最近購入したこのアイテムが僕の中ではなかなかのヒットなのでちょっと紹介しておこう。
このアイテムというのは ExpoDisc という会社の Digital Warm Balance Filter という名前の製品でカメラ用のフィルターなのだが、おそらく Warm C-PL フィルター以来のヒットと言っていい。
なんでも今月号の capa ( カメラ雑誌 ) に同じ会社 ExpoDisc の Digital White Balance Filter の紹介記事が載っているそうだが、僕も最初は Digital White Balanace Filter の存在を知って買い求めようとした。
が結局僕が購入したのは Digital Warm Balance Filter というちょっと似た名前の別の製品の方だ。
名前からも分かるように Digital と Balance の間の文字列が White か Warm と、ひとことだけ違う。その違いについて説明する前にこれがどんなものか簡単に紹介すると、デジタル一眼レフカメラ ( 一部のコンパクトデジタルカメラでも使用可 ) のホワイトバランスをマニュアルで調節する際に使用するフィルターで、レンズの前に取り付けことにより撮影現場の色味を採取できる、ということになる。
デジタルカメラには一般に撮影現場に合わせてホワイトバランスが選択できる機能が付いている。たとえば「晴れの日の屋外」とか「曇り空」とか「蛍光灯下の室内」といったものだ。
カメラは人間と違ってどんな光源下にいるか判断出来ないため、同じものを撮影しても太陽光と白熱灯の下では異なった色調になる。
これを逆手に取って、晴れの日の屋外なのにあえて異なる設定、たとえば「白熱灯」などと言ったホワイトバランスを選択することで面白い効果が得ることもできるが、一般には見た目通り、または照明に左右されずに被写体の色を正確に再現したいと言うことの方が多いはずだ。
カメラの撮影モードの中にオートモードとかプログラムモードというものがあるが、これはカメラがオートフォーカスで動作するだけでなく、通常はホワイトバランスの選択もカメラが「こんな色味だろう」とカメラが自動に認識し、調節していることになる。
が、これをユーザがカメラに「教えてやる」= 「ホワイトバランスを設定する」ことでより自分がイメージする色味に近づけることが出来るのだ。通常は上に上げたように太陽光や曇り空、蛍光灯、白熱灯などいくつかのホワイトバランス設定がプリセットされているのでそれを選べばいいのだが、場所によっては太陽光が差し込み、蛍光灯と白熱灯、それに異なる照明ランプも使われている、なんて時はお手上げでとりあえずオートホワイトバランス ( AWB ) で撮るか RAW モードで撮って現像後にレタッチすることを前提にしたりする。
ところがデジタル一眼レフカメラ ( それと一部のコンパクトデジタルカメラ ) にはマニュアルホワイトバランスという機能がある。これはつまり本番の撮影する前に、撮影するその被写体の前に白い紙などを置いた状態で一枚写真を撮り、カメラに「これがこの場で撮った白色のもの」と教え込む。そしてホワイトバランス設定を「マニュアル」にすることでより正確なホワイトバランスが得られるようになるというものだ。マニュアルホワイトバランスを含めたホワイトバランスの説明については以下のサイトのようにあちこちで説明しているのでそれを見て貰うといいだろう。
ところで自分の家ならともかく、屋外でいつも白い紙を持って撮影に行くわけにはいかない。
そこで今回のアイテムの登場となる。

これがExpoDisc社のDigital Warm Balance Filter。この白い面がレンズに点ける方。

でこちらが被写体側に向けられる面。でこぼこのレンズが光を吸収するのか拡散するのか・・・
見ての通り、形状はちょっと変わったフィルタといったところ。普通のフィルターの様にいろいろな口径のものが用意されているが、通常の撮影時に装着して使うものではないので、自分が所有しているレンズの中の一番口径の大きなものにあわせてこのフィルタを買えば、それで他のレンズでも使えることになる。フィルタ側にもねじは切られておらず、レンズキャップをはめるかのように「かちゃっ」とレンズにはめるだけなので、取り外しも簡単だ ( 簡単でないと困るが )。
僕は77mmのレンズをよく使うのでこのフィルターも77mm口径のものを買ったが、77mmより小さなレンズに合わせて使用するときは左手でフィルタをレンズにあてながら、被写体に向けてシャッターを切ればよい。
と言うことでとりあえず写真を撮って実力のほどを拝見することにしよう。
買ってからまだ十分な時間が取れなかったので、カフェでラズベリーケーキを撮ってみることにした。ラズベリーの甘酸っぱい香りが漂ってすぐにでもフォークを付けたかったのだが、そこは写真のために我慢。
場所は後ろの窓からは太陽光が入り、頭上からはハロゲンライト、そして店内は他に蛍光灯などの照明がある、割と複雑な照明環境。こんなときはたいてい AWB、つまりオートホワイトバランスに頼ってしまうのが一番手っ取り早いのだが、果たして結果はと言うと、

ホワイトバランス: Auto
まずは AWB の結果だが、実はこれが僕らの見た目にはかなり近い。つまりケーキそのものの色より、太陽光、ハロゲンなどいろいろな光があたってテーブルの上にある食べ物はこんな風に暖かみのある色に見える。

ホワイトバランス: 太陽光
次に背後から差し込む、太陽光に設定を変えて撮ってみると上のような結果になった。
黄色みを越え、赤みがかっている。

ホワイトバランス: 白熱電球
次に白熱電球の設定にしてみると・・・、緑がかって見えるが実はケーキ本来の色にだいぶ近づいてきている。
アメリカでは蛍光灯が使われている屋内というのはあまり見あたらない。多くは駅やトイレなど公共の場ぐらいだろう。個人の住居やデパート、レストランなどでは白熱灯や今回のようにハロゲンライトが好んで使われる。ところが日本のカメラにはハロゲンの設定が無いので「これは蛍光灯に近いかな、それとも白熱電灯モードかな?」と毎回頭を抱えることになる。

ホワイトバランス: 白色蛍光灯
それではこの店の中でもちょっと離れた天井に設置されている蛍光灯の設定で写真を撮ってみると・・・上のように AWB に近い結果となった。
うーんどれも生クリームが白くない・・・。あまり旨そうには見えない。
そこで今回の Digital Wam Balance Filter の登場だ。
まずはレンズ側の設定でフォーカス方式を Auto Focus から Manual Focus に変える。これはこのフィルタをレンズに装着すると前が何も見えなくなるのでカメラはフォーカスしなくなる。そこで Auto Focus の動作を止めるという目的のために Manual 設定にするのだ。
フィルタを装着したら写真を撮ろうとしている被写体に向けてシャッターを切る。今回の場合は、レンズをケーキに向けて一枚写真を撮ることになる。もちろん真っ白な画面が一枚写るだけだ。
被写体の横にカメラを起き、光源つまり光のやってくる方向にレンズを向けてシャッターを切る。最初に投稿したときはこの部分を勘違いして被写体に向けて写真を撮ったので、実はここに載っている写真は最適化されたものではないことになるが、それでもその場の光を取り込み正しくホワイトバランスが設定出来たことにが分かる。
ここで撮れる写真は一面真っ白なだけの単調なものになるだろう。
うまく写真が撮れたらフィルターをはずし、カメラのメニューに入り、マニュアルホワイトバランス用の画像を選ぶ項目まで移動する。すると通常は直前に撮ったイメージから一枚ずつ表示されるはずなので、いましがた撮影した真っ白な画面をそのまま選び、SET ボタンを押すことでこの写真に指定する ( CANON EOS 20D の場合 )。
すると「ホワイトバランスをマニュアルホワイトバランスに変えるのを忘れないように」という意味のメッセージが表示されるので、そのままメニューから抜け、ホワイトバランスをマニュアルに合わせる。これで設定は完了。
その設定で撮った写真が下のものだ。

ホワイトバランス: マニュアルホワイトバランス
カメラ背面のモニターで見たときは青っぽく見えたが、帰宅してモニターで見てみると一番正しい色味になっているのが分かった。
トーンカーブやコントラストなどあとはちょっといじってやるだけで、複雑な光源下でも正しい色味を再現しているのがよく分かる。
ただし僕の予想はもうちょっと暖色がかった色味になるのではないか、と思っていたのだがそれは今後のテストで結果がでそうだ。
なぜ暖色になるかというと、それが一番最初に言及した「White」と「Warm」のフィルターの違いで、もともとは Digital White Balance Filter の方が長い歴史を持っている。僕が Manhattan にあるカメラ屋 ( B&H ) に買い求めに行くと、White Balance Filter 77mm 口径モデルは売り切れていて、それより一回り小さいか大きいものしか残ってなかった。
余談だが、日本からフォトグラファの岡嶋さんと、知人の田中さんが New York に来ていて、僕が B&H に行ったその前日に揃って Digital White Balance FIlter 77mm を購入している。どうやらお二人が購入したところで在庫がちょうど切れたのではないだろうか。
で僕はというと、ExpoDisc 社の製品を公式サイトで調べていたときに新製品が出ていることに気が付いた。それが僕が今回購入した Digital Warm Balance Filter だ。
これは White Filter の色味にさらに 81a 暖色フィルタを装着したのと同じぐらいのホワイトバランスになるように調整されているフィルタで、僕が使用している Warm C-PL フィルターもやはり81a 暖色フィルターが重ねられていることから、実は今回も両方のモデルを比べて見たいと思っていたのだ。
不幸というか幸いと言うべきか 77mm の White Balance Filter の方は売り切れていたので、その場で一回り大きな White Balance Filter と 77mm の Warm Balance Filter を取り付けてそれぞれの写真を見たところ、僕的には Warm カラータイプの方が好みだったので、片方が売り切れていることを良いことに、Warm Balance Filter の方を購入したのだった。
Warm Balance FIlter の特徴は特にポートレートなど人を撮るときに顕著にその効果が出るようで、街中で使うと確かに暖かみが強く出る。好みの問題だが、僕は自分のスタイルでこの色味を利用して撮ることが多いのでメリットになることの方が多い。もう少しいろいろと持ち歩いて良いサンプルが撮れたらそれをキオクイロ掲示板の方にでもアップロードしたい。
ちなみにアメリカでは 77mm 口径のものだとだいたい$100~115ぐらい。日本では19000円で売っているところがあるので価格差はかなりのものだ。
気軽にポケットに入れて持ち運びが簡単なこのフィルタ、僕の最近のオススメである。

















