今年の夏は涼しい日が続き、しかも雨がよく降る。これはもう異常気象と言ってもいいと思う。このまま今年の夏は終わってしまうんじゃないだろうかと一抹の不安を抱えつつ、海に行けない余暇をまた美術館めぐりで過ごしている。
撮影はすべて Canon 10D。

2つの美術館が1つの建物に入っている。
土曜日の午前中、特にこの日は用事が無かったので写真でも撮りに行こうと思っていると、Brooklyn に住む友達から電話があった。
いつもこの友人の誘いは唐突なのだが、この日も「 今日昼頃にその辺にある美術館に行くんだけど、行ってみる?」という内容。
うちの近所というと New York Watch でも何度か紹介した PS1 とつい最近紹介した MoMA QNS などがある。
「 両方の美術館に最近行ったばかりなんだ 」
と伝えると
「 African Art Museum には行った? 今日はそこに行くつもりなんだけど 」という。
これまた違う美術館が近所にあるの? と驚いて場所を聞くと MoMA QNS のすぐそばだという。そんなにところに美術館なんかあったっけ?と思いながら、じゃあ一緒に行こうという話になった。
住所を聞くとうちから MoMA QNS に行く間にあることになっているので、車でやはり5分ほどの距離だ。なのでこの友人が近所に着いたら電話をもらうことにし、現地で待ち合わせしようということになった。それまで僕は少し近所を散歩して写真も撮れるし。
早速車にカメラ機材を載せてまずは以前見つけた廃墟ビルへ。そのときも写真は撮ったんだけど後で見るとイメージしたとおりで撮れてなかったので今日はリベンジだ。うまく撮れたと思っても家に帰って PC のモニターで見るまでは安心できないが、それでもとりあえず前回の反省からいろいろと試みる。そろそろ友達が Queens に来る頃だと思って車に戻り、African Art Museum があるという方向に向かう。そろろそこの辺かな、というところで例の友達から「今 Queens に入った、あと10分くらいで着くと思う」と電話が入った。
この近辺はまだ倉庫や工場が建ち並ぶエリアで、車も簡単に路上駐車できた。車を降りて周りの風景を写真に撮っていると友人が近くに車を停めて降りてきた。仕事柄カメラでも持ってきているかと思いきや、手ぶらで登場。僕はと言えば車に置いていくのも心配なので持っていくことにした。
美術館の建物は上の写真の通りで、真新しいビルの中にテナントとして借りて入っているように見える。もっと大きな美術館を想像していたのでちょっと拍子抜けした。それとも New York 以外のところにもっと本格的な African Art のすべてを網羅するような美術館があるのかも。ちなみに Manhattan にあるメトロポリタン美術館にも世界各地の美術品を収集・展示しているのでこちらにも African Art はありそうだ。
気を取り直して、早速建物に入る。小さな鉄の扉を開けてはいると、African Art Museum は3Fへ、イサム・ノグチ美術館は2Fへ、と書いてある。そうこの建物、外にも書いてあったが二つの美術館が同居しているのだ。
イサム・ノグチ美術館に関しては予定になかったので、まずはエレベータで3Fに向かう。入ってすぐのカウンタに女性が1人座っていて、その前には書籍やちょっとした美術グッズの販売コーナーが広がっている。入場料は$6。結構安いけど、一緒に行った友人は「 Press 」と書かれたパスを見せて、ただで入場。ちょっとうらやましい。
さあて中に入ろう、としたところで「待ってその鞄はちょっと大きいからここに預けていってね」と言われる。カメラやレンズ一式が入っているので大きな鞄なのだ。精密機器だから預けたくなかったが、美術品は当然もっと高価で係員からしたら大きな荷物がぶつかったりして傷を付けることの方が心配なのだろう。中身を見せて、これ高価だから安全なところに保管してくれる?と頼むと、受付の女性が 「 じゃあ私の足下に置いておいてあげるわ 」といって見てくれることになった。なのでここから先は写真が撮れなかった。
展示は1フロアだけだが、中は迷路の様になっていて意外と展示物は多い。僕らが入ったときにはちょうどガイドツアーが団体のおばあさんに説明しているところだったので、邪魔にならないように後ろを付いていって、適当なタイミングで前に行かせてもらう。
ところで African Art といっても幅広く、大昔のものから現代美術まで様々なものがところ狭しと展示されている。僕が以前からイメージしていた African Art というと木彫りの人形で、どれも頭でっかちだったり逆に頭が小さくておなかが出ていたりと体の特徴を極端に誇張したものだ。さらにそれらの人形は赤や黄色など鮮やかな色で塗装されている、というものだったがやはりここで展示されて人形はまさにそんな感じ。さらに Africa は金や宝石の産地ということもあり、部族の王が代々受け継いできたものの中には純金の人形もあった。
時代は紀元前から今に伝わるものまで、しかもアフリカ大陸という広大な場所の美術を一カ所にまとめるのは難しいようで、同じく僕が African Art についてまとめるのはとても難しい。ただ東洋のものでも西洋のものでもない、原始的でありながらとても緻密な African Art はペイントよりも彫刻が多いことから、人々がインテリアとしてコレクションするのがよくわかる。 また口承文化として歌と踊りが African Art には大きな要素をしめるが、これらは衣装を展示し、その周りでビデオによる紹介と言う形になっている。Africa の音楽、リズムは Jazz やカリブ海の音楽 ( サルサやメレンゲ ) に大きく影響を与えているので、もう少し詳しくそのあたりを見たいところだが、ここは美術館なのでこの場合衣装に重きが置かれているのは仕方ないところか。

イサム・ノグチ美術館内の唯一のガーデンアート。

水がわき出す泉がモチーフなのか。同じものがメトロポリタン美術館にもある。
レセプションのところに戻り、しばらく書籍、ギフトコーナーで販売されているグッズを見た後、預けたカメラを受け取ってさて帰ろうか、ということになったが、階段で2Fに来たところで、友人が「こっちのイサム・ノグチ美術館は来たことが無いなぁ」と言いだした。
そもそも僕は時間が有れば見ていっても良かったのだが、同行の友人が先に「イサム・ノグチ美術館は以前行ったことがある」と言っていたので今日は通り過ぎるかと思っていたのだ。
というのももともとイサム・ノグチ Garden Museum は僕が住んでいる Astoria に春から秋までの間開館する、専用の美術館があるのだが、これが改装のため、一時的に休館し、その一部がここに展示されているらしいのだ。
せっかくなのでこちらも見ていこうということになった。なので New York Watch でもまとめて二つの美術館を紹介することにしよう。
入ってすぐのところにやはり女性が1人座っているだけの受付があり、ここで入場料を払う。今回も友人は Press と書かれたパスを見せると「どうぞそのままお入りください」と言われた。続けて僕が「僕はパスを持っていないので」と言って財布からお金を出そうとすると、この女性が小さな声で「今日は無料でいいわよ」と言ってただで入れてくれることになった。鞄もカメラが入っているというと、写真を撮りたかったらそのまま持っていっていいわ、ということだった。上の African Art と違ってそれほど神経質になる展示物がないということなのだろう。
イサム・ノグチという人はもともとアメリカで生まれアメリカで育ったが、後に日本に何度も訪れ、そのたびに多くの文筆家や画家たちと交流を結んでいる ( とこんなことをさも知っているかのように書いているが、実は売店で売っていた日本語の本で知った )。それだけに彼の作品は東洋だけでもなく西洋だけでもない不思議な融合がそこに見られる。
中に入ってみると案の定、展示は彼の彫刻よりも、彼が妻を伴って数年間旅行したヨーロッパやアジア諸国で、彼が自ら撮った写真とやはり自ら描いたデッサンがメインとなっている。写真がすべてといってもいいだろう。
僕は Astoria にあるという Garden Museum も見ていないので、ここにそう言ったオブジェがたくさん展示してあるのかと思いきや、それは今回写真で紹介した上のものだけでちょっと残念。来年改装が終わったら是非 Garden Museum の方も訪れることにしよう。
イサム・ノグチ美術館もグッズ販売エリアがあり、また近くには軽食がとれるカフェがある。せっかくここに来たのなら、是非この両方を見るといいだろう。どちらもそれほど広くないので両方合わせて2時間もあれば十分だ。Africa と日本の全く異なるアートに触れるのはちょっと不思議な体験で、休日の午後の過ごし方にはぴったりかもしれない。
地下鉄で行く場合はどちらも地下鉄7ライン、33rd Street 駅
African Art Museum 公式サイト
http://www.africanart.org/
36-01 43rd Avenue, 3rd Floor
Long Island City, Queens, NY
Tel : (718) 784-7700
休館日 : 火曜日・水曜日
入場料 : $6Isamu Noguchi公式サイト ( 美術館情報もここにある )
http://www.noguchi.org/
The Isamu Noguchi Museum
36-01 43rd Avenue
Long Island City, New York 11101
Tel. (718) 204-7088
休館日 : 火曜日・水曜日
入場料 : $5

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