気が付いたら5月ももう終わりに近づいている。今月の New York Watch はまだ2回しか更新していないぞ、とちょっと焦る。
実は週末までに更新しようと途中まで書き上げたのだが、Memorial Day の連休がやってきてタイムアウトになってしまった。連休中は New York を離れていたのだ。
今回は Street Fair の話を紹介。
撮影 : EOS 10D

Hell's Kitchenで行われたStreet Fairの風景
New York 市は Manhattan、The Bronx、Queens、Brooklyn それに Staten Island の5つの区からなるが、その中で町名が住所につくのはなぜか Queens だけで、あとは区が住所になる ( Manhattan の場合は New York だが )。つまり Queens だと、「 Flushing、NY 」とか「 Jamaica、NY 」となるのに対して、他の区域はでは「 New York、NY 」とか「 Brooklyn、NY 」とという記述になる。それでも Manhattan は各エリアに通称があり、その一つが Soho だったり、Harlem だったり、Midwotn だったりする。今回取り上げるのは通称「 Hell's Kitchen 」と呼ばれるエリア。
日曜日の昼過ぎ、新しく買ったデジタルカメラのアクセサリを購入しようと B&H に行くことにした。B&H については以前 New York Watch で取り上げたこともあるが、Manhattan にあるカメラ、ビデオ系機器の専門店だ。場所は 34th Street と 9th Avenue にあり、普段は地下鉄で行くのだが、この日は地下鉄の運行が乱れているという話を聞いて、車を出すことにした。ちょうど出かける前に近所の友達から電話があり、「暇なので一緒に行ってもいい?」と言う。そこで早速友達と連れだって出発。
B&H 近くまでやってきたところでやはり渋滞にはまった。そもそも34th Street は Macy's デパートがあるので普段から混み合っているのだ。とりあえず駐車スポットを探そうと付近のブロックを流してみるが、どこも車がびっちりと埋まっていて、そう簡単には見つけられそうにない。時間があるときは一カ所にとどまって待っていると必ず用事を済ませた人が車をどかすのだが、この日は購入するものも決まっていたのでそこまでせずに友達に車の運転席に座っていてもらい、二重駐車し、その間に僕が買い物を済ませることにした。それともう一つ駐車スポットを探してぐるぐる回っているときにおもしろそうなものを見つけ、買い物が終わったらそこに行ってみよう、ということになったのだ。
本題とかけ離れてしまうので B&H での話は省くが、この日は異常に混んでいた。初夏になったのでみんながカメラ・ビデオを使うシーズンになったのかも、などと思い、新しく買ったレンズ用にフィルタを一つ注文し、伝票をもらい、レジで支払いし、その後商品のピックアップをしたのだが、そのどれもが行列になっていた。
買ったばかりのフィルターを早速レンズに装着して、早速先ほど見かけた人混みに向かう。
34th street を運転中9th Avenue を通り過ぎるときに右 ( つまり uptown 方面 ) を見ると、車の通行を止め、完全な歩行者天国にし、そこで何かのフェスティバルをおこなっているのが見えたのだ。一般にこれを Street Fair と呼ぶことは昔の New York Watch を読んでいる人は知っているかもしれない。
早速一つとなりの Avenue を使って北上し、となりの 9th Avenue で Street Fair が行われていそうなところまで向かう。適当に車を停め、9th Avenue まで歩いて移動する。Midtown West で Chelsea の北あたりに位置するこのあたりが、Hell's Kitchen と呼ばれるエリアなのだ。
なんだか地獄の台所、というと聞こえは悪いがその通り、かつては行儀の良いエリアとは決して言えない場所だった ( らしい )。有名なところでは「 West Side Story 」はここ Hell's Kitchen を舞台にした物語で、イタリア系移民とプエルト・リコ系移民のギャングを描いている。新しめの映画では「 Sleepers 」もHell's Kitchen が話の発端になっている。多少誇張は含まれるだろうが、やはりここで描かれているような荒っぽい町だったようだ。
今では各国のレストランが、それこそ無数にできてすっかり町の顔も変わってしまったが、それでもあちこちを見て歩くと下町っぽい雰囲気が僕には感じられる。

ぶひ~。豚の丸焼き
いわば New York 版歩行者天国、または New York 版夏祭りとも言える Street Fair だが、この季節になると Manhattan のどこかで毎週の様にかならずどこかで行われているが、この日 Hell's Kitchen で行われた Street Fair は場所柄、とても規模の大きいものとなっている。
ここにたくさんのレストランやカフェがあるのは、Hell's Kitchen という名前に由来するように、昔から食堂などが多い地区だったのだろう。それが今ではさらにそのバラエティを増やし、中には高級なレストランもあるが気軽に訪れることのできるレストランが多いことにはかわらない。この Street Fair はこのレストランなどの飲食店がメインとなり、「 Internailnal Food Street Fair 」という名称で行われるのだ。他の Street Fair では Italian Sausage Sandwich や Spanish Food、それにクレープやレモネードを売る屋台が定番となっているが、この Street Fair ではそれらに加えて界隈のレストランも屋台を出しているため、普段屋台で見かけないようなものもその場で買って気軽に食べることが出来る。
珍しい食べ物と言えば、レストランに限らずここで紹介している豚の丸焼きなんかもそうかもしれない ( これは食べなかったけれど )。

歩道ではにわかサルサバンドが出来て、踊る人たちも
朝から何も食べずに出かけたのでこのころはちょうど空腹の絶頂だったこともあり、僕と友達はいろいろ食べ歩いた。覚えている限りのものを列挙すると・・・
まずはスナック。トウモロコシの粉を挽いてそれをフライパンで焼き、間にモッツァレラチーズを挟む甘しょっぱい食べ物で、実は一度 New York Watch でも紹介している代物だ。この食べ物、ちゃんと名前が着いているのだが、失念。後日もし名前が判明したらここに書いておきます。
で大きさはおせんべいを一回りを大きくしたサイズで黄色いコーンで出来たパンのようなものを2枚使ってチーズをサンドイッチ状に挟んでいるのだが、これが結構腹にたまる食べ物なのだ。ボリュームたっぷりのチーズのせいだろうか。普段だったらそれでおなかいっぱいになるところ、僕らは勇んで次の標的に向かって屋台巡り。
次に買ったのはシーフードパエリア。
Street Fair が行われている9th Avenue 沿いに店を構えるスパニッシュレストランが店の前に屋台を広げて、パエリアを販売。大好評なので、大きなフライパンにてんこ盛りのパエリアが次から次へとレストランのキッチンで作られては屋台に運ばれてきていた。
あまりに時間が無いのか、少々水っぽい。パエリアは日本の炊き込みご飯になんかよりはもっと水分が多い感じだが、友達に言わせるとこの日のパエリアは「ライス入りスープ」だそうだ ( パエリアとは別にそういう料理がカリブ海のスパニッシュの国々はあるのだ )。それは確かに大げさかもしれないが、食べ終わっても紙皿にスープがたっぷり残っていたので友達がそういうのも無理はないかも。
パエリアを食べたところで、とりあえず空腹も満たされたと言うことで食べ物の屋台以外の店をひやかしでのぞく。だいたいどこの Street Fair も売っているものは同じで、アクセサリ、音楽 CD、衣類、ろうそく、キッチン用品 ( 時には実演販売も )、彫り物や写真・ペイントなどのアートといったところだ。最近では盆栽なんかも売っていたりする。得てしてこういうものって買うときは気に入って手に取るのだけれど、実際にうちに帰ると無用の長物になってしまったりするものだ。なので何も買う予定は無かったのだが、たまたま入ったTシャツストアで Hell's Kitchen 特有のデザインのものを見つけ、思わず2枚購入 ( 1枚は日本からTシャツを送ってくれる N さんに )。
その後もしばらく Street Fair を目的無くそぞろ歩き。途中友達は知り合いに何人もばったり出くわしたりして、その都度自己紹介、そして「何食べた?」の挨拶が続いた。
写真では伝えにくいことが二つある。一つはかなり煙いということ。そしてもう一つはにぎやかだということ。屋台、しかもこの Street Fair は International Food Street Fair というだけあって飲食系の屋台が普通より多い。そのため両脇の屋台からは調理の煙がもうもうとあがる。
にぎやかなのは CD 販売の露店からだ。お互いに近すぎず適度な距離を保って CD 販売が行われているので、逆に言えばどこに行っても彼らが大音量で音楽をならしていて途切れることがない。そんな中、スピーカーでない音楽が聞こえ手北ので行ってみると屋台が並んでいるその後ろ、つまり歩道に近所の人たちが集まってサルサを演奏している。Puerto Rico の旗を振っている人もいれば、思わず踊り出す人たちもいて、にわかサルサクラブになっている。地元の人たちが演奏しているようで、それから判断するにミュージカル「 West Side Story 」にでてくるプエルト・リコ系移民は今でも多くの人たちがここに住んでいるようだ。

炭焼きステーキ。香ばしい。檻のような部分が360度回転してまんべんなく焼き上げる。
腹いっぱいとは行かないまでも腹八分か九分くらいでこのまま帰ってもいいかな、というころ、友達が「これ食べよう」と言って指さしたのが、左の写真の代物だ。これを食べるほどは腹減ってないよーというと「これは炭火で作っているからうまいよ」とちょうどその屋台で買ったおじさんがそのステーキ肉を見せながら僕らに話しかけてきた。それを聞いて友達はさらに食べたくなったらしく、行列の最後尾にならんでしっかりと一人前を確保。
友達が買った紙皿を見てみると、付け合わせにジャガイモまで載っている! 「いいから食べてみ!」( と英語だが ) と無理矢理食わそうとするので、仕方なく一枚 ( 紙皿には何枚ものステーキが盛られている ) 食べてみると、確かに香ばしい。ぎとぎとするような油もなく、程良く柔らかい。腹一杯だったのだが、一枚は平らげることが出来た。でもおなか空いているときに食べたらもっとうまいだろうなぁ。
このあと、フルーツシェイクを作る屋台に立ち寄った。ここは並んでいる数々のフルーツの中から好きなものを選んでその場でミキサーでシェイクを作ってくれる。大量のストロベリーにバナナ一本、それにパイナップルジュースで作ってもらったシェイクは濃そうな感じだが意外とあっさりとしていて、直前に食べた肉の残り香と後味を消すにはちょうどよい口直しとなった。
これから夏の季節、あちこちで見られる Street Fair。これに備えて腹を空かして Manhattan を歩かないと。