
※ブレッソンの写真に触発されてB/Wで撮ったスナップ写真を掲載してみた
Henri Cartier-Bresson アンリ・カルティエ=ブレッソンと言う人の名前は写真を撮る人なら知っている人も多いだろう。フランス生まれの写真家で、かのマグナムフォトの結成に携わった人でもある。マグナムフォトの他の写真家に会ったときのエピソードについては過去に紹介したこともあるが、ブレッソンは故人である。
スナップ写真でも有名な彼の写真展が MoMA で開催されると聞き、足を運ぶことにした。
これまでまじまじと作品を見たことがなかったのと、僕自身よく撮る、ストリートスナップについて彼の作品を一度にまとめてみることで自分自身を振り返るよい機会になると思ったからである。
仕事がら平日の時間も割と融通が利くので、比較的すいているだろうとふんで水曜日の昼過ぎに行ったのだが、予想は見事に裏切られ、彼の特別展コーナーは多くの鑑賞客であふれていた。
自分のことは棚に上げて 「 平日の昼間だというのに、一体どこからこんなにたくさんの人が? 」 と思うが、これが New York らしくもあると、ふと気付く。
個々の写真のディテールなどのインプレッションは省略するが、スナップ写真の本質のようなものについては認識させられるものがいくつかあった。
それは「ガツン」と受けるようなショックではなくて、すんなりと吸収できるもので時代がかわっても本質的には普遍の原理なのかもしれない。
一般に写真の構図を考えるときに足し算引き算がひきあいに出されるが、僕も写り込みたくない被写体をあえて外すなどして撮ることが多い。
ストリートスナップを撮っていてもつい欲張って、バランスとして邪魔な存在がするとあえて構図を変えたりして写り込まないように「操作」してしまうものだが、そこに写ったクルマの年式や歩行者の髪型や服装といったものは、時間とともに時代を表すものとして表現価値のあるものになっていく。
スナップ写真にとって時間を閉じ込めるということは、エッセンスというよりはむしろもっと強い存在の必要性があるのではないかと思う。
すでに僕が New York に来てから撮った写真の中には、すでに破壊されて存在そのものがなくなったり、姿かたちを変えてしまった被写体が少なくない ( ビルや車など )。たかだか10年ちょっとだがされど10年でもあるのだ。
今回の写真展を通して、僕が撮り続ける次の10年がまた見えてきそうだ。
話はかわるが、MoMA では他に 「 The Artist Is Present 」 という特別展を併設している。
ユーゴ出身のアーチスト、Marina Abramović という人の作品なのだが、アーチスト自身がアートとして会場でパフォーマンスをしており、現在注目を浴びている。
その中で特に大きな話題となっているのが、狭い通路に全裸のダンサーが二人立っており、その間を鑑賞客が通り抜けるようになっている展示である。もちろんその間を通らなくてはいけないわけではなく、迂回することもできるのだが興味のある人は是非トライしてみるといいだろう。
MoMA の公式サイトに掲載されている写真によれば女性モデルが立っていることもあるようだが、僕が行ったときはむくつけき男性モデルが顔一つ分間をあけて向かい合って立っていた。
これまでアートを対峙するときは受け身であることが多かったが、この場合見る人の感情がアートとどのように交差するのかという試みのようにも思えた。もちろんそれがアーチストの意図するところではないのかもしれない。
実際にその展示ルームに入るとちょっとした列ができていたので僕もそれにならび、一人ずつ通り抜けていく。自分の番が近づいてくるとどんな人がどのように立っているのか見えてくるのだが、いざ自分の番が来ると自分でも意外なことに、あがってしまった。それは衆目の中、裸体の人間の間をとおりぬけるということで自分も瞬間的にではあるが見られる対象になるからである。
それまでは普通に写真や彫刻など冷静に見ていたのだが、満員列車の中の乗客をおしわけるようにして二人の間を通る段になると男性の下半身 ( どうやら二人のモデルのうち一人はかなり立派なモノを持っていたようだ ) が僕の体にあたるため芸術を見に来たという純粋な気持ちがもやもやとしたもの、どこか恥ずかしい気持ちに変わってしまった。
ある意味、これは見る人をテストする、敷居の高いアートなのかもしれない。
実際裸体の男性の間を通り抜ける瞬間に恥ずかしい気持ちになり、すばやく通り抜けようとして男性モデルの足を軽く踏んでしまい、さらに赤面することに。
アーチストがこのアートを通して観客にチャレンジをしていたのだとすると僕は間違いなく failure だろう。実際に見に行った人がいたらどんな気持ちになったか確認してみたいものである。
アートに対する自分の心構えを試してみたいという方、是非訪れてみてはいかがだろうか ( それがアーチストの狙いではないのだろうけれど )













