NY風納涼ツアー
日本の学校では夏休みが8月31日までだったせいだろうか、8月が終わるというとそれは僕の中で夏の終わりを宣告されたようなものだった。
たとえその後で暑い日が続こうとも。
今年の New York はそれよりもっと早く夏が終わってしまったかのように、ずっと涼しい日が続いた。そんな中昨日は久々に気温も30℃を超え、湿度も高く、今年一番の不快指数を示していたかもしれない。これだけ暑いと何をするのもおっくうになるが、でも夏らしくない夏なんてずっとつまらないものだろう。
そんな暑い日はアイスに限る! ということで、今 New York でもっとも人気のアイスクリーム店巡りを遂行。 こんな酔狂なプランにもかかわらず、何人か賛同者が参加してくれた。
実は、今ほど涼しくなるちょっと前の8月初旬、NY Loves You という NY 関連情報サイトを運営している友人が日本から遊びにきたことに合わせて New York でオフ会が開かれた。その席で呼びかけたところ、参加したいという人の数がちょうど良い数になり、話がとんとん拍子ではずみ、勢いでその翌日に行くことになったのだ。
ということで今回はヨシュラン風にアイスクリームの紹介である。

まず最初に行ったのが、今年オープンしたばかりで早くも大人気の GROM。
僕がこの店のことを知ったのは地元ケーブルテレビのローカルニュースで紹介していたことからで、New York の街の流行に取り残され気味の僕にしては珍しく早く反応してしまった。結局このアイスクリームショップのことがきっかけとなり、どうせなら話題のアイスクリームショップのアイスを食べ歩いてやろうというツアーが実行されることになったのだが。
テレビでも紹介していたのだがこの GROM というアイスクリームショップは、イタリアから今年 New York 市内に出店したばかりのできたてほやほや・・いやアイスなのでひやひや、というべきか。
何でもイタリア国内にいくつも店を構え、大人気となった店の海外進出第一号が、この New York ということらしい。だからここ以外では本場イタリアだけでしか食べられない・・・という。なんだかそう聞くと試してみたくなるのはミーハー根性か。
テレビでのインタビューにはオーナー自ら出演していたのだが ( イタリア語のアクセントがとても強かったのですぐにわかった )、なんでもこの店の売りはアイスクリームを作るときに使う食材にこだわりを持っているのだとか。たとえばコーヒーだと、どこどこ産の特別な豆だとか、同じようにバニラシーズ、カカオ、フルーツなどすべてオーナー自らが世界中から集めた最高のものだけに限定しているそうだ。
場所は Upper West Side。着いてみると店の前には行列ができている。暑い日に冷たいアイスを買うのに炎天下に並ぶ、というのもなんだか妙だがこの日はこのために来たようなものなので、ためらうことなく並ぶ。その日の待ち時間は20分ぐらいだろうか、自分の我慢強さに感心してしまうが、それ以上に New Yorker の行列好きにももっと感心してしまう。New Yorker なら東京で生活していけそうな気がする (笑)。

店内は奥に多少テーブルスペースがあるようだが、もちろん満席。ほとんどの人が店先で立ちながら食べることになる。
いくつかあるサイズの中から、僕はミディアムを頼む。1カップ、$5.75のミディアムと言っても他のアイスクリームショップのそれと比べると、一回り小さいと思う。僕自身はこの後のこともあるので、一番小さな種類でも良かったのだが、ミディアムだと3種類のフレーバーまで入れられるという。初めての店だし、いろいろなフレーバーが楽しめる方がいいかも、と考えていると。どうやら僕の前に注文している人たちもだいたい似たような考えのようだ。
で僕が頼んだのは、アプリコットと Gianduja とバニラ。Gianduja・・てと思ったがそういえば最近買った DARS チョコレートに 「 シャンドーヤチョコレート 」 と言うものがあったのを思い出した。全くイタリア語は自身がないが、あながち間違っていないと思うのだが。
で店内の案内によれば、伝統的なトリノのチョコレートとヘーゼルナッツ味ということらしい。
バニラは、この店のオーナーがインタビューでもバニラシードのことを取り上げていたのを思い出して、そんなに自信があるものなら、と頼んでみたのだ。
実際ここのアイスは口の中で広がる風味、香り、それと味を重視していて、その味の違いは一口目ですぐにわかる。だから店を出て最初のスプーンを口に入れた人たちの顔が 「 あれ? 」 みたいな顔に変わるのを見ているのがおもしろいくらいだ。

アメリカのスイーツがすべて合成香味料のような風味で、ほんものの香りも感じられないのに比べると、あきらかに日本人好みで素材にこだわって作られていると言う話もまんざら噂ばかりではない。店内に行くとわかるが、一人のお客さんの注文ごとにアイスクリームのふたを閉じる。
これも他のアイスのフレーバーが混ざったりせず、なるべくお客の口に行くまで新鮮な風味を閉じこめておきたいから、と言うことらしい。
チョコレートはあくまで深みがあり、バニラは、バニラエッセンスなんかとは全然違う新鮮な風味、またアプリコットはうまみの部分だけをそのままシャーベットに閉じこめたような、とにかく素材の個性が強くでたアイスクリームで、僕も評判になるわけがよくわかった。しかもこれがジェラートというのに、あのジェラートの持つどこか味の薄さは感じられず、あっさりとしながらもしっかりした風味ですっかり気に入ってしまった。
ここでは友人とバラバラのメニューを頼み、それぞれ味見をしてみたが、コーヒー味も僕のお奨めである。
地下鉄に乗って今度は Lower East Side へ。ここに来た目的は、ちょっと変わり種のアイスを求めてのことだった。
店の名前を il Laboratorio del Gelato といって、僕の貧しい想像力を使ってもこの名が 「 ジェラート研究所 」 と言う意味であろうと言うことはよくわかる。

僕らが着いたときは店内に客が一人もおらず、ここでいいのかな? などと思いつつ写真を撮っていると客が一組入っていった。
先ほどの店に比べると店構えも地味だし、この店があるエリア自体、ファンシーとは言い難い。こんなところで ( 失礼! ) でジェラートの名店が? と疑心暗鬼になりながらも店に入った。
この店のシステムもちょっと変わっていて、アイスクリーム ( ジェラート ) のフレーバーは80種類以上もあるらしい。が、店頭にあるのはそのうちの12種類ぐらいで、売り切れになるとそこに何か別の味が追加されたりと、常に全種類を頼める訳ではないようだ。最初それがわからずに壁に書いてあるフレーバーの種類から頼もうとすると 「 あ、そこから頼むのではなくて、この冷蔵庫の中のものから選んでください 」 と言われてしまった。

ここで僕が頼んだのは、ライチー、ブラックベリー、それにココナッツ。さっきの店と同じでミディアムサイズを頼むと3種類のアイスクリームを選ぶことができる ( もちろん一つの味を3スクープ分もらってもいいのだが )。
なぜかこの店でのフレーバーの選び方に代わり映えしないなぁと思われるかもしれないが、実は80種類の味の中には 「 タイのチリチョコレート 」 とか 「 米 」 とか 「 チェダーチーズ 」 などちょっとアイスに合うのかな? と思うようなものが並んでいる。直前に別のところでアイスを食べてきたからさっぱりしたものを食べようと思ったのと同時に、無難なものを、という心理が働いたのも事実だ。
それと本当に食べたかったアイスがこの日は無かったというのもある。実はこの店ではビール味のアイスがあるということを聞いていたのだ。なんでもどこかのレストラン向けに作り始めたこのアイスが評判となり、ここに店を構えるほどになったのだとか。
ちなみにほかにももちろん我が国代表のわさび味や、グリーンティ味もある。
さて味の方だが、あまりファッショナブルな場所とはいえないこの場所にあるとは思えないほど ( たびたび失礼! )、素朴ながら繊細の感じ。GROM も素材の風味を生かした作りという意味では、似たコンセプトだがあちらはどちらかというと極太、しっかりした風味で、それに比べるとこちらはもっと自然体な風味で、好意がもてる。
ここでも友人とそれぞれ味を変えて注文したのだが、その中では 「 オリーブオイル 」 が名前に反してとてもうまかったと、記しておこう。

入るときには行列など無かったのだが、僕らは運が良かっただけなのかもしれない。店を後にする頃にはすっかり行列ができていたのだから。
ちなみにこの日一緒に行ったメンバーの一人は、ここが気に入ってその後一人で二度も、通ったそうだ。モルツは無かったが、彼女が頼んだのはギネスビールアイス。苦みの中にも甘みがあっておいしかったとのこと。
そして三軒目はもともと、Chinatown にある、Ice Cream Factory を考えていたのだが、周りの強い 「 お勧めしない 」 という意見に動かされ、ジェラート研究所から歩いて行くことができる、Pinkberry という、これまたニューフェイスのアイスクリームショップに変更となった。場所は SOHO である。
もともとカリフォルニアの LA を中心に展開してきたこの店が、最近は New York にも展開を進め、今ではここのほかに、Chelsea や 32nd Street の Korean Town にある。
この店もアイスクリームはジェラートだが、ジェラート特有のざらざら感とか淡泊な感じが一切無く、とてもクリーミーで口の中ですっと溶ける感じである。
さすがにここまでくるとみんなで一つずつは食べられなくて、大きなやつを一つ買ってみんなで分けることにした。
そもそもここはアイスにはこのクリームと、グリーンティの二種類しかない。この店の特徴は、アイスに乗せる新鮮なトッピングにある。ここではアイスに混ぜ込むのではなく、食べるときに口の中でフルーツの食感を楽しめることが売りのようだ。それだけにトッピングコーナーはとても充実していて、しかもどれもとても新鮮できれいなものばかり。一つずつ丁寧に選別している感じがあって、それが三店目のアイスクリームにも関わらず、食欲をそそるのである。
ここもある意味素材にこだわったアイスクリームといえるだろう。こちらも行列は覚悟の店である。
この店も注文の仕方が変わっていて、まずはレジの前のレジに並んで注文を住ませレシートをもらう。次にアイスクリームのコーナーに並び、注文したアイスを選ぶ。レジでお金を払うときに味を決めておくと、あまり待つことなくもらえるが、アイスクリームの前に来て選ぶようにすると余計に長い時間列に並ばなくてはならない。ちなみにレジで払った後アイスを受け取る行列に並ばずに待ってしまうと ( スターバックスのように )、いつまでたっても自分のアイスが出てこないので注意が必要である。


さてこの日は全部で20種類ほどのアイスを食べたことになるのだが、三つの店は甲乙つけがたい。三つとも全く性格がはっきりと分かれて、それぞれに個性があるからである。
さらにびっくりしたのがこれらはすべてジェラートだったこと。一口にジェラートと言ってもこんなに違うものなのかと、改めて見直した次第である。
久々に甘いだけのスイーツでないものを味わうことができた一日だった。この様子だと、New York のスイーツシーンは少しずつ変わってきていると言えるかもしれない。
New York で流行る店が東京に進出ことが多くなっているので、そのうち東京で見られるかな?







