思わずつばを飲み込んだ・・・
感動したときの気持ちを言葉にするのはとても大変で、どうしても比喩的な表現になりがちだ。
文章にすると長々となってしまいそうで、そうするとテンポまでは伝わらなくなってしまう。そんなもどかしさがじれったいほどの気持ちを今回も経験している。
NY 在住のアーチストの友人から紹介されて知った Exhibition、「 Ashes and Snow 」に行ってきた。この「 Ashes and Snow 」という展示が行われていること自体、僕は知らず、もちろんアーチストの Gregory Colbert と言う人の名前も聞いたことがなかった。
そんな僕がお金を払ってまで見に行くのだから、友達の一言というか口コミというのはすごいもんだ(笑)。
会場は Manhattan の Chelsea 地区。もともと Chelsea 自体が Manhattan のはずれなのに、ここはさらにそのはずれだ。どの位はずれかというと Chelsea のミートマーケットの中を通り抜け、Hudson River に面して造成された多目的エリアに臨時に立てられた Museum で展示が行われているのだ。実際には Westside Highway の向こう側なのでピアで行われていると言うことになる。


行ってみるととてもユニークな建造物があるのですぐそれが展示会場だと分かった。コンテナを何段も積み重ねて出来た、まるで巨大な貨物船のような造詣なのだ。
入り口で入場料として大人$12を支払い、中に入ると建物の中は奥に50mほどの長い空間が広がっている。真ん中には木で出来た通路が引かれ、その両脇は子供の握りこぶし大の白い石が引き詰められている。天井は10m近くもあり、かなり高い。
通路に沿って数メートルおきにギリシア神話を思わせるような柱が左右に立っているのだが、この柱も廃材でできているようだ。
写真はその柱の間に一枚、天井からワイアーに釣られている。一枚一枚の写真はどれも同じ大きさで模造紙よりかなり大きい。

このイメージはなかなかわかりにくいので公式サイトにある写真を参考にしてみて欲しい。
(下に紹介した公式サイトの Menu から 「Elephant Migratory Journey」のリンクをクリックすると展示会場の様子が見られる。
その神秘的な会場にもまして雄弁なのは展示されている彼の写真、そして突き当たりで上映されているフィルムだ。
左右の写真を一枚ずつみながら不思議な感覚に陥り、そして見てきた写真が合成でもなんでもなく全て真実だということを1時間のフィルムを見て知ることになる。
アートの内容を事細かに説明することほどつまらないことはないので、その部分は避けて Facts だけ紹介しておこう。
写真のいくつかは公式サイトからも見ることが出来るので、是非見て欲しいのだが、写真はどれも人間と動物がとても不思議な対話をしている。その対話が普通ではありえないような構図になっている。鯨の群と一緒に泳ぐ男性。同じく一匹の象と一緒に踊る男性。砂の嵐が吹き荒れる砂丘で少年が豹と背中合わせに座っている写真、数十頭もの象の群が移動する象の足下でトランスを踊る女性の写真。
例を挙げるきりがないが、これらの写真が数十枚も展示されている。
Gregory Colbert によるとこれらの作品で登場する動物たちは野生のものだという。
その彼の言葉が本当だと分かるのは展示会場突き当たりで上映されている1時間のフィルムを見ると分かる。
彼は最初の彼の作品をこの世に発表したあと13年姿を消し、その間33回もの探検旅行を敢行し、これらのフィルムを世界各地で撮っていたのだという。
そのフィルムではハイエナの群れの中でトランスを踊る女性を含め、さきほど紹介した写真がすべてモーションとなって見ることが出来、こんなことを書くのも野暮ったいが、合成でも何でもないことがよく分かる。
写真としてフィルムとは別に撮ったものがあることは、最後までフィルムを見てフィルムに現れないことから、見て取れる。
がその一方で、多くの写真は撮影された映画の中から一瞬を取り出したものであることもわかる。
動画は写真に比べると冗長になることが多く、秒何十コマと撮影しているためその中から一番良い瞬間を切り取ればいい写真になるだろう、と言うこともあるかも知れないが彼の作品の場合は動画の瞬間瞬間がまさに写真的な表現であるため、こういった切り取り方ができるのだということも映画を見て分かった。がこれを撮るための集中力というのは並大抵のものではなかっただろう。
今回の展示を見た後で、普段ギャラリーで見るような写真の見方をしていなかったことに気が付いた。
ましてそこにはキャッチライトだとかボケだと言ったセオリーや、使用器材は何でどう使うべきなどという次元の話は一切観客側に意識させないものである。ストレートに作品が観客に飛び込んでくる。観客の意識も作品に飛び込んでいく。
その彼の意向に反してあえて撮影方法について取り上げるとすれば、映像による表現方法の限界について考えさせられたことだ。
これまでよく「写真は多かれ少なかれ有名な写真家によって撮影方法が確立されているので、ユニークに撮ったつもりでも多かれ少なかれ似通ったイメージになってしまうもんだ」と耳にした事があり、僕自身もそう思っていた。
でも人間と動物というプリミティブな被写体だけを選んだ ( Ashes and Snow はまさに人間と動物の関わりを見直すことをテーマとしている ) としてもそれは必ずしも本当ではないことが分かった。
ところで彼のこのアートには日本(人)も深く関わっていて、展示会場の建築デザインは日本人の手によるものだし、展示されている写真は日本の手漉き和紙にプリントしたもの、と紹介されていた。なんとも頼もしいではないか。
New York での展示は6/6までで、そのあとは Los Angeles で Exhibition が行われ、LA の後は中国・上海と決まっているようだ。
日本での公開は未定のようだが、リクエストベースで展示もあり得るらしいので文化庁などに招聘のリクエストを出してみてはいかがだろうか > 日本の皆さん













