旧いままに

ストリートスナップを撮るようになって、困ったことが一つ。
それは待ち合わせに遅刻して、相手に迷惑をかけてしまうことである。
時間に余裕を見て家を出るのだが、道すがら気になるシーンを見つけると写真を撮らずにはいられず、気がつくと約束の時間に遅れることがしばしば。まったく困ったもんだ。
この日も市内某所で撮影をしたあと、友達数人と食事をする予定になっており、地下鉄に乗って Downtown に向かっていた。
駅を出て、友人が指定した待ち合わせのスポットに行く途中、Aveune を横断しようとして見つけたのがこのクルマだった。
たくさんのレストランやカフェが取り囲むなか、こんな旧いクルマが鎮座している。僕が面白いなと思ったのは、これだけ年季の入ったアンティークなクルマのオーナーだったら、たいてい傷一つついていないようなピカピカの塗装を保ち、無造作に路上など駐車せず有料駐車場に入れるだろうに、というところである。このクルマときたら、傷もへこみも年季相当でお世辞にも「よく手入れの行き届いた」状態とはいえない(笑)。
そしてさらに面白いと思ったのが、オーナーは医師らしいということ。
New York 州ではいろいろな種類のライセンスプレートがあって、外交官ナンバーなど決して珍しくない土地柄だが、他州の人から見ると珍しいのが、この「MD」のライセンスプレートだろう。Medical Doctorの略だが、ほかにも DDS (歯科医)やJudge(裁判官?)のものなどがある。
旧いクルマを旧いままに乗っているこのオーナーが医師のようだというのは、こうしてライセンスプレートから判別できるのだ。
いったいどんな医者がこのクルマに乗っているんだろう?
僕が写真を撮ったのはクルマから空想する人物像、そんおもしろさからだった。