iPhone Update その2
さて今回も引き続き iPhone 使用レビューのである。
本題に入る前に、不満点として一つだけ前回書き忘れたことがあるので、まず先にそのことを書いておこう。
書き忘れたこととはショートメッセージの機能のことである。
日本に僕が一時帰国すると、滞在中はおふくろの携帯電話を持ち歩くのだが ( もともと僕のアカウントだったものをアメリカ移住に際し、おふくろに名義変更してきたので、友人の多くはまだ僕の番号をキープしてくれているのだ )、日本に着いてとりあえず一息つくと、携帯電話の電話帳に残っている友人に連絡を取ることになる。
このときにアメリカでの癖で、ショートメッセージを使ってしまうのである。ところがドコモの携帯電話では、受信した相手に僕の名前も電話番号も表示されないらしく、匿名のメッセージとして届くらしい。けれども 「 今時日本でショートメッセージなんか使っている人なんかいないから、誰が送ってきたのか、すぐにわかった 」 と言われるのである。
実はアメリカでは携帯電話同士で連絡を取るときに、ほぼ100%、ショートメッセージが使われるのである。
メールだと送る相手のアドレスがわからないと送ることができないが、ショートメッセージは電話番号だけで送ることができるので、その気軽さが定着に一役買った。
加えてアメリカでは携帯電話会社が異なっているユーザ同士でも、電話番号だけでメッセージのやりとりができるのだ。携帯でメールをやりとりしているのはたいていスマートフォンユーザであり、そういう人でもメッセージの送り先が携帯電話であればショートメッセージを使う人が多い。
そのショートメッセージだが、iPhone に一つだけ注文をつけたい。
せっかく書いたメールも、ショートメッセージも、送信する段になってたまたま電波が届かない、というシチュエーションになることは多い。アメリカのほとんどの州ではきっと問題にならないかもしれないが、地下鉄が市民の足となっている大都市では、地下にいるために電波が届かない、という時間がそれなりに存在する。特に仕事や学校に遅れそうな朝や、仕事帰りに友人と待ち合わせに向かう途中に特にこういうメッセージを送りたくなるものなのだが、New York の地下鉄は東京と違って地下に電波が入らない。
それでも僕がこれまで使用してきた携帯電話は、書きかけのショートメッセージを Draft フォルダに保存しておく、と言う機能があって、容量の許す限り何通でもメッセージを用意しておくことができた。そうして電波が使えるところに着たところで、送信箱 ( Draft ) から一気に送信していたのだ。
ところがこの iPhone は書きかけのショートメッセージをしまっておくことができない。送信しようとしてたまたま電波の微弱なところにいたりすると、エラーとなって返ってきてしまい、処理を進めるには再度送信を試みるか、書きかけのメッセージを捨ててしまうしかないのだ。
これはなかなか痛い使用である。このあたりはソフトウェアのアップデートで柔軟な仕様に変更されるとうれしいのだが。
ちょっと話はそれるが、先日東海岸を局所的な大雨が襲った。New York はちょうど出勤前の時間で、雨は短時間しか降らなかったものの、地下鉄に流れ込んだ雨のせいで全線が不通になってしまった。それも数十分という単位ではなく、一日運休に路線もあれば、数時間で少しずつ走り出した路線もあった。が全体的にその日は午前中ほとんど人が移動できず、会社を休んだ人も多かった。
実はそのとき地下で待機してい電車の中にたくさんの人がおり、携帯電話で連絡を取ろうにもどこにもとれず、周りを心配させる事態になった。
このことを見直して、市議会議員などは地下鉄でも携帯電話が使えるようにすべきだと、MTA に申し入れをしていた。このニュースを見て、東京より十年近く遅れているんじゃないだろうかと思った次第だ。
さて不満な点はこれぐらいにして、実際のところそれ以外ではほぼ満点をあげても良い出来だと思う。
いままでもいろいろな携帯機器や PDA を購入してきたが、iPhone はその中でもっとも満足度が高い。たいてい購入した直後は所有欲が満たされて、それが満足度と勘違いすることが多いのだが、購入して2ヶ月近くなった今でも、使って非常に楽しい携帯機器であることには変わりない。
携帯電話の機能を○×で判断すると、すでに発売されている携帯電話とさして変わらない。が iPhone はユーザインタフェースがよく考えられていて、マニュアルを読まずとも基本的な機能を習得できてしまう ( 実際 iPhone のパッケージにはマニュアルが付属しない )。
日本で携帯電話を購入したときのことを思い出しながら書いているのだが、たしかちょっとした文庫本のようなマニュアルがついてきて、一通りの機能と、設定を終えるまでマニュアルが必要だった。特に記号と数字数桁の組み合わせで機能の選択ができるなど、マニュアルを常時持ってないとショートカットも使えない機種があったりして、それから考えると iPhone は全く次元が異なっている。
インターフェースの部分であるので、どこがどうよいのか、というのはなかなか文面では説明しにくい。本来それを説明するのならビデオに撮って YouTube などで公開したほうがよいのかもしれないが、そこまでマメでないのでここで簡単に説明しておこう。
iPhone の特徴はなんと言っても全面 LCD スクリーンとなっていてそれがタッチスクリーンになっている。上の写真でもわかるように、表はガラス、そして裏は金属というまさに sleek なバーである。突起らしい突起はほとんどなく、そのためキー入力は必要となるシーンにあわせて、適切なボタンが現れるようになっている。
たとえばフルキーボードだったり、ある時は電話番号用テンキーだったり。
フルキーボードも他社が実現しているような通常のキーボードでなく、さすがは Apple とうならされる機能が多く隠されている。
メールを入力するときなど、本文の表示をしながらキーボードを表示されるため、キーボードは「アルファベット」「数字と記号」「さらに別の記号」のようにキートップが切り替わる。その切り替えにはいわゆるシフトキーにあたるものがあってそれを一度タップすると 「 Q W E R T・・・」とならぶキーが「 1 2 3 4 5 ・・・ 」 などとなるのだが、数字を入力し終わった後にシフトキーをタップしないとアルファベットモードには戻らない。これはこれで使用として良いと思う。たとえば、メールで 「 My phone number is 123 456 7890 」などと入力するときは前半アルファベットで、後半は数字だけになるからだ。
ところが 「 Ok. I will see you there at 7pm.」というようにアルファベット中に数字が一つだけ混じるような文章では、シフトキーを押して入力モードを切り替えても良いのだが、「7」を押した後でまたシフトキーをタップしてからでないと「pm」の部分が入力できない。
けれども iPhone ではアルファベット入力で 「 ..there at 」まで入力した後、シフトキーをタップし、そのまま指を離さずスクリーンを滑らせて「7」を選択し、指を離すとそのときだけ数字の7が入力され、指が離された時点でまた英数字に戻っている、という案配なのだ。
これは単なる例で、こういった小さな気配りがあちらこちらで見られる。
もう一つ iPhone らしい機能を紹介しよう。
iPhone は電話でありながら、インターネットと iPod の機能が売りとなっている。そのため iPod には着いていないスピーカーが着いている。これはスピーカーホンとしても使うし、YouTube のビデオを再生するときに複数の人と見たいときなどにも使える。もちろん iPod 側に保存されている楽曲をスピーカーから鳴らすこともできる。
動画再生中でも音楽再生中でもいいのだが、ここに付属のステレオヘッドセットを指すと、画面上に表示されている音量を示すバーが伸び縮みするのである。
これはどういうことかというと、前回ヘッドホンで聴いていたボリュームを覚えていて、その音量に自動的に戻してくれるのだが、このときアニメーション効果を使うことで、ユーザにボリュームが変更されたことを告知する効果がある。
ヘッドセットと言えば、単純ながらこれも良くできている。最近の携帯は MP3 プレーヤーの機能付きというのが珍しくないので、ステレオヘッドが付属している。iPhone のそれは iPod に付属するヘッドセットと似ているが、ちょうど口元に小さなスイッチが着いている。言われなければ iPhone 専用と気づかない ( それがねらいだと思うが ) そのスイッチは全体がボタンになっていてクリック感がある。そこにマイクも内蔵されていて、もちろん通話も可能だ。
ヘッドセットのリモコンほどの機能は無いが、考えてみれば iPod の音楽を聴いてるときに電話がなったときにボタンがいくつもあるようなリモコンではとっさに迷ってしまうだろう。iPhone の場合はそれ自体がボタンなのでポケットの中にあろうが逆さまであろうが、手元に持ち出すことなくすぐに電話に切り替えられる。
このスイッチはクリックするだけしか機能がないので、複雑なことはできない。が、それでもワンクリックで音の再生を止め、ダブルクリックで次の曲の再生ができるなど、最低限の機能は使える。僕はリモコンならこれで十分ではないかと思う。それ以外は iPhone を取り出して、CD のジャケットをめくるように曲を選べばいいのだし、早送りも巻き戻しもシャッフルもすべてそこで可能なのだから。
・・・というように機能一つ一つにとても細かい配慮がなされていて、それがどれも自然に結びついているのが iPhone の特徴なのだ。
・アプリケーション
当初 iPhone が発表になったとき、搭載される OS は OS X がベースになり、Safari もそのまま移植されると高々と宣言された。それを聞いて、開発者や Mac ユーザはソフトの自由な開発環境が実現するのではないかと、大きな期待を持った。
が発売が近くなるにつれて、Apple から 「 iPhone 上のアプリは、ウェブアプリケシーションを作ってね 」 というアナウンスがあった。つまり iPhone の上でネイティブに実行されるアプリの開発環境は提供しないと言う意味だった。確かに今時のウェブアプリケーションはかなりのことができるが、それでもお世辞にも超高速とはいえない iPhone のネット接続速度だと、ウェブアプリケーションを実行するのはスピードの面でかなり制約を受けることになる。第一ネットが使えない環境ではそのアプリは実行できないことになる ( もう一度書くがそういうことは New York など高層ビルや地下鉄がいりくんだ大都市だけで、アメリカのほとんどの街では問題にならない )。
その発表があったときは開発者たちをかなりがっかりさせたのだが、実際に発売になるとそれは Apple の思惑どうりにはことは進まなかった。
早くから熱狂的なユーザたちに受け入れられた iPhone はすぐにユーザの手によるアプリケーションが開発されることになった。もちろん最初は Apple のいうような礼儀正しい、ウェブアプリケーションが登場した。
僕が当初からよく利用していたのが、下に紹介するサイトのものである。
MP3 プレーヤーから、チップの計算、数独までいろいろあるが、いかんせんやはりダウンロードして実行するまでに時間がかかる。バッテリもその間にどんどんなくなっていく。
そうしているうちに、案の定 iPhone のハックに成功した開発者たちがインターネットコミュニティを通して続々とネイティブアプリケーションを公開し始めた。
自由のきかないリングトーンに、自分の好きな曲を追加するソフトを始め、いまや数十ものアプリが取りそろえられ、しかもそれらをインストール/アンインストールするツールまで出てきた。
公開されているアプリの中には、Perl や Ruby などの開発環境をはじめ、ネットワークツールに、SSH、VTターミナルなど、それに任天堂エミュレータ ( そう、iPhone の上で任天堂ファミコンが実行し、マリオが動いてしまうのである )、DOOM などのゲーム、それにワープロからカメラを使ったテレビ電話、インスタントメッセンジャーに IRC チャットまでほとんど何でもそろってしまったのである。
iPhone GUI アプリケーション
http://iphone.fiveforty.net/wiki/index.php/GUI_Applications
Apple 自身、iPhone に搭載されているソフトの修正や機能追加などは iPhone を iTunes につなぐことでボタン一つで実現している。事実、Apple は発売後2度もファームウェアの更新を行っているが、iPod の音楽をインポートするのと同時に行ってしまうので、あれ?と拍子抜けするほど簡単なのである。
で上のように Apple が公式に認めていないアプリケーションがインストールされていると 「 いったん iPhone をリストアしないと先に進めない 」 と言ってファームウェアの更新に失敗してしまう。
がそんな心配は無用で、すぐに熱心な iPhone 開発者たちの手によってインストーラにパッチが当てられ、最新のファームウェア上でも何の問題なく実行できるようにしてしまった。
実は同じようなことは Pocket PC でもできるので、iPhone が初めてというわけではないのだが、それでも Mac 譲りのユーモアに溢れた、使っていて楽しいソフトがたくさん用意されるのではないかと、これからも期待できそうである。
前回バッタリーのことを不満としてあげたが、通常の電話として以外の機能で使うことが楽しいので、ついバッテリーが早く消耗してしまうのである。だからこれを Apple だけのせいにしてしまうのは酷というものかもしれない。
そのかわりもう一つ利点がある。
それは iPod アクセサリの流用が可能ということである。
出先で携帯電話のバッテリーが切れたときほど困ることは無い。同じ機種や同じメーカーの携帯電話を持っている人がいて、たまたま充電器を持っていてくれれば別だが、そういうことはまれである。
ところが iPhone の場合、iPod の USB ケーブルと同じものを使っているので、それさえあれば充電ができてしまう。
今やオフィスに iPod を持っていない人はいなくて、必ずあちこちに白いケーブルが転がっている。僕のオフィスなど、見渡しただけでも5~6本は見える。同僚が使っていなければ、ここにちょっと自分の iPhone をさして充電されてもらえば良いのである。これは計算外のことではあるが、とても助かっている。
さてアプリケーションの今後だが、これだけの熱意を Apple がどう受け止めるか、果たして今後のファームウェアでサードパーティのソフトのインストールを認めない方針をとるか、それとも一転して開発環境をオープンにして新しい世界をユーザと切り開いていくか、注目されるところである。
それにしても iPhone を取り巻く環境は常ににぎやかである。
今日も NJ 州に住む17歳の少年が iPhone ハックに成功し、SIM ロック解除に成功した話がニュースになっていた。
僕も YouTube でビデオを見たが、たしかに T-Mobile の SIM カードで動作していた。これが可能になると GSM をサポートした諸外国でもすぐにでも使えると言うことになる。
不謹慎かもしれないが、こんなニュースも iPhone の魅力ゆえ注目されているのではないだろうか。
二回に分けて長々と書いてきた独断レビューだが、また何かおもしろいトピックがあれば、その都度 iPhone を取り上げようと思う。