貴方のBMW、作ってます
今日もクルマの話の続きである。
金銭感覚というのは自分の性格が自分でわからないのと同じように、結構ミステリーである。
僕は自分のことをどちらというとけちだと思っていて、こう見えても意外と慎重派、倹約家だと自負 ( ? ) している。
けれども自らの肌で実感出来ない金額になると、その慎重さも失せてあとは感覚で判断してしまうのは、血液型のせいなのだろうか ( 笑 )。
この日、テストドライブだけで帰るつもりで来たのに、店を出るときには手には契約書があった。
この時点で、他の候補車種を見にいくどころか、カタログすら手元に無く比較どころではなかった。急いで買い換える必要があったわけではなかったので、競合車種があるのなら少しぐらい値引きも・・・と淡い期待をしていたのだが、それすらしてなかったのでこの日 Dealership で提示された金額で、注文書にサインしてしまったのだ。普段だったら石橋を叩いて渡るはずが、もうこの金額になるとそんな信条も麻痺してしまうらしい。
クルマのスペックはカタログを見ればよく分かるし、クルマのハイテク部分はそれほど興味が無かったので、セールスマン氏が説明云々を飛ばして、テストドライブさせてくれたのは、そのクルマを体で理解できる最も手っ取り早い方法だったのだ。もちろん最新の日本車ほどではないが、BMW も画期的というか戦略的なハイテクオプションがいくつかあったが、クルマの運転そのものが楽しめる事のほうに重きをおいて、ハイテク装備というのは二の次になった。ハイテクグッズとかガジェット好きな僕にしてはこれまでと正反対の動機で、自分でも気持ちの変化に驚いたほどだ。
結局、言葉では説明しにくい何か特別な感覚が衝動を駆り立てたのだろうが、他のクルマと比べてもきっと答えが出ないだろうというその違いに、気が付いたのだった。それならば比較しても仕方ない、このクルマが欲しいかどうかというチョイスになったのだ。
「 新シリーズでは325iと330iは同じエンジンを搭載しています 」
説明はとても丁寧なもので、クルマ自体の説明からオーナーに対するサービス、そして BMW や Dealership のポリシーなど、なるほどなと思わせる話を聞かせてくれたが、すでにこの時点で内心 「 このクルマを買おう 」 という気持ちが固まっていた。
ただし価格についてはかなり複雑で、車種を決めてもオプションにより合計金額が激しく上下することから、なかなか絞りきれなかった。
結局、注文は毎月の支払いが現実的な325iで済ませた。セールスマン氏も 「 個人的ながら 」 と前置きした上で 「 新3シリーズの場合、325iが、一つ前の330iとほぼ同じエンジンを載せていますので、新325iは充分に楽しいクルマにできあがっていると、勧められますよ。会社の方針では330iを勧めないと行けないところなんだろうけれど 」 と笑いながら教えてくれた。
ちなみに 「 日本より手が届きやすい 」 はずの BMW だが、標準小売価格自体は低く設定されているものの、オプションがほとんど着いていない。セキュリティをお金で買うアメリカで、最低限のオプションを着けていくと・・・みるみるうちに高くなり、あまり日本での価格と変わらなくなってしまった。
それでも 「 オプションによっては、注文が確定するまでの数日感変更可能なものもあるし、中にはクルマの組み立てが完了し、US に輸送されてきた後でも取り付け可能なものがあるので、ひとまずゆっくり考えてみてはどうですか? 」 というセールスマン氏のアドバイスに従うことにした。
僕が Dealership に訪れたのは週末だったこともあって実際の注文確定は月曜日の夕方になるとのことだった。注文が確定するそのときまでは組み込みオプションについては変更が可能だということだったが、日曜日に友達のアドバイスを聞いたり、ネットでユーザフォーラムの書き込みを見ながらオプションの足し算引き算をしていると、結局裸の325iにいろいろオプションを点けたものと、330iのパッケージ価格がかなり近づく事に気が付いた。
330iは僕が欲しかったオプションがほとんどパッケージに組み込まれていること、そしてどうしてもテストドライブのときに感じた330iの野太いエンジンフィールが忘れられず、注文が確定する直前にセールスマン氏に電話を入れて、「 やっぱり330iにします 」 と変更したのだった。
もちろん月曜日とあって仕事中だったのであまり長電話はできず、残りのやりとりは全てファックスでやることとなった。
まず新しい見積書が届き、そこにはおよそ月々の支払い金額が書かれている ( 頭金については仮契約をしたときに持ち合わせがなかったので、後日持参することになっており、その金額は伝えてあったので見積書にはすでにローンの計算が済んでいた )。
再び電話をかけてこの金額でオーケーを出すと、こんどは契約書がファックスで届き、僕がサインをしてまたファックスを送り返す・・・というなんともかなりカジュアルな方法で330iの契約を済ませたのだった。
325iと330iがオプションを同じにすると価格差が縮まるのには理由があった。
実はアメリカで販売されている新325iと新330iは、同じエンジンを搭載しているのだ。僕はもともと325iは2.5Lエンジン、330iの後ろ2桁は3.0Lを意味するものだと思っていた。同様にアメリカでは販売されていないが、日本ではラインナップされている318iや320iのエンジンもおよそ1.8Lや2.0Lだったと思っていた。
ところがこのモデルから325iは3.0Lのエンジンを搭載しており、これが実は330iと同じタイプのエンジンなのだ。したがって日本で売られている330iとアメリカのそれはほとんど同じ構成だが、こと325iに限っては日本とアメリカで別物と言ってよいようだ。
アメリカ輸出向けの325iと330iのエンジン、違いはギア比や出力パワーの違いで、330iの方が燃費を犠牲にしてでも高出力な仕上がりになっているのが特徴なようだ。
すでにガソリン価格の高騰が始まっているおりだったが、BMW に載るなら Silky Six と呼ばれるこのエンジンを思いっきり楽しんでみたいと思い直し、最後の最後で注文内容を変更したのだった。
「 ミュンヘンの工場で組み立て中です 」
ところでアメリカの場合、クルマを買いに行くとその日に 「 持ち帰る 」 ことが出来る。ほとんどの Dealership では店舗の裏に大きな駐車場があり、様々な色やモデル、それにオプションの有無を組み合わせてそれこそ無数の商品を在庫として持っている。
客は自分の好みと、モデル・オプションなどが合えばその場で持ち帰ることができ、これが僕が知っている新車の買い方だったりする。
BMW ももちろんそういう買い方をする人はいて、僕が行ったときも駐車場に停まっている一台の車を指さして、「 このクルマは先ほど売れたばかりなんです 」 とセールスマン氏が教えてくれた。ただ僕の場合、今乗っているクルマを処分しないことには、車両保険や税金など二台分払わなくてはならないため、できるならば今のクルマを処分してから、新しいクルマを受け入れたい。正確に言えば、ライセンスプレートと保険の関係で売却と車両登録を同じ日に済ませるのが理想である。
そう思っていると、セールスマン氏が 「 在庫にあるモデルが要求にぴったりあったというお客さんをのぞいては、BMW はほとんど注文生産方式に切り替わっているんですよ。」 とのこと。僕の車もドイツのミュンヘンで生産されるとのことだった ( ちなみに日本の BMW ユーザフォーラムによると今年の9月から新3シリーズの生産は南アフリカ製に切り替わっているとの情報あり。先日修理のため Dealership に行ったときに販売用のクルマを見たところ、アメリカではまだドイツ生産のようだったが )。
さて面白いのはその後で、クルマをオーダーするとトラッキングナンバーなるものが渡される。宅配便でパッケージを発送したときにその追跡用に使われるあの番号だが、BMW USA ではその番号を元にクルマがどの段階にあるかを追跡出来るようにしているのだった。
BMW USA ではオーナーのための専用ウェブサイトがある。そこではユーザマニュアルのPDF版などマニュアル・ドキュメントが参照できる形で格納されているのだが、他に個人の車毎のメンテナンススケジュールなどが管理できるようになっている。その中にオーダートラッキングのページがあるのだ。

僕の場合、注文時にセールスの人から 「 ○○日までの注文割り当て分にリクエストが入れられれば、来月頭の生産に間に合いますので、ドイツからアメリカまで輸送してきても○○日には納車可能です 」 というようなことを聞いていた。確か注文を入れてからから、納車までおよそ1ヶ月半ほどのスパンだったと記憶している。なので最初の1、2週目は気にもしてなかったがさすがにトラッキングナンバーを貰ったんだからどんな状態まで分かるのか見てみよう、と思いたち、オーナー登録後現れたのが上の画面だった。
どうやら生産はすでに終了し、船に積み込むために港で待機しているようだ。
そしてそれから一週間後ぐらいたってアクセスしてみると、下のような状態に変わっていた。

クルマはアメリカに到着し、税関を通り抜けてアメリカでの審査を通過するためのパーツの交換や追加オプションのインストールなどを行っているらしい。
こんな風にトラッキングシステムによって納車までの様子を楽しみに待つことが出来るのだが、こちらからいろいろ指図できるわけではないので、純粋にオーナーに対するサービスの一環である。けれどもこんな風にオーナーになったんだという心をくすぐるもの1つ1つが、 BMW のプレミアムたるゆえんなのかもしれない。
この時点で、納車まで一週間を切ったところだった。
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