アパラチアの雲

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都会にいると季節の微妙な移り変わりを感じることは難しい。
もちろん Thanksgiving や Christmas など、華やかなデコレーションが施されたショウウィンドウから、ごった返すデパートの売り場から、そして大きなショッピングバッグを抱えた人たちから---そんなことからあわただしい年末に向かっていることはよくわかる。
けれどもふと顔をあげるとそこには葉がすべて落ちた寒々しい木々があったり、夏はうっとうしさすら感じていた公園の茂みもすっかり向こう側が透けて見えて寂しい景色が広がっているのにある日突然気がつくと、なんだか自分が気づかないうちに一つの季節が通り過ぎてしまったかのような寂寥感に襲われる。


春や秋になると車に運転してちょっとばかり遠出をするのは、そんな都会の喧噪を抜け出して季節の移ろいを少しでも感じたいからかもしれない。
一年を通して友人知人が New York を訪れるが、そのタイミングで来たりすると無理矢理僕につきあわされることになる。 「 New York に来てまでなにも田舎くんだりまで 」 といわれそうだがそんなことにお構いなしなのである。

今年は幸いに僕のプランにノリ気の New York 在住の友人がいて、秋も深まった快晴のある日、郊外へ一日ドライブに行ってきた。


行き先は・・・これまた代わり映え無く Delaware Water Gap である。
過去行った度にここで紹介してきたので、覚えている人もいるかもしれないが、New Jersey 州と Pennsylvania 州の間にあるデラウェア河とその峡谷、そしてアパラチア山脈から成るとても景色の美しいところである。

僕らが行ったときは 「 ちょうど紅葉が見頃かな 」 というタイミングだったのだが・・・。
実は出発前日にストームがアメリカ北東部を襲ったのである。僕が住んでいる Astoria でも強風のせいで歩道の枝が折れ、葉がちぎれ、すっかり寂しい姿になってしまった。
そしてその翌朝、青い空が一面に広がるまさに台風一過といわんばかりの天候に恵まれて出発したのだった

けれどもやはりストームの影響は大きく、Delaware Water Gap に着いてからは車道に落ちている枝に気を払いながらの運転となってしまった。小枝ならばぱきぱきと小気味良い音をたててそのまま走り抜けられるのだが、中にはカーブの途中に鹿の角のような大枝が道の真ん中に落ちていて、そのたびに避けねばならなかった。

枝が折れて道に落ちているほどだから、紅葉の方もすっかり散ってしまい残念ながらピークは見逃してしまった。

「残念だね」といいながら帰る道すがら、がっかりしている僕らの頭上にこんな見事な赤い雲が、ほんの一瞬だけ浮かんでいた。
紅葉は見られなかったけど、やっぱりここまで来ると季節があるんだなぁ。

すっかりほくほくした気持ちになって、僕らは家路を急いだ。

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このページは、hiroが2006年11月13日 00:41に書いたブログ記事です。

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