
▲ NY から車で二時間、里の春らしい風景が広がる。
New York のイメージといえば真っ先に浮かぶのが大都会、Manhattan だろう。だから 「 初めて New York に来た 」 という人から Manhattan 観光の案内を頼まれるのには慣れている。
けれども東京に住んでいる人が週末を利用して郊外に抜け出すように、ここに住んでいるとときどき無性に都会の喧噪から離れたくなることがある。
驚くことに Manhattan から車に乗ってちょっと走るだけで、そこにはのどかな田園風景や険しい峡谷など自然の景色が手つかずのまま残っているところに出くわす。
都心に住んでいると地下鉄など公共機関が整っているおかげで自家用車を持つ必要が無いと言うことが多い。NYC に住んでいる人の多くがこれに当てはまる。
それでも日本では週末に郊外に行くときに鉄道やツアーバスに乗って、気軽に日帰り行楽ができるのだが、鉄道システムが崩壊してしまったアメリカでは、その手段はほとんど無い。都市と都市を結ぶ鉄道はあっても、残念ながら郊外に向かう路線が存在しない。
そのため、NYC 近郊に限って言えば、シーズン中に名勝地に行っても、めったには駐車場待ちで行列・・・というシーンに遭遇しないのだ。NYC に住んでいる人口を考えるとこれはかなり少ないといえる。
ということで以前から郊外に出かけることはよくあったが、写真を撮るようになってさらに郊外に行くのが楽しくなった。
皮肉なことに写真を撮影する機会が増えれば増えるほど Manhattan で撮ることが多くなり、郊外に行く時間がなかなか取れなくなった。どうしてもまとまった時間がないと行けないからである。特に冬は、いま乗っている車で雪道を走るのは難しいのでほとんど出かけじまいとなった。
やっと春が来た、と思っていたところに日本から来た知人から 「 郊外に行ってみたい 」 と言われ、用事があるなどというわけがない ( 笑 ) 。
Manhattan の遅めの桜が散る頃、向かったのは Delaware Water Gap ( 通称 DWG )。New Jersey 州と Pennsylvania 州の境にあり、New York からは西の方角にある。
ここには去年の秋に初めてやってきたのだが、そのときの様子をブログでも紹介したので覚えている人もいるかもしれない。
Manhattan の桜を横目に出発したので、いくら郊外といえどもそれほど時期的に変わらぬ景色が見られるだろうと思っていたのだが、車窓に流れる風景はみるみる変わり、それはまだ春が訪れる直前の景色まで季節が戻っていった。それはまるでビデオテープを巻き戻ししながら見ているかのようである。
Manhattan を出ておよそ2時間後、僕らの前に広がっていたのは冬から春にちょうど変わろうとしている山の装いで、新緑もまだまばらである。

▲ 上の写真とだいたい同じところから、去年の11月に撮った写真。
去年来たときと同じハイキングコースを選んで、今年もカメラ一つと弁当を持って登る。去年は途中登山コースから外れてしまい、かなり遠回りしたが、今年はそのときの教訓から迷うことなく View Point に到着。
まだ寒々しい風景が広がっているが、日中は暑くなり、登り切ったところでは T シャツ一枚でちょうど良いほどの気温であった。
ここに来ると2時間しか離れていない New York とはもっと長い時間 - どちらかというと何年も離れているかのような錯覚に陥るほど別世界が眼下に広がる。この山は実は長い山脈の一部で、ハイキングコースが無数にあることを後から知った。
それと今回初めて知ったのが、その山脈とはアパラチア山脈だということだった。確か中学か高校の地理でこの地名が出てきたのを覚えているが、アパラチア山脈がどこにあるかなんてことは興味がなく、僕の中では名前と風景が一致してなかったのだが、この風景を見たときに missing していたものが全てリンクした。
結局ドライブした2時間という 「 とき 」 は、早足で通り過ぎる Manhattan の春からちょっとばかり時間を遡り、その風景は2時間どころかもっと離れた距離を感じさせ、そして何十年も前の自分の記憶の糸をたぐい寄せるのだった。
都会と日常から離れるということは、こんな風にちょっとしたタイムスリップ感をも僕らに与えてくれるのである。

▲ 今回初めて行った山奥の滝。近くで見ると落差もかなりあって迫力もかなりのもの。雪解け水のせいで水量が多いのだろうか。

















