「不幸というものはなぜこうもつづくのでしょう」という表現は小説でもエッセイでもよくみかけるが、実際に連続して発生する確率というのはそんなに高いのだろうか。
たぶんいつもは特別ハッピーではないけれど、そこそこ幸せな環境にいることに慣れてしまっていて、時たま起こる不幸が、たまたま重なるものだからこうののしるのものなのかもしれない。
とはいえ自分にそれが起きると途端に他人事では無くなる。
似たようなタイトルで一度 New York Watch に書いたことがあるがこの数日は不運が続いた。
どうやら今回は車に関する貧乏神がとりついたようだ。
毎年4連休になる Thanksgiving Day の後半、ちょっと写真を撮りたくなったのと、久々に友人 H と軽く夕食でもということになり、Manhattan に赴いたのだが、風邪気味だからと車で出たのが失敗の元だった。
休日ダイヤで動く地下鉄は下手をすると寒いホームで10分も20分も待たされることがある。そのせいで風邪をこじらせたらいやだな、と思ったのと重いカメラ機材を目の前にして車ででかけたのだが、あまりの寒さに、Manhattanに着くやいなやすぐにトイレに行きたくなった。
昔に比べれば Starbucks Coffee などのカフェのおかげでトイレスポットが増えたが、かつてはなかなか大変だった。男の僕でもそう思うのだから、女性はもっと深刻名問題かもしれない。公衆トイレの少ない Manhattan においてファーストフードレストランやカフェの位置を知っておくのは New York で生活する上でとても役に立つ。
この日もトイレに行きたくなったが、トイレのついでに何か買わないといけないとして、Starbucks Coffee のコーヒーをどうしても飲みたいわけではなかったので、近くにあった MacDonald にで手短に住ませようと、ストリートに車を停めた。
Manhattan はどこも駐車規制が厳しく、通りに立っている案内板をよく読まないとすぐに違反駐車になる。でもこの日は土曜日だったし(ほとんどの通りが月曜日から金曜日までの規制があり、土日はフリー駐車のところが多いのだ)、なんといってもアメリカの正月みたいなものなので、たとえ駐車禁止のところでもそこまで厳しくないだろうと、安易に車を停め、MacDonald に入った。コーヒーを一杯買って、トイレを使用して、片手にまだあつあつのコーヒーを持って自分の車に戻ると、そこに待っていたのは駐車違反の切符だった。たった5分の間だったが、見事にみつかってしまった。これで$95なり。友人には「立ちションして見つかってもこんなに高い違反切符にならないんじゃないの? 高いトイレ代だなぁ」と笑われてしまう。
そして翌日日曜日。くよくよしていても仕方ない、と忘れかけたころだった。近くに住む写真家仲間、Fredinand と写真を撮影して、そのあと知り合いが勤めているルーマニア料理の店に行こう、と誘われた。昨日のこともあるのできちんと時間を気を使い、パーキングメーターにコインもちゃんといれてレストランに入ったのだが、このパーキングメーター、ちょっとくせ者だった。最高一時間までしかコインを受けつけないようになっているのだ。そこで食事が始まって最初の一時間が切れる頃、またパーキングメーターまで戻ってきてさらに一時間分のコインを投入したのだった。
この時点で次の一時間語の時刻をちゃんと気にしていたのに、このレストランでたままた会社の同僚カップル ( 彼らもルーマニア人 )と遭遇。ということで Ferdinand と彼らを紹介し、かつこの店で働いている Ferdinand の幼なじみのルーマニア女性も会話に加わってにぎやかになった。
残りの一時間が近くなってきたので、Ferdinand に「先に車に戻っているよ」と言い、立ち上がりかけたのだが、「一緒に行くからちょっと待てよ」と言われ、まあ5分くらいは大丈夫かなと思って再び椅子に腰掛けた。でもこれが失敗だった。支払いを済ませ、パーキングメーターに投入した時間分より10分ほどオーバーして車に戻ると非情ななオレンジの封筒がワイパーに挟み込んである。時間を見るとまさにこの5分間の間だ。
不幸中の幸いで、Queens は駐車料金が安いので$35だったが、こんなことならこまめにパーキングメーターなど使用せず、店の前に駐車違反高どうだか知らないが、停めてやったら良かった、と思ったほど。Ferdinand の「ちょっと待てよ」の一言も恨めしかった。
そして翌日、月曜日。この日は Thanksgiving 連休明けの初日だ。
道路も混雑するかもしれないと、多少早く家を出た。高速道路は思ったほど混んでおらず、快適に飛ばしていた。
一番左の追い越しレーンを運転中、外から異音が聞こえてきた。ゴロゴロ言っているが、隣は大型のトラックが併走している。このトラックの音かもしれない、とアクセスを踏み込んで抜かすことにした。
ところがトラックの前に出ても異音は続くどころか皿に大きくなり、加えて車が大きく揺れた。さすがの僕でも「これは僕の車だ」とすぐに分かり、急いで一番右側の待避ラインまで3車線を移動しなくてはならなかった。たぶん後ろや横で走っていた車には僕の車がどんな状態か見えたのだろう、みんなスムーズに道をあけてくれ ( というか大きなアクシデントになるかも、と避けていただけなのかもしれない )、なんとか高速道路をふさがずに無事待避エリアに車を寄せることが出来た。
運転席側の左側はそこが高速道路の走行車線なのでそこから出るのは危険。右の助手席に車内で移動して扉を開けると、すぐにゴムの焼け付く匂いが鼻をついた。
見るまでもなくパンク、それも派手に blow up していた。

出勤途中だったので、とりあえず同僚の携帯に電話し、出社が遅れることを伝える。それを終えると車の後部に装着しているタイヤをはずして、このタイヤと交換することだった。4WD 車なのでこのタイヤも「ドーナツ」と呼ばれるテンポラリーなものではなく、フルサイズなので空気が入っていればそのまま走行出来るはず。でジャッキで車を持ち上げる前に破裂したタイヤのボルトをゆるめようとするが体重を掛けてもどうしてもゆるめられないボルトが一つあって途方にくれた。いつも車のメンテナンスを持っていくところは機械でこれらのボルトを閉めるので、この一つは特に強く閉められているようだった。
そこでどうしたもんかと自動車修理工場を経営している友人に電話したところ「いまいるのが Queens なら911に電話すると NYPD の HELP カーが駆けつけてタイヤの交換を手伝ってくれるよ」という。
911は日本で言うところの110番なので、これしきのことで非常電話をかけてもなぁとためらう。朝が速かったが今度は警察官の友人に電話して聞いてみると、((笑)ながら)「警官がそんな事手伝うわけないじゃん。311に電話してご覧」という。どうやら最寄りの towing company (レッカー移動する民間会社)の番号を教えてくれ、その車を派遣してくれるだろうとのことだった。
311は New York 市が提供している生活ホットラインで、特にこの季節だと暖房が入らないとか、寒さで水道管が破裂したなどの苦情を受け付け、即座に動いてくれるものだ。
911よりはこちらがいいかも知れない、と思って電話すると311のオペレータは僕の話を聞いた後「これは:警察の管轄ね。今から911のディスパッチャーに電話するからもう一度説明して」と言われ結局緊急番号に転送されてしまった。
電話に出た人まず「非常かどうか」と聞いてきたので「非常ではないが、高速道路を運転中タイヤが破裂して交換ができずに路肩に車を止めている」と説明。するとすぐに「高速道路のレーンをブロックしているか」と聞かれた。おそらく交通渋滞を巻き起こしているかどうかによって対応が違うのだろう。走行レーンではないところに止めていることを伝えると、それでは警官を送るから現場で処理してください、と言われ待つことになった。
30分ほど待ってパトカーがやってきたが、状況を見ると「これはレッカー車を呼ばなきゃ」と言って結局当初の話し通りレッカー車を呼ぶだけ・・・警官の友人が言うことは正しかった。
それでもパトカーは何もしないかというと、レッカー車を呼んだあとも、後ろからの追突を避けるためか、非常灯をつけて僕の車の後ろにずっと待機していた。おかげで通りすぎる車からは好奇の目で見られたが、僕がスピード違反をして捕まったと思われていたのかもしれない。でもパトカーの中の警官2人は新聞を読んでいたんだけどね(笑)。
レッカー車は10分もしないうちに到着し、それと入れ違うようにしてパトカーは高速道路の流れに戻っていく。大きなトラックから出てきたおっさんは僕の顔を見るなり「お、日本人か? 昨日ディスカバリーチャンネルで日本の特集をしていたけど、凄いいい国だなぁ」などと話しかけてきた。
「で、どんな問題?」と聞かれて、実はボルトが一つはずせないだけでそれが回せれば自分でタイヤ交換出来ると思う、というと、専用の大きな道具を使ってなんなくそのボルトをゆるめてくれた。
「どうする?タイヤ交換をしてもいいけど、自分でやればタダだぞ」と言うので、後は自分で、と言ったのだが結局最後までタダで手伝ってくれた。手を拭きながら多少のお礼として少額渡しのだが、そのときに「実は義理の妹が日本人でね。だから姪と甥は半分日本人、半分はイタリア人なのさ」などとからから笑いながら教えてくれた。
朝から不愉快なタイヤの破裂だったが、気持ちの良いおじさんのおかげで、気分はかなり軽くなって無事出社できた。
とはいっても経済的なツケは来るわけで、今、後輪についているタイヤも実は以前に釘が刺さってパッチが当てられている状態。今日破裂したタイヤはそんな過去の履歴の無いものだっただけに、他のタイヤもそろろそ寿命だろう。ということで今回は5本ともタイヤを買い換えることにした。
ということで昨日のブログで「会社帰り pepboys という自動車用品によってタイヤを5本買った」と書いたのはこの話から来ているのだった。
この数日は車関係で予想外の出費。これで自分用のクリスマスプレゼントは無しだな・・・





