
※ Canon EOS 5D Mark II
「 葉巻をふかす八百屋 」
キューバで写真を撮っていてもっとも印象に残ったのは市井の人々とのふれあいだろう。
僕の話すカタコトのスペイン語にも辛抱強くつきあってくれた、多くの人たち。
カメラを向けると老若男女問わず、皆照れくさそうにはにかむのだけれど、写真を撮られるのはまんざらいやでもなさそうだ。
路上市場で見かけた八百屋の親父は、見事な葉巻をくわえながら撮影に応じてくれた。そういえばキューバといえば葉巻の名産地で知られているが、葉巻はともかく確かにたばこを吸っている人は多い。
メキシコからキューバの国際空港に着き、イミグレーションへと移動する空港建物を移動しているときから早速たばこのにおいが充満していたのが、強く印象に残っている。
何せ米国は建物の中で喫煙できるところなんてないし、まして空港のような公共の屋内などもってのほかだからかである。
もちろんたばこが体に良くないことはわかっているけれど、民主主義の国では喫煙が不自由なのに、社会主義国のキューバが却って自由なのがなんだか可笑しい。
ちなみにたばこが高級嗜好品かというとそんなこともなくて、キューバ人向けの安価なたばこが流通していた。試しにと僕も一本もらって口にしてみたのだけれど、たしなむ、どころではなかった。あまりにも強くて最初の一口だけで頭がくらくらしてしまうのだ。
なにせフィルターなんてものはついていない。
旅の思い出は少しずつ薄れていくのだけれど、キューバの色とにおいと言えば葉巻とかラム酒からくるものであり、僕の中ではそれはアンバーでほろ苦いものとして脳裏にまるで残像のように焼き付けられている。
それは決して不快なものではなく、むしろキューバを訪れたという証といった方が近い。
再びこの地を訪れることがあれば、きっと最初の旅のこと懐かしく思い出すことだろう。

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