2003年8月アーカイブ

いつもここで取り上げる話題は、そのイベントが終わった頃になるので旬を過ぎていることが多いのだが、今回はそんなことの無いよう、ちゃんと間に合わせてみた。

消費税については、市が税率を変えたり、この Tax Free Week を行う毎に取り上げる話題の一つだが、New York 州はアメリカの中でも特に Sales Tax の税率が高い州の一つとなっている。さらに市や郡によって課される税率の違いもあって、New York 州でも特に NY 市と Long Island にある Nassau County などが高い税率になっている。
一部の食料品などをのぞき、これまでは NY 市では8.25%の Salex Tax が加算されていたが、川一本隔てた NJ 州では洋服に税が課されないためたくさんの人が地下鉄やバスに乗った隣の州まで買い物にいくことは決して珍しい風景ではなかった。NY 市にあるリテールショップが悲鳴をあげたからか、それとも選挙のためのご機嫌とりなのかはわからないが、年に数度の Tax Free Week が設けられることになった。これは$110以下の衣類と靴に限って Tax Free になるという制度だった。その後ジュリアーニ前市長の置きみやげとして$110以下の衣類と靴に限っては恒久的に無税、という措置が取られ誰もがよろこんだものだが、新市長ブルームバーグはすぐにその制度を撤廃し、さらには税率をあげる政策を採ったため現在 NY 市の Sales Tax は8.7%を越えている。
新市長が$110以下の衣類にも課税することを再開したことの見返りとして、この Sales Tax Free Week も再開したのだった。
そしてその週がちょうど今週となっており、来週月曜日 Labor Day まで続けられる。

このニュース、ちょうど Tax Free Week が始まった当日の朝の番組で知ったのだが、通勤途中の人々へのインタビューでも「え、知らなかったわ」という意見がほとんど。どうやら市はあまり大きく宣伝してこなかったようだ。
ただこの時期は「 Back To School Sale 」と言われるセールが行われるほど、9月からの学校の新年度に合わせて教科書や洋服を買い換える人たちが多いので、この制度は嬉しいに違いない。ただ中にはこのセールを逆に利用して、普段もっと安い物もこの時期に「$109.99」と値付けすることで消費者が「あ、$110ぎりぎりで税金もかからない」と思わせるような商行為にでる輩もいるのだ。賢く買い物するには値段にごまかさず、いいものと悪いものを見極める目と、本当に欲しい物だけを買うことではないかな。

なお、次回の Tax Free Week は2004年1月26日(月)~2/1(日)の予定。

それから今週はもう一つ大きなイベントがある。それは Brooklyn で行われる、West Indian American Day Carnival だ。
Brooklyn にはカリブ海諸国、たとえばジャマイカ、バハマ、プエルト・リコ、ヴァージン諸島、トリニダードなどの島々からの出身者が多く住むエリアとしても知られているが、毎年この時期にはそのカリブ海 ( 正式には西インド諸島 ) の祭りが開かれるのだ。
木曜日あたりからいろいろなイベントが開かれるがメインは Labor Day にあたる9月1日月曜日に開かれる、パレードだ。場所と時間などは以下のサイトを参考にして行ってみて欲しい。
9月ともなるとすっかり秋らしい涼しい風が吹くが、もうちょっとだけ夏を感じていたい、という向きにはこのレゲエのリズムとスチールドラムの音、それにサルサやメレンゲなどカリブ海を代表する音楽を聴きながらのパレード参加は良いかもしれない。行ってみると確かにカリブ海の人たちばかりの場所で、最初はちょっと気まずく感じたりするかもしれないが、気にしない気にしない。友達を誘っていって見よう!

West Indian Ameridan Day Carnival 公式サイト
http://www.wiadca.com/

この店の話を聞いたとき、つくづく New York にはなんでもあるなぁと思った瞬間。

撮影は CANON EOS 10D

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Flushing にある「日本の百円ショップ」グッズを売る店、BANZAI99。看板に日本語が書いてある


日本に百円ショップが出来、ちまたで流行っている様子は去年日本に帰ったときに目撃した。でアメリカにそういう店がないかというと、実はある。店の古さからするとこちらが発祥で日本の百円ショップはこちらから輸入したんじゃないかとも思う。もちろん値段そのままに「99セントショップ」と呼ばれる。

日本の百円ショップの品揃えから想像するにアメリカちっくなポップなデザインのものなんかを売っていると想像するむきもあるかもしれないが、全くもってそんなことはない。どちらかというと質流れ品とか品質検査から落ちてしまったような品質極悪品が並んでいたりして、買ってもすぐに壊れるものばかりだ。中にはまともなものもあるが、まさに時のごとく「中には」なのだ。だから自分の欲しいモノをイメージして買い物に行っても期待はずれに終わることが多い。これまでに買った物というとトイレ用の Plunger ( 詰まった便器につっこんでボッコンとするやつ ) ぐらいだろうか。トイレットペーパーの髪は藁半紙みたいやつだし、スプーンやフォークだって金属製ながらとてもちゃちい。これだったら使い捨てのブラスチックの方がましかも、という感じなのだ。なのでうちの近所の99セントショップなどはいつもがらんと静まりかえっており、あれでビジネスとしてやっていけるのだろうかと他人事ながら心配になってしまうほど。

ところが先日、友人から「日本にも99セントショップってある?」と聞かれて「あるよ」と答えると「日本の99セントショップ見つけたよ」というから驚いた。なんでも日本の99セントショップあるものを売っている、と言われたらしい。つまり百円ショップだ。
日本の百円ショップがなくても普段の生活に困っていたわけではないが、そう聞くとちょっと興味がある。ちょうど良い機会があったので友人と地下鉄7ラインにのってえっちらと Flushing まで行って来た。

友達から聞いたのは、Queens の China Town、Flushing にある、通称「 Flushing Mall 」というショッピングモールの中に1階にあるということだった。
この日は気温が朝からぐんぐん上昇し、地上はアスファルトの太陽の照り返しで汗が噴き出すような暑い日だった。Flushing Mall は地下鉄7ラインの終点駅Flushing 駅から歩いて5分のほどところにある。方角的には Sheraton Hotel に向かって歩けばわかりやすいだろう。ここに来たのは初めてだが、アメリカの Mall のイメージで行くと妙な感じをうける。中にあるのは見慣れぬ中国、台湾、韓国の製品ばかりで、洋服などは「一体誰が着るんだろう」というようなモノが多い ( わーごめんなさい。でもほんとにヘンなセンスなのだ )。それにチャイニーズ系スーパーマーケット独特の臭いもする。この臭いは日本には存在しないからちょっと口では説明しにくい。

友人とここかな、あそこかな、とうろうろ歩いているとそれらしき店を発見。外から見ても中はものすごく混んでいる。
入ってみると・・・まさに日本の百円ショップ状態 (笑)。それ以上それ以下の形容のしようがないくらい、まさに日本の製品で埋め尽くされている。たとえばイチゴをつぶして食べるための背にぶつぶつがついて先が割れているスプーンが3つ入ったパッケージや、落としぶた、ゆで卵切り機 ( というの? ) などいろいろ。その全部がもちろん日本製品なので、パッケージに書かれている説明はすべて日本語だ。写真のついているものは何に使用するかわかるだろうが、そうでないモノは漢字で商品名なり能書きが書かれていない限り、中国人にもわからないんじゃないだろうか。たえば「おしぼり」「食器ふきん」なんてのが隣同士に並んでいておいてあったが、どちらも薄い白い布が入っていて商品名を見なきゃどちらも他方の目的に使えそう。

商品は調理用器具のほか、家庭用小物 ( ハンガーから洗面器、弁当箱までいろいろ )、それにバス用品が中心に集められている。店内ところ狭しと商品が陳列されているが、客も多い。もちろんほとんどがアジア系の人たちで聞こえてくるのは韓国語や中国語ばかり。値段も一つ99¢~$1.29ぐらいと郵送費や為替レートから見るととても良心的なので、きっと見当違いの商品を買って帰って思ったように動かなくても、それはそれで被害が少ないことが客を集めている理由かもしれない。
加えて日本のテレビドラマなどは中国語字幕がついたコピー版などがレンタルビデオで出回っていて、こういったドラマを見ている人は多い。ドラマの中に出てくる家を見ていれば、だいたいの製品は能書き見なくても予想が付くに違いない。特に日本のこういった生活風景にあこがれている人も多いと聞く。だからこそ日本の百円ショップが流行っているのかもしれない。

僕もこの日は3つほど買い物をしたが、それでも$4行かない金額。次回車で行くことがあればもっと買ってしまいそう。

まあ中国系移民をターゲットにした日本の百円ショップだが、もちろん日本人にとってもありがたい。New York にいながらこんなものまで手に入る時代になったのだ。

New York 大停電

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New York はどうしてこんなに災害のネタに事欠かないのだろう(笑)。今年一番大きなトピックになりながら、たぶん被害も最小だった、今回の大停電。New York の人たちの暮らしは一体どうだったか。

撮影はすべて CANON EOS 10D

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この日、NYの全信号からライトが消えた。


夏、New York は意外と雨が多い。梅雨はないが雷を伴った雨、つまり Thunder Storm が突然やってくることがあるのだ。その雨だが降るときはかなり本格的で、池のような水たまりができ車で通過できないくらい深くなったこともあった。
しかも落雷もそれほど珍しくないようで、住宅地の中の木に落ちてその木に火柱が燃え上がったのを見かけた事が数回ある。避雷針の設置がすくないのかな?
なので夏のオフィスでもときどき電源が落ちることがあり、1、2秒後には非常用の自家発電に切り替えられたりする。
たいていは瞬断を察知して PC が勝手にブートしたり、リセット動作をしてしまうのだがすぐに停電からの回復は早い。それが今回は異常なほど広い範囲でしかも長時間に渡る停電となった。

木曜日の夕方4時過ぎ、突然オフィスの照明がふわふわっと着いたり消えたりを繰り返し、そのあと一気に暗くなった。とすぐさま照明は元通りに明るくなったが、気が付くと目の前の作業をしていた PC の画面はむなしくブートを始めていることを示していた。「あー停電で、PC が落ちちゃったよー。せっかく入力していたデータが消えた・・・」とショックだったが、このときすでに会社の非常電源に切り替わって作動していたようだ。
その後はラボにある UNIX/NetWare/Windows のサーバも軒並みダウンしており、それらを立ち上げる作業をしばらくしていた。ところが自席に戻ると周りの人たちが「どうやらこのビルだけじゃないみたいだぞ、このあたり一帯が停電しているようだ」という。どうやら停電のとき、ちょうど電話で話していて、どちらかが「あ、停電になった」と言ったことからわかったようだ。ところがそのうち「 Long Island や Manhattan も停電だ」というように範囲が広がってきて20分後にはインターネットで情報を得ようと同僚たちがニュースサイトにアクセスをし始めた。
その中でもいち早く Breaking News ( ニュース速報 ) を流していたのは CNNNY1 だった。CNN はブラウザでアクセスすると一番上に赤いバナーが表示され、そこに「カナダ、ミシガン、オハイオ、ニューヨークなどで停電中。詳しくはもうしばらくお待ちください」と書かれていた。
NY1 は日本の人にはなじみが無いかもしれないが、AOL Time Warner 社が New York で提供している Time Warner Cable テレビ局の地元ローカル局で New York に関する割と詳しいニュースや情報を24時間流している。この放送局のサイトが www.ny1.com なのだが、ここも「ヘビートラフィックのため、テキストエディションでお送りしています。New York などアメリカ東部で大停電が発生しています」といったメッセージに変わっていた。

停電の後始末が終わってほとんどの PC やサーバが無事立ち上がった頃、オフィスの温度も上昇を始めていた。たぶん非常用電源なのでエアコンが効かないようだ。時間も5時に近くなっていたが、以前ニュースサイトは「原因は不明、復旧時刻も不明」となっていて不安が募る。周りの同僚もこういう日は早く帰った方が良いだろうと帰り支度を始め、万一のことを考え PC やサーバの電源を落とす。非常用電源も燃料が切れたらそれまでなのだ。

オフィスの外に出ると案の定、信号はすべて停止している。上にも書いたが落雷のあとにはそれほど珍しいことでもなく、また信号自体が壊れているところもあるので、渋滞はするものの運転する人たちもあまり気にとめず一台ずつ交差点に入った車から出ていく、という暗黙のルールを守る。
フリーウェイはもともと信号が無いため、大きな混乱は無かった。自宅近くまでフリーウェイで帰れるのだが、普段の1.5倍程度の通行量だったかもしれない。これは交通機関が麻痺したため、たくさんの人が車で迎えに出たり、非常時の食料や懐中電灯などを買いに出たためだと思う。
フリーウェイを出て、市街地を走る際には「車と人が多くて交差点は大混雑だろうなぁ」と思っていたのだが、実は先ほどのように車が一台ずつ道を譲るので大きな混乱は無かったようだ。もともと信号の無い交差点ではどの方角から入ってきても「 STOP 」サインがあり皆一時停止しなくてはならず、最初に来た車がが最初に交差点に入って出ていくというルールがあるが、これと同じ事を皆が実践していたようだ。大きな幹線道路では全部を見渡すのが難しく、そういうところでは警察官が交通整理にあたっていて市民も辛抱強く渋滞に対処した格好だ。

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夜になっても停電は続く。交差点からライトが消え車は皆一時停止。

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車のヘッドライトを照明にして、路上でバーベキューをしているグループ。車のカーステレオからは音楽。

家路に向かう車の中ではラジオを聞くことが出来たのも情報が錯綜せずに済んだ要因の一つとなった。
停電直後からテレビはもちろん、電話回線もダウンしてしまい、その後しばらくかかりにくくなっていた携帯電話もとうとう使えなくなってしまった。ちなみに携帯電話はキャリアによってだいぶ事情が異なっていて、僕が現在使用している Cingular は夕方6時にはもう使えなくなり、翌日の昼過ぎまで完全にダウンしていた。その一方で SprintPCS は友人がずっと停電中でも使えていたので、アンテナなど非常電源で稼働していたようだ。

とにかくテレビやインターネットを含めて情報を得る手段はラジオをのぞいて無くなってしまったのだが、アメリカは車社会なので聞こうと思えば車の中でラジオなら聞くことが出来、これを通じて州政府や市当局からの情報伝達が速やかに行われていた。
地下鉄、鉄道は全面停止、空港は着陸のみでチェックインは無期延期、Mahhattan へは緊急車両をのぞいては車での通行はできないことが繰り返し伝えられていた。その後すぐに市長がラジオでアナウンスを始め、テロの情報は無いので落ち着いて行動すること、熱中症にかからないよう窓を開け、水を飲むこと、近所で年配の人や病人がいたらときどき見に行って必要なものを届けること、緊急時のみ911に電話することなど、次々と指示を出していた。
ラジオはすべてニュース番組に切り替えられ、中には「通常でしたら Yankees のナイターゲームを中継放送する予定ですが、番組を変更してニュース番組を続けます。野球に関しては途中経過を放送します」と言っている局もあって「この停電の中、照明をつけてゲームなんかできるのか?まして地下鉄が動いてないのに観客が球場に行けないじゃん」と思ったが、考えてみるとたぶん停電の影響を受けていない他州でゲームが行われていたのだろう。つい Yankees イコール the Bronx のヤンキースタジアムという図式で考えてしまっていたのだ。

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親子三代の語らいだろうか、ろうそくとオレンジジュース、それにビールを飲んでいた。


たかが停電、という声が聞こえてきそうだが、これだけ電気に依存した社会ではやはり「されど停電」なのだ。すぐさま州毎に「非常事態宣言」がなされ、警察や消防、それに軍隊が出動することになった。こういったことはすでにマニュアル化されていると見えて、交通整理を始め、重要な施設への警備、食料の配給などがすぐに手配されたという。
これは後日聞いた話だが、Penn Station などでは警察官が駅に泊まらざるを得なくなった乗客に対して、ピザハットやマクドナルド、サブウェイサンドイッチなどを大量に購入してそれらを配布したそうだ。2年前の9/11テロの時は動いていた長距離列車なども全面停電のため動かず、長距離通勤している人たちは野宿を余儀なくされたのだが、空腹ではイライラと不安が募るという配慮らしい。
またラジオの DJ が話していたが、停電のあとすっかりクラクションの音が聞こえなくなった、という。普段はいつもせかせか行動して道なんか譲ってくれない(笑)New Yorker がこんな表情を見せるのは9/11のテロ以来初めてだ。僕も帰宅途中、ラジオを聞いていて「そういえば」と気が付いた。しかも緊急病院の近くを通ったときは近所の人とおぼしき人が懐中電灯を使ってボランティアで交通整理をしていたのを見かけた。車の中からも「どうもありがとう」という声がかかる。

世知辛い世の中とは言っても捨てたもんじゃないな、とはちょっと傲慢な意見か。でもこんな風景を見るとやっぱり笑みがこぼれる。

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近所のカフェやバーは出せるものを出して開店中。これもびっくり。


帰宅してからも何もすることがないので、近所の悪友の家を訪ねる。普段はアパート入り口の扉が閉まっていて外から呼び鈴を慣らして中から解錠してもらわないと中に入れないのが、この日はその扉が開いている。そう停電だからオートロックも働かないのだ。家族だって全員が鍵を持っているわけではなくて、帰宅したら呼び鈴を鳴らしてあけて貰って中に入る人がいるので、オートロックが働かないと外から中の人を呼び出せない。でも扉を開けておくのは防犯の面からは危ないのだが、この日はそんな風景がどこでも見られた。

友人のところはガスが使えたようで ( 僕のところもガスは出るのだが電気式の着火なので使えなかった。後で思ったのだがライターとかマッチで点ければ良かったのだ )、簡単な料理を作っていてくれた。なんでも僕が帰宅する前に無事帰っているか立ち寄ってくれたとか。うう持つべきは友達だ。
その後、家にいてもすることがないと、カメラを持ち出して近所を散歩することにした。帰り道たくさんの人が散歩しているのを見かけたのでその様子を撮りたかったのだ。

多くの家やアパートでは住人が表にでてろうそくの明かりのもと、集まっている。部屋の中から椅子やテーブルを持ち出してまるでちょっとしたパーティだ。中には発電機で電気をつけ、バーベキューグリルを設置して深夜のバーベキューを楽しんでいるグループも多く見かけた。ラジカセや車からは音楽が聞こえ、決して不安定な状態ながら、それを楽しむ余裕さえ持っている人々の姿を見ることができた。いくつかの家の前で庭にいる人たちに「写真を撮ってもいいですか」というと「こんな状態でもいいの?」といいながら皆快く承諾してくれた。週末停電から復旧したあとに行ったパーティでもこの停電のことが話題になったが、あちこちで Block Party が開かれたとか。( Block Party の Block はちょうど日本で言うところの横町のようなもの。ストリートやアベニューで構成される1ブロック。つまり同じブロックで住む人たちで開くパーティが Block Party だ )
僕の住む街は Single の人も多いのだが、近所のカフェやバーではテーブルとろうそくを表に持ち出し営業を続けていて、そこに友達同士で集まってくつろいでいる姿も見かけられた。キッチンも照明もなく、キャッシャーもお金の計算が不便だろうに、冷えているビールやワインと場を提供してくれるのは驚きだ。

停電はもちろん不安だし、何時間も復旧の見込みがないとあっては生活に支障が出る。トイレが流れない家や水が出ない家もあるし、高層ビルに住んでいる人はエレベータも動かないので戻るに戻れない。
もちろん暑すぎない天気の良い夏の日だったというのが不幸中の幸いで、雨やまして真冬の雪の日に同じことが発生すれば悲惨だっただろう。しかし今回の停電は9/11のテロの教訓を生かして速やかに行動ししたために混乱が少なく、さらにこの悪環境が転じてコミュニティーや家族、友達の団結を強めたとあって、「まんざらじゃなかったよね」というのが後日いろんな人から聞こえた意見だ。中には「一夏に一夜くらい停電があってもいいんじゃないか」なんて意見も。

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30秒の露光で懐中電灯で遊んでみました。


翌日金曜日になって徐々に停電から復旧が進んでいった。僕のところも Manhattan に比べるとだいぶ早い時間に復旧していたのだが、近くのガソリンスタンドが閉まっていたため、車で通勤が不可能に。しかも鉄道も地下鉄も動いていないし、電話も通じない。ということでこの日は出勤を見合わせた。たまには電気の無い生活を満喫してのんびりするのもいいもんだ、と予想外の休暇を楽しんだ。

後日、近くのスーパーマーケットに行くと、冷凍食品がすべて半額になっていた。こんなのもちょっとうれしい誤算か(笑)

今年の夏は涼しい日が続き、しかも雨がよく降る。これはもう異常気象と言ってもいいと思う。このまま今年の夏は終わってしまうんじゃないだろうかと一抹の不安を抱えつつ、海に行けない余暇をまた美術館めぐりで過ごしている。

撮影はすべて Canon 10D。

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2つの美術館が1つの建物に入っている。

土曜日の午前中、特にこの日は用事が無かったので写真でも撮りに行こうと思っていると、Brooklyn に住む友達から電話があった。
いつもこの友人の誘いは唐突なのだが、この日も「 今日昼頃にその辺にある美術館に行くんだけど、行ってみる?」という内容。
うちの近所というと New York Watch でも何度か紹介した PS1 とつい最近紹介した MoMA QNS などがある。

「 両方の美術館に最近行ったばかりなんだ 」
と伝えると
「 African Art Museum には行った? 今日はそこに行くつもりなんだけど 」という。

これまた違う美術館が近所にあるの? と驚いて場所を聞くと MoMA QNS のすぐそばだという。そんなにところに美術館なんかあったっけ?と思いながら、じゃあ一緒に行こうという話になった。

住所を聞くとうちから MoMA QNS に行く間にあることになっているので、車でやはり5分ほどの距離だ。なのでこの友人が近所に着いたら電話をもらうことにし、現地で待ち合わせしようということになった。それまで僕は少し近所を散歩して写真も撮れるし。
早速車にカメラ機材を載せてまずは以前見つけた廃墟ビルへ。そのときも写真は撮ったんだけど後で見るとイメージしたとおりで撮れてなかったので今日はリベンジだ。うまく撮れたと思っても家に帰って PC のモニターで見るまでは安心できないが、それでもとりあえず前回の反省からいろいろと試みる。そろそろ友達が Queens に来る頃だと思って車に戻り、African Art Museum があるという方向に向かう。そろろそこの辺かな、というところで例の友達から「今 Queens に入った、あと10分くらいで着くと思う」と電話が入った。
この近辺はまだ倉庫や工場が建ち並ぶエリアで、車も簡単に路上駐車できた。車を降りて周りの風景を写真に撮っていると友人が近くに車を停めて降りてきた。仕事柄カメラでも持ってきているかと思いきや、手ぶらで登場。僕はと言えば車に置いていくのも心配なので持っていくことにした。

美術館の建物は上の写真の通りで、真新しいビルの中にテナントとして借りて入っているように見える。もっと大きな美術館を想像していたのでちょっと拍子抜けした。それとも New York 以外のところにもっと本格的な African Art のすべてを網羅するような美術館があるのかも。ちなみに Manhattan にあるメトロポリタン美術館にも世界各地の美術品を収集・展示しているのでこちらにも African Art はありそうだ。
気を取り直して、早速建物に入る。小さな鉄の扉を開けてはいると、African Art Museum は3Fへ、イサム・ノグチ美術館は2Fへ、と書いてある。そうこの建物、外にも書いてあったが二つの美術館が同居しているのだ。
イサム・ノグチ美術館に関しては予定になかったので、まずはエレベータで3Fに向かう。入ってすぐのカウンタに女性が1人座っていて、その前には書籍やちょっとした美術グッズの販売コーナーが広がっている。入場料は$6。結構安いけど、一緒に行った友人は「 Press 」と書かれたパスを見せて、ただで入場。ちょっとうらやましい。
さあて中に入ろう、としたところで「待ってその鞄はちょっと大きいからここに預けていってね」と言われる。カメラやレンズ一式が入っているので大きな鞄なのだ。精密機器だから預けたくなかったが、美術品は当然もっと高価で係員からしたら大きな荷物がぶつかったりして傷を付けることの方が心配なのだろう。中身を見せて、これ高価だから安全なところに保管してくれる?と頼むと、受付の女性が 「 じゃあ私の足下に置いておいてあげるわ 」といって見てくれることになった。なのでここから先は写真が撮れなかった。

展示は1フロアだけだが、中は迷路の様になっていて意外と展示物は多い。僕らが入ったときにはちょうどガイドツアーが団体のおばあさんに説明しているところだったので、邪魔にならないように後ろを付いていって、適当なタイミングで前に行かせてもらう。
ところで African Art といっても幅広く、大昔のものから現代美術まで様々なものがところ狭しと展示されている。僕が以前からイメージしていた African Art というと木彫りの人形で、どれも頭でっかちだったり逆に頭が小さくておなかが出ていたりと体の特徴を極端に誇張したものだ。さらにそれらの人形は赤や黄色など鮮やかな色で塗装されている、というものだったがやはりここで展示されて人形はまさにそんな感じ。さらに Africa は金や宝石の産地ということもあり、部族の王が代々受け継いできたものの中には純金の人形もあった。
時代は紀元前から今に伝わるものまで、しかもアフリカ大陸という広大な場所の美術を一カ所にまとめるのは難しいようで、同じく僕が African Art についてまとめるのはとても難しい。ただ東洋のものでも西洋のものでもない、原始的でありながらとても緻密な African Art はペイントよりも彫刻が多いことから、人々がインテリアとしてコレクションするのがよくわかる。 また口承文化として歌と踊りが African Art には大きな要素をしめるが、これらは衣装を展示し、その周りでビデオによる紹介と言う形になっている。Africa の音楽、リズムは Jazz やカリブ海の音楽 ( サルサやメレンゲ ) に大きく影響を与えているので、もう少し詳しくそのあたりを見たいところだが、ここは美術館なのでこの場合衣装に重きが置かれているのは仕方ないところか。

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イサム・ノグチ美術館内の唯一のガーデンアート。

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水がわき出す泉がモチーフなのか。同じものがメトロポリタン美術館にもある。

レセプションのところに戻り、しばらく書籍、ギフトコーナーで販売されているグッズを見た後、預けたカメラを受け取ってさて帰ろうか、ということになったが、階段で2Fに来たところで、友人が「こっちのイサム・ノグチ美術館は来たことが無いなぁ」と言いだした。
そもそも僕は時間が有れば見ていっても良かったのだが、同行の友人が先に「イサム・ノグチ美術館は以前行ったことがある」と言っていたので今日は通り過ぎるかと思っていたのだ。
というのももともとイサム・ノグチ Garden Museum は僕が住んでいる Astoria に春から秋までの間開館する、専用の美術館があるのだが、これが改装のため、一時的に休館し、その一部がここに展示されているらしいのだ。
せっかくなのでこちらも見ていこうということになった。なので New York Watch でもまとめて二つの美術館を紹介することにしよう。

入ってすぐのところにやはり女性が1人座っているだけの受付があり、ここで入場料を払う。今回も友人は Press と書かれたパスを見せると「どうぞそのままお入りください」と言われた。続けて僕が「僕はパスを持っていないので」と言って財布からお金を出そうとすると、この女性が小さな声で「今日は無料でいいわよ」と言ってただで入れてくれることになった。鞄もカメラが入っているというと、写真を撮りたかったらそのまま持っていっていいわ、ということだった。上の African Art と違ってそれほど神経質になる展示物がないということなのだろう。

イサム・ノグチという人はもともとアメリカで生まれアメリカで育ったが、後に日本に何度も訪れ、そのたびに多くの文筆家や画家たちと交流を結んでいる ( とこんなことをさも知っているかのように書いているが、実は売店で売っていた日本語の本で知った )。それだけに彼の作品は東洋だけでもなく西洋だけでもない不思議な融合がそこに見られる。
中に入ってみると案の定、展示は彼の彫刻よりも、彼が妻を伴って数年間旅行したヨーロッパやアジア諸国で、彼が自ら撮った写真とやはり自ら描いたデッサンがメインとなっている。写真がすべてといってもいいだろう。
僕は Astoria にあるという Garden Museum も見ていないので、ここにそう言ったオブジェがたくさん展示してあるのかと思いきや、それは今回写真で紹介した上のものだけでちょっと残念。来年改装が終わったら是非 Garden Museum の方も訪れることにしよう。
イサム・ノグチ美術館もグッズ販売エリアがあり、また近くには軽食がとれるカフェがある。せっかくここに来たのなら、是非この両方を見るといいだろう。どちらもそれほど広くないので両方合わせて2時間もあれば十分だ。Africa と日本の全く異なるアートに触れるのはちょっと不思議な体験で、休日の午後の過ごし方にはぴったりかもしれない。

地下鉄で行く場合はどちらも地下鉄7ライン、33rd Street 駅

African Art Museum 公式サイト
http://www.africanart.org/
36-01 43rd Avenue, 3rd Floor
Long Island City, Queens, NY
Tel : (718) 784-7700
休館日 : 火曜日・水曜日
入場料 : $6

Isamu Noguchi公式サイト ( 美術館情報もここにある )
http://www.noguchi.org/
The Isamu Noguchi Museum
36-01 43rd Avenue
Long Island City, New York 11101
Tel. (718) 204-7088
休館日 : 火曜日・水曜日
入場料 : $5

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