先日、久々に映画館に足を運んだ。
歩いて行けるところに、結構まともなシネマコンプレックスもあるくらいなのだが、このところとんと映画館から遠ざかっていた。
特に映画から遠のいていた理由はこれと言って見あたらない。もともと誇大広告のようなハリウッドムービーが苦手ではあるけれど、それでも友人と何かする?というと映画にでも行くか? みたいに半ば習慣化していた時期があったのだ。
だからその頃は毎週末のように、cookie-cutterライクな大作を見に足を運んでいたものだ。
映画館出不精の僕が久々に足を運んだのは、なんだかんだと言ってやはりハリウッドムービーの代名詞のような 「 Avatar 」を見るためだった。
12月に公開され、しばらくチケット売り切れの状態が続いていたが、最近になってどうやら気軽に飛び込みで行って次回の上映からでも見られるようにはなってきたようだ。
それでも IMAX での Avatar となると話は別で平日の日中の上映でも前売り券売り切れの状態が続いていた。
どうせここまで待ったのだからもうちょっとぐらい待たされてもいいや、と過熱ぶりを横から見ているだけだったのだが、先週オンラインでステータスを見てみると当日券が出ている様子。まあ週初めの月曜日で、しかも傘を差しても体がずぶ濡れになってしまうので傘なんかあっても無くても意味が無いような、そんな大雨の日だったから、そこまでして映画館に足を運ぶという奇特な人は少なかったのかも知れない。
Times Square にも IMAX シアターはあるようだが、初めて IMAX ムービーというのものを体験したのがリンカーンセンターのIMAXシネマで、数少ない IMAX ムービー体験はそれ以降ここだけである。
今回も勝手知ったるこの映画館で見ようと、リンカーンセンター最寄りの地下鉄駅で下車し、映画館までの数ブロックを歩く。
映画の話とは関係ないのだが、ちょうど道路を挟んで反対側に、NY 市内でもっとも新しい Apple Store ができていた。
そういえば、昨年末にオープンしたんだったな、と思い出したのだがうちから地下鉄で数駅のところに24時間オープンしている Apple Store があってここまで敢えてやってくる理由は無かったのだ。
映画館に着いてまずはチケットを購入 ( 約18ドル )。上映までまだ半時間ほど余裕があったので、映画館を出てその Apple Store を見に行くことにした。
Apple Store の路面店は特に意匠を凝らした作りが特徴なのだが、果たして他の三店舗とどんな風に違うのだろうか・・・という答えは店内に入るまでもなくその外観にあった。
もともと Victoria's Secret が入っていたこの場所を完全に改装してオープンに至ったのが、吹き抜けの天井を含め多面ガラス張りの新店舗である。
家を出るときはザーザー降りの雨だったのが、幸い映画館に着く頃には小降りになっており、水滴を期にしながら一枚パチリ。

さて Apple Store の中を一通り見物したあと、上映時間が迫ってきたので店を出て映画館に戻る。エスカレータを乗り継いで最上階に位置するIMAX シアターに入る。
上映15分前にして座席着用率は半分ほど。「雨のせいで空いているのかな」とそのときは思ったのだが、それは間違いだった。
早めに来た人たちはコートや鞄を横の席において無言の壕を構築し、観客は一座席ずつ開けて座っていたのだが、上映開始時刻の5分前になってあっという間に満員。
結局荷物を置いて空いていた座席もすべて詰めてすわることになるほどの人気ぶりだった。
Avatar の人気は衰えず ( ちなみにこの日、Avatar の興行収益が Titanic を抜いて歴代一位になった )。
映画の方はと言えば、ストーリーに関してはすでに見た友人からそれとなく聞いていたこともあり、まあこんなもんだという感じで受け止めた。がやはりさすがだと思ったのは 3D 技術である。さほど 3D をくどいほど売りにした作品づくりになっていないこともあり、映像を自然に受け止めることができた。
この迫力というのはやはり映画館ならではのものだろう。そうでなかったら Lazy な僕がわざわざ高い金を払って雨の中、映画館まで来たりしない。
映画では感情移入によって見るときの気持ちの揺れが大きく変わる。もしかすると 3D という技術はリアリティ感により自分と映画の距離をさらに短くするものなのかもしれない。
3D 映画が一般的になり、人がそれに慣れたとき、ふとかつての 2D 映画を見たときに臨場感が希薄で 「 昔の映画って感情移入しにくいよなぁ 」 なんて言われる日が来るのかもしれない。
かつては想像力によって映像、ストーリーにのめり込んでいったものだが、3D 技術はその想像力を使わずとも ( スポイルさせて ) 人間を制作者側の意図する方向に誘導することができるのではないだろうか。
上映時間も長めの映画だったが妙な頭痛になることもなく、最初から最後まで楽しめることができた。
もし第二作がある、と言われたらたぶん映画館に行ってみることになりそうだ。存在しない世界をリアルに感じられるこの技術はちょっとばかりやみつきかもしない。
「この監督のことだから、BD が発売されるときには必ずディレクターズカット版が出るんだろうな」とか「頼むからAvatar vs Alien vs Predator みたいなのは作らないで欲しいな、あ、そうなるとシガニー・ウィーバーは一人で人間とエイリアンとAvaterの三役だ 」 などと馬鹿げたことを考えながら映画館を出る。
小雨は相変わらず不愉快に顔に張り付いてくるのだが、先ほどの Apple Store がまるで 「 都会の電球 」 のように寒々しい New York の街を暖かく照らしている。早速カメラを取り出してまたシャッターを押す。
どうも雨というとカメラを持っていくのがためらわれるのだが、こんな風にアスファルトに都会の明かりが反射してなかなか面白い街の表情が撮れるのである。却って天候の良い普段日の方が非リアルに見えるかもしれない。
今日一日僕の目は現実と非現実の映像にだまされっぱなしである。
