのはおかしい」

という物が圧倒的に多かった。新聞の見出しでも「値上げに見合うサービス向上が見込めるか」というようなタイトルが並んだ。実際のところどうなのかといわれると、明らかにファシリティは改善されてきている。
かつての New York の地下鉄というと、照明が薄暗く、昼夜ともなく小便の臭いが立ちこめ不愉快な上に、危険という悪評ばかりだった。僕が覚えているだけでも駅どころか時には車両にも警官が乗り込んでいた物だ。それが New York の犯罪発生率の低下に伴い、駅が改装され、照明も日本の地下鉄同様蛍光灯に取り替えられ明るいイメージになった。安心して夜中に地下鉄を利用することもできるようにもなった。深夜早朝に地下鉄を利用すると駅を水で清掃している風景もよく見かけるようになり、不潔というイメージも払拭されつつある。また古い車両も徐々に消えつつあり、かわりに日本の川崎製鉄が納めている静がで揺れの少ない新車両があちこちで見かけられるようになった。その中でも一番大きな違いを感じられるのは各駅を順番に改装し、きれいなタイルで壁画を飾っていることだ。こういう努力でだいぶ使いやすい地下鉄に改善されたと、といえる。
その一方で上に書かれているように地下鉄のメンテナンスが頻繁に行われていて、これが利用者を混乱させている。こういったメンテナンス工事は必ずどこかの路線でやっていて、週末ともなると駅にはべたべたとその告知が張り出される。ひどいときにはバスでピストン輸送する区間が出たりもするのだ。24時間運転を実施するために必要なメンテナンスなのかもしれないが、それにしてものべつまくなしに行われているので、さすがに自分が利用とする地下鉄が不通になっているとわかるととてもうんざりする。

ふと値上げの話に戻って不思議に感じたのはこれだけの大都市でありながら、MTA 以外の競争相手がいないことだ。一般のイメージではアメリカは公正な競争が常に行われていて低価格とサービスが提供されているように感じられるが、少なくとも New York の交通機関にはそれが当てはまらない。MTA は地下鉄、バス、フェリー、それにトンネルや橋も管轄しているので、値上げされたからといって利用者が代替の交通機関にスイッチするということはまず不可能だ。おかしいことにこれはインターネットのブロードバンドやテレビ放送にも言える。ケーブルテレビなど地域ごとに一社、場所によっては二社選べるが、しかないので、自然と CATV インターネットを提供する会社も固定され、また DSL も電話会社毎の違いが全くなく、料金も同じ、しかも日本ほど高速ではない。これでは価格競争というのはまったく起きそうにない。今回の値上げもサービス改善のために仕方ないのかもしれないが、競争がないため安易に値上げできたという感も否めない。

ちなみに地下鉄の運賃値上げは地下鉄一回乗りの$2だけではなく、たとえば1日フリーパスはこれまで$4だったものが$7に値上げするなど全般に渡る。これまでは3回以上地下鉄を利用する場合にはフリーパスのほうが得だったが、$7に値上げされれば、4回利用しない場合には元がとれないことになる。第一$7って日本円にすれば800円強だが、これは高いよね。日本のように距離に応じて値段が上がっていく運賃制度とは異なって一律料金だが、短い距離で地下鉄を利用している人が多いのも事実だ。なので一律料金を保つために値上げをするのだとすると、これはちょっとたまったものではない。
運賃の値上げは5月から。あまり知られていないことだが、値上げと同時にこれまで利用できていたトークンも廃止される。すべてメトロカードに移行ということらしい。実際のトークンの販売は4/13で終了する。


さてタイトルになっている「自分専用のバス停」だが、これはこの料金改定の告知を地下鉄内の広告で読んでいたときに見つけたもの。僕も知らなかったのだが、夜の10時から朝の5時までの間は、バス停以外のところでも路線上であれば、好きなところで停めてもらうことをリクエストできるというもの。「 Request-A-Stop 」と呼ぶサービスらしい。バスの中には高速道路や橋、トンネルを渡るものもあるし、交通量の多い交差点を渡るところもあるので、あくまで運転手が安全と判断したところ、ということになっているが、それでも深夜にバスを利用する人にとってはうれしいサービスかもしれない。運賃改訂前からあるサービスのようだが、こういう改善は大歓迎。旅行で New York に来る人も是非「自分専用のバス停」気分を味わってみてはどうだろう。

MTA 運賃値上げ告知のページ
http://mta.info/mta/news/public/fares/nyct.htm


先の日曜日の早朝より、アメリカは Day light Saving、通称サマータイムになりました。夜中の2時に、3時になりました ( ってヘンな表現 )。1時間ずれたことを実感するのは夕方かな。陽が長くなった、という感じ。

2004/2追記
もともと上では料金値上げ告知のリンクを紹介していましたが、リンクが切れていたので料金そのものを紹介しているページにリンクを張り直してあります。

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このページは、hiroが2003年4月 8日 01:14に書いたブログ記事です。

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