いよいよ、7月になった。一年の半分を越えたことになり、2004年も後半に入る。
さて7/4といえば、Fourth of July、つまりアメリカ独立記念日で、全国の祝日となっている。
今年はこの日が日曜日にあたるため、月曜日を振り替え休日にしているところも多い。
さて独立記念日というと、Memorial Day についで「バーベキュー/各家庭」率が高い日でもある。必ずと言っていいほど、そとを歩くとハンバーガーやホットドッグの焼けるにおい、それに音楽と嬌声があちこちから聞こえてくるのだ。
余談だがこの日は Coney Island で毎年恒例のホットドッグ早食いコンテストがあるが、今年も日本人が優勝したようだ。毎年映像を流すのだが、「あの痩せた日本人が!?」と驚きのコメントが付く。しかも今年は二位も日本人。上位を日本人が占有してしまい、自国の伝統が奪われて悔しがっているアメリカ人も多いはずだ(笑)。
夕方から夜にかけてバーベキューを食べながらアメリカ人が楽しみにしているのが、花火である。
この日はアメリカ中どこでも・・・まさにあちこちの自治体が行うので、見晴らしが良いところにいると、それこそあちこちで花火がうちあがっているのが見えるのだ。
その中でアメリカで最も有名な花火の一つといえば、ここ New York で打ち上げられる花火だろう。Manhattan のまわりを流れる East River と Liberty Island 近くの合計6箇所から打ち上げられるこの花火は、それぞれの会場がコンピュータでつながり、どれもが同じものを全く同じタイミングで打ち上げる。これまで何度か New York Watch で取り上げたが、ある年は Brooklyn から見たり、ある時はうちの屋上から見たりと、いろいろ場所を買えて見てきた。
川の真ん中に打ち上げ会場が設置されるので Manhattan 側だけでなく、Queens や Brookln がらも見ることができるのだ。どちらかというと Manhattan よりはこちらの方が人口密度の関係で場所取りもしやすい。また Manhattan の夜景をバックに見ることができるのも Queens / Brooklyn 側の利点だ。
で今年はカメラと三脚を使って花火撮影でも挑戦しようかと、あまり混まないうちの近所を探索していたのだが、ふとしたことからなんと船の上で見ることができてしまった。
話すと長いのでだいぶはしょるが、New York にたまたま仕事で来ていた写真家の岡嶋和幸氏と数日間ご一緒する機会があり、日本に帰るという最終日に Brooklyn に来ていた。
日中撮るべき写真を撮ってしまい、次の撮影タイミング、夕方までまだ時間があるというのでちょっと咽を湿らそうとたまたまドアの開いていた近くのバーに飛び込んだ。
そこで Brooklyn の地ビール Brooklyn Lagar を飲んでいると、1人の女性が「アナタタチ ガノンデイルびーるハ、ナンデスカ?」とたどたどしい日本語で聞いてきた。これが Brenda なのだが、彼女日本語の勉強をしているという。「びーるヲゴチソウサセテクダサイ」という。何でも会話に参加したいとのことだ。
そこでビールを飲みながら話し込んだあと、時間があるというので彼女も岡嶋氏の次の撮影に同行することになった。そのあとで食事に行くというので一緒したいというのだ。
一通り撮影を終え、そろろそお開きという段になって「アシタハナニシマスカ?」と聞いてくる。僕はどこかで花火を見るけど、岡嶋さんは日本に帰国なんだ、というと「それは残念。実は私の働いている会社が5隻の船を出して、社員とその家族・友人を載せてくれるんです。花火のすぐそばまで行くので船の上から花火が見られるんですよ」という。
岡嶋氏は予定を変更するわけには行かないが、僕と僕の友達を呼んでも良いというので、早速参加させてもらうことになった。

Breanda が勤めている会社はタグボートを所有しており、この船の一部が人を載せられるように改造されていた。普段はタンカーや豪華客船を押したりひっぱったりするタグボートだ。
7/4の当日僕の友人と Manhattan で待ち合わせ、Breanda と彼女の友人の待ち合わせの場所、Staten Ferry 乗り場に向かう。4:45PM に着くと彼らはすでに到着しており、次のフェリーが5時発だったので10分程待って船に乗り込む。彼女の会社が所有するタグボートは Staten Island にあるのだ。
ちなみにこのフェリー、かつては地下鉄と同じ料金が必要だったが、現在は無料になっている。
30分弱の短い旅を楽しむと NY 市5区の Staten Island に到着する。このあと僕らは地元のタクシーを拾ってタグボートが停泊している港まで移動した。
古いとは想像していたが、なんとこの船1950年代に建造されたもので、エンジンを積み替えたりしながら修理を重ね、今も現役だとか。
こんな船がざっと5~6隻は目に入った。
その中の一つの船のそばであごひげをはやした船長らしき人 ( たぶん船長 ) が名簿を確認しながら1人ずつ乗船の同意書にサインを求めながら、確認している。
僕らもその紙にサインをして、船に乗り込む。時刻は午後6時でまだ太陽は高い。
結局遅れてきた人もいて遅れたが、70人を載せて7時過ぎに出航。

船の上ではソーダ、ビールに加え、サラダやいろいろな種類のサンドイッチ、コーヒーにケーキ、クッキーなどが、それもどこかのレストランが作った本格的なもので、船に載る前に食事をしてきた自分自身が恨めしいほど。
食事とドリンクを楽しみながら、5隻の船は揃ってゆっくり1時間ほど川を上った。
着いたのは自由の女神像がある Liberty Island のすぐそば。目の前には Manhattan、Wall Street の夜景が広がる絶景だ。残念ながら船自身が揺れるので夜景は撮らなかったが、これはさすがに船からでないと撮れないシーンで残念。
それからゆっくりと食事をしながら、日暮れを待つ。あたりを見渡すと、NJ の別の方向や Long Island 方面では花火があがっているのが水平線越しに見える。そしていよいよ9:30頃、目の前で花火がうち上がり始めた!
横を見ると全く同じ花火が全く同じタイミングであがっているのが2つ見える。さらにし上流では3カ所、同じようにあがっているはずだ。
目の前であがる花火は自由の女神をバックにこれまた感動の一瞬。実は日本でも江戸川区に住んでいたことがあるので花火を近くに見ることはできたが、今までこんなに近くで見たのは初めて。しかも船の上とあれば迫力も違う。花火を打ち上げているのも船でそれが間近にみえる。
途中船があまりにも近づきすぎたため US Coast Guard が近寄ってきて威嚇を始めるなどちょっと緊張も走ったが、そう思ったのは一部の人たちだけで、毎年来ている人は「いつものことだ」とこれもイベントの一つのように楽しんでいた。
花火は一度も停まることなくおよそ30分から40分上がり続け、最後は乱れ打ちで締めくくられた。僕もそのいくつかを写真に撮ろうと奮闘したが撮れたのはこんな感じ。
それよりも花火の打ちあがる瞬間の「ドン」という音が体で受け止めるほど近く、また頭上にあがる花火の迫力には驚かされっぱなしだった。
こうして花火が終わると、5隻の船は来るときとうってかわって疾走して港に戻る。僕らは目の前に広がる Manhattan の景色から遠ざかるのが恨めしい・・・。ここで降ろしてもらえたら・・・てなことも思ってしまう。
港に着いたのは午後11時ちょっと前。ここからタクシーを呼ぼうにも誰も電話に出ない。仕方なくバス乗り場に向かうが次のバスは11時となっていて、これがいったばかりなのか、それともこれから来るのかよく分からない。
僕はそのときまで「明日も休みだから~ ふんふん♪」と思っていたが、実は Manhattan に戻るフェリーは0時発が最終。そのあとは朝の5時まで無いとのことを後で知って青ざめる。
みんなの携帯で近くのタクシー会社に電話をかけ続けたが、結局つながらず、バスも来ない。結局11:30過ぎにバスがやってきてなんとか乗り込み、フェリー乗り場にたどり着いたときには最終フェリー出発まで10分を切っていた。
なんとか最終フェリーに間に合い、無事 Manhattan まで戻ってくることができた。
ということで最初から最後までアドベンチャーな一日であったが、アメリカ在住7年の間で一番感動した独立記念日の花火になったことだけは間違いない。
来年、もし行く機会があれば、今度は Staten Island まで車で行こうと固く誓った(笑)
今回花火ツアーに無料で載せてくれた太っ腹な会社。
McALLISTER 社の公式サイト
http://www.mcallistertowing.com/
