この日曜日のことだが、以前に行ったのがいつだか思い出せないほど久しぶりに Metropolitan Museum ( 通称 MET ) に足を運んだ。
何かの特別展が目当てで行ったという記憶がないから、さしずめ日本から来た友人の案内といったところであろう。
その僕が久しぶりに MET に訪れたのはつい最近始まった特別展に少しばかり関心があったからだ。
この特別展は日本を大きくフィーチャーしたものとして刀や甲といった武器・武具にフォーカスしたものだったからだ。日本展といえば、浮世絵、仏像、文学といった芸術作品が通常対象となるところ、今回 MET が取り上げたテーマが「侍」なのである。
なんでも第二次世界大戦以降、MET にあった日本芸術品は取り下げられてしまい、今回の企画は10年にわたるものだと聞いた。
日本の芸術作品が再び評価され、MET の中で特別展の開催を決めたときに、それが今回のテーマとなったというのは今の日本に対する関心の偏向を物語っているのだろう。
ただ僕個人としては刀や甲の本物をこれまでまじまじと見たことが無く、そして精緻に作られているだろう日本の刀剣の芸術性が日本を代表するものとして認められたことに誇りを持つとともに自分の目で見ておきたいと思ったのだ。
この美術館は寄付制を取っているとはいえ、大人一人の入場料して$20を推奨している。よく行く人は年間フリーパスがいいと思う。冬の寒さの厳しいときなど、MET 散策というのは贅沢な時間の使い方ではないだろうか。
来年1月まで展示が続くこの Samurai 展に、一番混むであろう日曜日にもかかわらず訪れたのはちょっと訳がある。
期間中展示物が変わるため、特定のアイテムが見たいときはその期間を狙って見に行くしかないのである。
今回は国宝がいくつも展示されているのだが、その中の一つは二週間のみの展示が許可されていたということですでに終わってしまっていた。僕が行ったこの日も本田忠勝の甲などの最終展示日となっていた。
MET の中は原則写真撮影が OK なのだがプライベートコレクションなどはその例外となっているように、今回の Samurai 展もプライベートコレクションが含まれていることもあり、全面撮影禁止となっていた。なので写真は入り口の手前から撮った上と、さらに下で紹介したここまでとなる。
が模写は特に制限されておらず、中にはとある刀の前で一人の子供が床に座り込んで一生懸命スケッチを取っていたのだが、もちろんセキュリティは行儀が悪いなどと注意をするわけも無い。もっと身近にアートを捉えているのである。
展示されている国宝はこのほか正宗などの刀セクションでもいくつか見られ、何十本という本物の刀剣をそれこそ真剣になって見入ってしまった。
テーマがテーマだけに家族連れも多かったのだが、きっと大人と子供では刀剣を見たときの受け止め方はだいぶ異なることであろう。
大人と子供というのはちょっと正しくなくて、世代の差と言うべきか。アニメやゲームのせいで日本刀というのはその世代にとってはまたちょっと異質な存在になっているからだ。
空気の流れのように見えないものまで鋭く二つに分けてしまうような、その吸い込まれそうな刀のエッジを見ながら、横で同じように見入っているアメリカ人たちの姿が自分を鏡で見ているようでなんとなく可笑しかった。
考えてみれば今までこの目で見たことがないという意味では僕も彼らと同じ立場なのだ。





