
外国に旅をして、「ああ、異国の地に来たんだなぁ」と感じる瞬間というのはいくつかある。
まず長い空の旅を終え、飛行機から空港に降り立った瞬間、そこに漂う空気というのがまずそれだ。それはにおいだったり、湿度だったり。
そしてその次にまず気がつくのが行き交う人々であろう。
空港から移動するに際し、タクシーや電車の車窓を流れる風景・建物からもそんな印象を受けるだろうし、通りを走っている車を見て、いよいよ外国に来たなと感じる人もいるたろう。僕は特に後者だった。
空港からホテルやレンタカー会社の送迎バスに乗り込んだときに、何ともいえない違和感を感じたのを覚えている。まあ運転席が反対側にあったのもそうだが、その造形とか座席の並び方とか、中にはバスが二台連結しているのを見たときは妙にアメリカの大きさに感心したモノである。
初めて僕がアメリカに来た今から20年ほど前には、車と言えばやはり大きなアメリカ車ばかりだった。
ただ日本車が意外によく見かけられることにびっくりした記憶があるから、その頃にはすでに米国市場に日本車が輸入されはじめていたのだろうか ( この辺の時代考証はしてません。)
特に印象的だったのが、当時 New York ではときどきトヨタ、マークII の姿が見られたことである。当時うちにあった一台がこの車だったからよく覚えている。ただアメリカではこれをクレシーダとかなんとかと呼んでいたような気がする。
その後、MarkII は米国市場からは撤退し、カローラやカムリといった車が市場を席巻した。
先に街中を走っている車を見て外国に来たと実感すると書いたが、これはもう過去の印象になりつつある。
かつてはコンパクトなエコノミークラスでのみ見られた日本車が、高級車やピックアップトラックなどにも見られ、ともすればモールのパーキングやフリーウェイで自分の周りは日本車ばかりというシーンも決して珍しくない。日本車に対する高評価は日本人としては鼻が高いが、その一方で無意味にでかく、ダイナミックなアメリカ車が見られなくなるのは残念な気もする。
それでも今までは民間の車ぐらいでしか日本車は見かけなかったのが、ここ何年かはハイブリッドカーに対して一気に認知が進んだこともあり、New York 市では清掃局や公園管理局などが TOYOTA の Prius を積極的に導入してきた。
とはいうものの、警察機関をはじめとする政府関連組織ではやはり国産車の採用が中心となり、ここで日本車やドイツ車が採用されるということはまずなかった。
そのポリシー ( ? ) のおかげで覆面パトカーというのは一見してすぐ分かるようになってしまった。制限速度違反を自慢するわけでは決してないのだが、やはり気になるシーンというのはあるものだ。そんなとき今時不経済なアメリカ車で何のメーカーオプションもつけず、なぜか男性が二人で乗っているアメリカ車というのは覆面パトカーだと見分けがつきやすい。
けれどもそのヒントもこれからは通用しないかもしれない。
それが上の写真である。
NYPD は市内をパトロールする車の刷新を進めているのだが、今回その車に選ばれたのが、Nissan の Altima というハイブリッドカーである。
NYPD が Nissan Altima を次期主力パトカーとしてステージング中であるとは NYPD に勤める友人から去年耳にしたのだが、実際に街中をその車が走る姿を見るまではにわかには信じられなかった。
現在 New York 市では California 州と同じく排ガス規制を強く進めている。特にタクシーやバスなど新しい規制のもとでは基準を満たせず、法が施行されるまでに買い換えなくてはならない。そのためタクシーもハイブリッドカーの導入が進んでいるのだが、ブルームバーグ市長はタクシーにだけ規制するのは不公平だと、NYPD が日常使用する車にも同様のアップグレードを求めたという背景があるそうだ。
ということで白羽の矢が立ったのが、Nissan Altima だったというわけだ。
この Altima という車、日産は日本では販売していないようだが、これはかつてのブルーバードである。
当時ブルーバードマキシマという車もあったはずだが、この Maxima という車もアメリカではモデルチェンジが続き、両車とも販売されている。
New York 市といえばアメリカの中でも観光客が多く、世界的によく知られた市であるのだが、そこで外国の車を Enforcement の主力車にするというのは大きな決断だったのではないだろうか。チョイスが他に無いというのもあったかもしれないが、そのこと考慮しても、例えば警視庁のパトカーがシボレーやフォードになるようなもので、おいそれと契約をくつがえさせられるものではないはずだ。
地下鉄はカワサキ製の車両が走り、タクシーはカムリのハイブリッド、そして NYPD のパトカーは日産車と日本製車両は NY 中あちこちに見られるようになる。果たして新幹線もそれに続くのか。
風景に溶け込んでいるクルマだけに、流れとはいえ米国車の姿が減っていくのは少々複雑な気持ちである。

この日本車のNYPDのパトカーもその内映画に登場するのでしょうね。
悪者が乗るアメ車を追いかける日本車のパトカーのカーチェイス、見てみたいです。
ひさん、こんにちは。
日本で売られているティアナにそっくりですね。
http://www2.nissan.co.jp/TEANA/J32/SWF/SPECIAL/adgallery.html
こんな塗装で走っているとは知りませんでした。(@_@)
さすけさん、
日本車が映画に登場するのは間違いないでしょうね。でも今の映画でもあるようにタクシーやパトカーはわざと古い型をつかうこともあります。最新のものを使うと却って身近すぎるからかもしれません。
さてどのメジャー映画でデビューするか楽しみですね。
t.iさん、
リンクを見てみました。確かにフロントグリルとかヘッドライトの形状はそっくりなんですが、リアやインテリアは全く違います。
その一方、アメリカで売っている、Maximaとこのティアナはフロントこそ違え、インテリアとリアは同じに見えます。
この三台はもしかすると三兄弟なのかもしれませんね。マークIIとチェイサーとクレスタのように。
http://www.nissanusa.com/maxima/
昨年サンフランシスコに行ったときにプリウスの多さに驚いたんですが
公用車でも他国製の車を採用するようになっているんですね。
不景気なので自国製の車を採用するのかと思っていました。
エンジンは、アメリカ車のパワーに負けないようなチューンがしてあるんですかね。
こんにちは。 車と言えば、バスor消防車orタクシーという区別しかつかない超車音痴の私としては、車種の違いから異国を眺める、というのは新鮮な視点です。日本車は、頑張っているのですね。ちなみに、私が海外で異国を感じるのは、スーパーマーケットかなぁ。日本国内でも地方のスーパーマーケットは異次元のことがあります(笑)。
tougoさん、
どちらかというとカリフォルニア州の方が環境に対する意識は高いので、こういったハイブリッドカーの導入もNew Yorkより盛んのようです。
でもプリウスはこちらでも大人気です。
公用車が外国車というのはもはや選択肢がないから、という状況に来ているからのようです。
ちなみにNYPDは高速道路での追跡にはHEMIエンジン搭載のパトカーを配備しています。
Yokoさん、
やはり男性と女性(性別で区別しているわけではないのですが、一般的にという意味で)ではやはり視点が異なるものなんですね。
確かに最初に来た頃はアメリカのスーパーマーケットの品揃えに驚きましたね。今はもうそんなこと感じなくなってしまいましたが。
米国での日本車の最大のライバルは韓国車になりつつあるそうです。こちらは日本車に負けない低価格がウリです。
最後に新幹線のお話もでていましたが、アメリカで新幹線構想は大変面白い話題だと思います。実は0系新幹線は職人がハンマー片手に板金をカーブさせたと聞きます。連休中における乗り心地については、列車同士がすれ違う時の振動が凄くて眠れず、トンネルでは耳の奥が痛くて快適とはお世辞にも言えませんでした。
長距離=飛行機というアメリカで新幹線が勝負するにはレンタカー会社との提携が必要でしょう。
Eddieさん、
新幹線のような高速鉄道は建設時のみならず、実際の運行時にも厳密な安全管理がなされていると思うのですが、果たしてアメリカ人にそれが出来るのかどうか。
線路なんか劣化してもそのままぽいし、まして線路内にゴミなんか散乱するような国では難しいかも(笑)